「マツダ・アクセラ」、フルモデルチェンジで2代目へ
2009.06.11 自動車ニュース「マツダ・アクセラ」、フルモデルチェンジで2代目へ
マツダは2009年6月11日、「アクセラ」をフルモデルチェンジし、同日に発売した。
■コンセプトは“エコ・スポーツ”
2003年の発売以来、世界100カ国以上のマーケットで、200万台以上の販売を記録したマツダの主力モデル「アクセラ」が、6年ぶりにフルモデルチェンジを実施。ヨーロッパ、北米、オーストラリアに続き、日本でも販売がスタートした。
2代目となる新型は、初代のスポーティさを受け継ぎながら、環境性能の向上に力を注いだのが特徴だ。“エコ・スポーツ”を主張する新型では、2リッターFFモデルにアイドリングストップ機構の「i-stop」を標準搭載し、16.4km/リッターの10・15モード燃費を達成。一方、1.5リッターモデルではCVTを組み合わせることで同18.4km/リッターとした。
ボディタイプは4ドアの「アクセラセダン」と、5ドアハッチバックの「アクセラスポーツ」のふたつが用意され、価格は、アクセラセダンが166万円から210万円、アクセラスポーツが166万円から210万円。2.3リッターターボを積む「マツダスピードアクセラ」は5ドアハッチバックのみが用意され、価格は267万8000円である。シリーズ全体で、月間2000台の販売を予定している。
■マツダの新しい顔
新型「アクセラ」には、マツダの新しいファミリーフェイスが採り入れられている。すでに定着している“5ポイントグリル”、すなわち5角形グリルをより大型化してフロントの低い位置に配置。これによりワイド&ローのフォルムを強調。加えて、フロントのラインを5ポイントグリル下に向かわせる(マツダは“センターフォーカス”と呼んでいる)ことで、躍動感をアピールしたという。
デザインだけでなく、ボディサイズでもアクセラは存在感を高めている。スリーサイズは、アクセラセダンが全長×全幅×全高=4580×1755×1465mm、アクセラスポーツが全長×全幅×全高=4490×1755×1465mmと、旧型に比べてアクセラセダンで100mm、アクセラスポーツでは90mm全長が伸びたことになる。全幅は10mm拡大した。
一方、2640mmのホイールベースは旧型と変わらず、サスペンションも前:マクファーソンストラット、後:マルチリンクと、基本的には初代の形式を踏襲。しかし、約9割のパーツを新たに設計し、軽快な操縦性と上質な乗り心地を追求したという。
インテリアは、センタークラスターから両サイドに広がりを見せるデザインが特徴。旧型に比べると格段に洗練された印象だ。メインのメーターパネルとは別に、ダッシュボード中央奥に「マルチ・インフォメーション・ディスプレイ(MID)」を配置する。これにより、少ない視線移動で燃費やエコドライブ情報などを得ることができる。
■2リッターFFモデルに「i-stop」
マツダスピード アクセラを除くFFモデルには、2種類のパワートレインが用意されている。ひとつは2リッター直4直噴ガソリンエンジンと5段AT、もうひとつが1.5リッター直4ガソリンエンジンとCVTの組み合わせだ。
2リッター直噴エンジンには、マツダ独自のアイドリングストップ機構「i-stop」が組み合わされる。これまでのアイドリングストップ機構は、スターターモーターによってエンジンを再始動していたが、i-stopでは直噴ガソリンの特徴を生かし、停止中のエンジンのシリンダー内にガソリンを噴射して爆発させ、その力でエンジンを再始動。このとき、スターターモーターで回転をアシストすることにより、再始動の燃料消費を低減、再始動に要する時間も0.35秒と、従来のシステムの約半分に短縮した。10・15モード燃費は16.4km/リッターと、旧型に比べて約15%の燃費改善が図られている。
走行中、i-stopによりエンジンを停止した時間はMIDにより確認が可能。さらに、アクセル開度などから“エコドライブ度”を判定してドライバーに知らせるエコランプや、平均燃費・瞬間燃費の表示など、エコドライブを支援する機能がi-stop搭載車に採用される。
一方、1.5リッターエンジンでは、CVTを組み合わせることで18.4km/リッターの10・15モード燃費を達成。4段AT搭載の旧型に比べると約5%、燃費が向上している。
なお、いずれもエコカー減税(環境対応車普及促進税制)とエコカー補助金支給(環境対応車買換え普及促進策)の対象となる。
■「マツダスピードアクセラ」はさらにアグレッシブに
旧型同様、新型アクセラにも「マツダスピードアクセラ」がラインアップされる。アクセラスポーツのハイパフォーマンスモデルという位置づけで、最高出力264ps/5500rpm、最大トルク38.7kgm/3000rpmを誇る2.3リッター直4直噴ターボエンジンを搭載。トランスミッションは6段MTのみ。ボンネットに設けられたエアインテークや専用デザインの5ポイントグリル、大型リアルーフスポイラー、2本出しマフラー、18インチアルミホイールなど、ノーマルモデルとの違いは一目瞭然だ。
アクセラセダン/アクセラスポーツの2リッター直4エンジン搭載モデルには4WD仕様も用意される。こちらには4段ATが組み合わされ、10・15モード燃費は11.6km/リッター。
そのほかの話題として触れておきたいのが、安全装備の充実だ。マツダとしてはアテンザに初搭載したリアビークルモニタリングシステム(RVM)をアクセラの一部モデルにオプション設定した。これは、レーダーを使って後方から接近する車両を監視する機能で、接近車両を検知するとドアミラー内のインジケーターが点灯。この状態でドライバーがウインカーを操作するとインジケーターの点滅とブザーによりドライバーに危険を知らせるというものだ。また、50km/h以上から急ブレーキをかけたときにハザードランプを点滅させて後続車に注意を促すエマージェンシー・シグナル・システム(ESS)を標準装備。ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム(DSC)は2リッターのFFモデルとマツダスピードアクセラにのみ、標準装着される。
フルモデルチェンジにより、デザイン、燃費、安全性に磨きがかかったアクセラ。日本市場では販売の6割が1.5リッターモデルと見られているが、発売当初は、i-stopや安全装備など、目新しい機能が多い2リッターFFモデルに人気が集まるかもしれない。ちなみに、マツダによれば、日本市場におけるハッチバックとセダンの比率は3:1。ワールドワイドではこの数字がほぼ逆転するそうだ。
(文=生方聡)