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【スペック】1.4MPI:全長×全幅×全高=3970×1682×1462mm/ホイールベース=2470mm/車重=996kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブ(85ps/5000rpm、13.5kgm/3800rpm)(欧州仕様車)

フォルクスワーゲン・ポロ 1.2TSI(FF/7AT)/1.4MPI(FF/5MT)【海外試乗記】

ゴルフよりまぶしい存在 2009.07.29 試乗記 島下 泰久 フォルクスワーゲン・ポロ 1.2TSI(FF/7AT)/1.4MPI(FF/5MT)

サイズアップした「ゴルフ」に代わるコンパクトカーとして人気の「ポロ」が、フルモデルチェンジ。新エンジンや7段DSGという注目のパワートレインを携え、2009年末にも日本導入が予定されるニューモデルに、イタリアで先行試乗した。
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試乗はもういいや……

国際試乗会のスタート地点だったイタリアはサルディニア島のオルビア空港からクルマをスタートさせて、十数分が経った頃だろうか。ふと思ったのである。「オーケー、もう試乗はいいや」と……。
出来が悪かったから? いや、むしろその逆である。理屈抜きに良いクルマだということが、その時点でも十分に伝わってきて、深く納得できてしまったからだ

もちろんそこで終了というわけにはいかないから、引き続きステアリングを握り続けたのだが、とにかく新型ポロ、走りの質が抜群に高く、気持ち良い。ボディの剛性感はますます高く、サスペンションの動きが格段にしなやかになった。贅沢なマルチリンク式リアサスペンションをもつ「ゴルフ」ならいざ知らず、ポロでもここまで快適性を高めてくるとは、意外と言っては失礼だが驚いた。

ハンドリングも素晴らしい。電動油圧式のパワーステアリングは、ゴルフのそれをさらに上回る饒舌な手応えを示し、直進時には中立付近で落ち着いた据わり感を、コーナリングでは正確なレスポンスを堪能させてくれる。躾けとしては安定志向ではあるが、一方でサイズなりの小気味良さもあって、フットワークはとても爽快なのだ。

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ゴルフが捨てたものが、ある

パワートレインにも見所は多い。最大の注目は新顔の1.2TSIユニットだろう。燃焼効率を最大限に高めるべく新開発の2バルブヘッドを採用したこの1.2リッター直噴ターボユニットのスペックは、最高出力105ps、最大トルク17.8kgm。しかも1500rpmから最大トルクをもたらす特性によって、低速域から優れたドライバビリティを見せる。その上、ギアボックスには7段DSGが組み合わされるのだから楽しくない筈がない。

この7段DSGは最高出力が85psに高められた1.4リッターNAユニットにも設定されている。さすがと言おうか、こちらも走りっぷりは期待以上だった。DSGの効能はやはり絶大である。

運転環境の良さも、気持ち良い走りを演出している大事なポイントだ。室内空間自体は微増といったところ。しかしゴルフのように低い位置に座らされるのではなく、ダッシュボードやドアトリムに対して、相対的に高めの着座位置。開けた視界のおかげでクルマの四隅を把握しやすく、クルマとの一体感も強いのだ。

それに象徴されているように、空間設計はきわめて実直。たとえば後席はダブルフォールディング式で、2段階高さ調整式の荷室フロアとあわせて、広くフラットな荷室を作り出すことができる。ゴルフが捨ててしまった合理性、パッケージングへのこだわりがポロには今も濃厚に残されているのである。


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新開発の1.2リッター直噴ターボユニットは、105psと17.8kgmを発生する。
新開発の1.2リッター直噴ターボユニットは、105psと17.8kgmを発生する。 拡大

フォルクスワーゲン・ポロ 1.2TSI(FF/7AT)/1.4MPI(FF/5MT)【海外試乗記】の画像 拡大

小型車の理想像

各部のクオリティもゴルフに決して劣らない。インテリアは上級グレードにはソフトパッドがおごられるなど見た目そして手に触れてみての質にこだわりが感じられる。クロームの加飾がそこだけ浮いて見えないのは、全体を貫く上質さゆえだ。さらに顕著なのがエクステリア。ボディパネル同士の合わせ目のギャップの小ささ、厚みのある塗装の美しさはコンパクトカーの常識を超えている。

しかも、このスタイリングである。フォルクスワーゲンのデザインを指揮するワルター・デ・シルヴァがはじめて100%コントロール下に置いて生み出したデザインは、シャープでシンプル。実に力強い。顔つきなどはゴルフに似ているが、このサイズ故の凝縮感もあって、むしろ強い存在感を発揮している。本当は走り出してすぐどころか駐車場にたたずむ姿を目にした時点で、クルマの出来について確信に近い思いを抱いていたのだった。写真を見ていただければ、きっとこの思いも理解していただけると信じている。

ゴルフが代を重ねるごとにサイズアップしていることもあって、ポロが新型になると必ず、もうゴルフは要らないのではないかという話が出てくる。実際にはそれは使い方次第という話ではあるが、しかし少なくとも個人的にはクオリティ、走り、パッケージングなどあらゆる面で、新しいポロがゴルフ以上にまぶしい存在に見えたということはお伝えしておきたい。かつてゴルフに見た小型車の理想像に近いものを、そこに見た気がしたからだ。

この新型ポロの日本導入は、2009年末になる予定。まず乗れるのは1.4リッター+7段DSGのモデルからとなりそうである。

(文=島下泰久/写真=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン)

島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

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