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第396回:決定! 日本カー・オブ・ザ・イヤー2009-2010
今年は「ハイブリッド大衆革命」の年なのね

2009.11.03 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第396回:決定! 日本カー・オブ・ザ・イヤー2009-2010今年は「ハイブリッド大衆革命」の年なのね

今年は「電気自動車元年」じゃないの?

いやはや、もう1年経っちゃいましたか……。毎年そう思うのがこの時、そう年末(ってほどじゃないけど…)恒例のイベント、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」COTYが決まる時だ。今年はイベント発足30周年ってことで、幕張の東京モーターショー会場内でやるなど新しい試みが採り入れられたけど、相変わらず業界あげての“お祭”であり、なんだかんだ楽しい。
これでゆっくり年を越せるというか、ひと仕事終えたと言いますか……。

果たして、今年の結果を振り返ってみると「トヨタ・プリウス」が大賞を受賞! 次点ホンダ・インサイト。順当っていやあ順当だし、無難って言えば無難。選考委員をやらせてもらってる俺の配点を言っちゃいますと、「三菱i-MiEV」10点を筆頭に→トヨタ・プリウス→ホンダ・インサイト→VWゴルフ→日産フェアレディZの順。ちなみに去年から、選考委員の個人配点が公開されなくなったからつまらないのよね。

それはさておき、俺は「今年は電気自動車元年」と信じてi-MiEVだと思ってたけど、みなさんは「ハイブリッド元年」「ハイブリッド革命」の年だと思ってたみたいね。いつも思うけど、俺ってちょっと人からズレてるんだろうか? 別に全然気にしてませんけど(笑)。

日本で評価されなかった、不遇の「iQ」

毎年思うのが、賞はどういうクルマにあげるべきかということだ。俺はズバリ、業界人のみが知り得る、大衆が気づいてない“地殻変動”というか“時代を象徴する”クルマに入れるべきだと思っている。でも、時折“大衆に支持”されたクルマが受賞することがあって、今年はそういう論理が支配した。オーダーすでに20万台以上! ヘタすると30万台!? の「プリウス」だ。

たしかにすごいし、本当にハイブリッドカーを大衆のモノにしたという意味でシンボリックだったとは言える。ただ、そんなの某トレンド経済誌で表彰すればいいんじゃないの? と俺は思ってしまう。
それから今回の受賞には去年の反動もあったみたい。去年のCOTYは「トヨタiQ」。結構、大衆的に批判があって、「受賞時にまだ発売されてない」(そんなことなかったけど)とか「日本に合わない」(それは言えてる)とか言われてたようだけど、俺はいまだにiQで良かったと思う。というか稀に見る素晴らしい結果だったというか。

なぜならiQ受賞は、日本の問題点をえぐっていたからだ。iQが売れなかったのはクルマが悪かったからでも、ユーザーが鈍かったからでもなく、道路行政の対応、環境の対応が悪かったからだと思う。こういう枠組みの変化に社会が追いついていなかった。

もはや自動車は単独で語れる存在ではなく、インフラと同時に進化しなければ意味のない、意義のないものになりつつある。それは電気自動車i-MiEVもそうだし、水素を使う燃料電池車もそう。で、画期的な全長3mカーのiQはクルマが小さくなる代わりに、安くて狭い駐車場を作るとか、1スペースに2台停められるようにするとか、高速料金を安くしなければ意味がなかった。特にクルマ関係の税金&維持費が高い日本はそうだ。そういう意味で、不幸だったし、今のこの日本に生まれたことを恨むしかない。
でもヨーロッパでは、アストン・マーティンがOEM供給を受けたりと、真っ当な場所では評価されてるんで、いいんじゃないでしょうか。

「ホンダ・インサイト」とトップを争った「トヨタ・プリウス」が大賞を受賞。
「ホンダ・インサイト」とトップを争った「トヨタ・プリウス」が大賞を受賞。 拡大
「三菱i-MiEV」は特別賞“Most Advanced Technology”に。
「三菱i-MiEV」は特別賞“Most Advanced Technology”に。 拡大

時代を象徴するクルマであってほしい

ただ今年のCOTYで良かったのは、遠い未来から過去を振り返ってみたとき、どんな年だったかが分かりやすいことだ。実は今、東京モーターショーで『日本カー・オブ・ザ・イヤー30周年記念展示』なるものをやってるけど、受賞車を見ても、その年ってどういう年かってわかりにくいものも多い。

たとえば「三菱FTO」ってなんだっけ? どういう年に生まれた? ってよくイメージできないでしょう。
初代「ファミリア」なら「ああ、真っ赤なFFファミリア売れたよなぁ。ゴルフにデザインが○×△だったけど……」とか、初代「セルシオ」なら「この時は日本車の当たり年、ヴィンテージイヤーだった」とか言える。
その点今年は、プリウスが三代目で中身が変わり映えしなかったとしても「経済不況でもオーダー20万台以上、すごかったなぁ」と思い出せる。そういう意味では真っ当だ。

だから俺は思うが、過去のCOTY30台を見て反省すべきは、「必ずしも時代を象徴してなかったのでは?」という点である。もちろん、人間は完璧ではないので間違いもあるが、明らかになにこれ? ってのもある。
でもそれは振り返って考えるべきではないかと思う。というか、そうしないとこの経済不況化、大衆のクルマ離れのみならず、大衆の“自動車メディア離れ”すら懸念されているなか、ますます取り残されるんではないか。

とはいえ、そういう意味では、今年の象徴が三菱i-MiEVって全然おかしくなかったと思うけどね。しつこいですか?(笑)

(文と写真=小沢コージ)

東京モーターショー2009では、歴代の日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞受賞車が展示されるイベントも行われたた。
東京モーターショー2009では、歴代の日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞受賞車が展示されるイベントも行われたた。 拡大
第1回(1980-1981年)日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞受賞車の、東洋工業(現マツダ)「ファミリア3ドアハッチバック」。それまでの後輪駆動(FR)から前輪駆動(FF)に変わったことから、「FFファミリア」とも呼ばれる。
第1回(1980-1981年)日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞受賞車の、東洋工業(現マツダ)「ファミリア3ドアハッチバック」。それまでの後輪駆動(FR)から前輪駆動(FF)に変わったことから、「FFファミリア」とも呼ばれる。
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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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