レクサスRX450h“バージョンL Air suspension”(4WD/CVT)【試乗記】
主役はあとからやってくる 2009.06.10 試乗記 レクサスRX450h“バージョンL Air suspension”(4WD/CVT)……704万4950円
「レクサスRX」シリーズに、ハイブリッドバージョンが登場。走りと環境性能の両立を謳う最新型SUVの実力を、エアサス付きの最上級グレードで試した。
待望のハイブリッドモデル
世界のプレミアムブランドに対するレクサスの強みといえば、ハイブリッドモデルを取り揃えていることだろう。セダンのアッパーミドルクラスでは「GS450h」が、ラクシャリークラスでは「LS600h」が、ライバルの登場を待ちわびる状況にあるのはご存じのとおり。そして、ミッドサイズのSUVマーケットでも、レクサスのリードが始まろうとしているのだ。
日本では、2009年1月からレクサスの一員になったRX。そのハイブリッドモデルがついに発売になった。この日を心待ちにしていた人も多いかと思うが、結論からいうと、待っただけの甲斐がある、魅力的なクルマに仕上がっている。
期待のルーキー「RX450h」は、4.5リッターエンジン並みの加速性能を持つことからそう名づけられているが、実際には、3.5リッターV6エンジンと電気モーターを組み合わせた「THSII」……じゃなかった、レクサスでは「レクサス・ハイブリッド・ドライブ」と呼ぶシステムを搭載している。これにより前輪を駆動するのに加えて、後輪を独立のモーターで駆動する電気式4WDの「E-Four」を実現する。このあたりは、前身の「トヨタ・ハリアーハイブリッド」とよく似ている。
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重くてもエコ
一方、ハリアーハイブリッドとの違いは、エンジンにある。RX450hに格上げするにあたっては、エンジンの排気量を3.3リッターから3.5リッターに拡大するだけでなく、“アトキンソンサイクルエンジン”、すなわち、圧縮比よりも膨張比を高くすることで熱効率を高めたエンジンをレクサスとして初めて搭載。エンジンのみの性能は249ps/32.3kgmで、これはハリアーハイブリッドを38ps、2.9kgm上回るが、GS450hの296ps/37.5kgmに比べると明らかに控えめな値となった。注目の燃費(10・15モード)は、車両重量1930kgのハリアーハイブリッドが17.8km/リッター、同じく1890kgのGS450hが14.2km/リッターであるのに対し、2090kgのRX450hが18.8km/リッターと、一番重いのにもかかわらず、最良の燃費を叩き出す。
そんな旨い話があるものなのか? さっそく試乗することにした。
RX450hには通常の走行モードのほかに、燃費優先のエコドライブモードと、モーターだけで走るEVモードが用意されている。まずは通常のモードで走り出す。モーターが受け持つ発進は、相変わらず静かでスムーズだ。その後、すぐにエンジンがスタート。アクセルペダルを軽く踏むぶんにはとりたてて力強い感じはないのだが、気づけば巡航速度に達している、という上品な加速が味わえる。
アクセルペダルを踏み増したときのレスポンスは抜群で、間髪入れずにスッとボディを押し出す感じは、V8も顔負け。しかし、「GS450h」や「クラウン・ハイブリッド」に見られた過剰なほどの力強さは鳴りを潜め、アクセルペダルを思い切り踏み込んだときにも、十分速いがやり過ぎという感じはしない。ちょうどいいレベルなのだ。RX450hのハイブリッドシステムは、パワー志向ではなく燃費志向というわけだ。その成果が10・15モード燃費の数字に表れている。
ステアリングスイッチでエコドライブモードに切り替えると、少し大人しい反応になるのだが、それでもまわりに遅れをとるようなことはない。
RXの本命
RX450hだけに設定される“電動アクティブスタビライザー”にも注目だ。スタビライザー中央に設けたモーターにより、コーナリング中のロールを制御する機能で、これを標準装着する“version S”を山道に連れ出した。RX450hのなかでは最もスポーティなグレードにもかかわらず、途中の一般道では乗り心地が快適なことに驚く。ガソリンモデルに比べて150kg重くなったのが、乗り心地に良い影響を与えているのだろう。ワインディングロードでは、さすがにロールが感じられないほどではないが、しっかりと抑えられた印象で、ステアリングを握っていても不安はない。乗り心地と安定性のバランスが実に高い。
電動アクティブスタビライザーが用意されない“version L Air suspension”は、乗り心地がさらにマイルド。“version S”同様、同じグレードのガソリンモデルより快適さがアップしているのは見逃せない。
それでいて、ラゲッジスペースはガソリンモデルと変わらぬ広さを誇り、必要に応じてリアシートを倒してラゲッジスペースを広げることももちろん可能だ。ハイブリッドシステム用のバッテリーをリアシート下に収めるため、ヒップポイントが25mm上がったそうだが、むしろこのほうが膝が自然に曲がるため、楽な姿勢がとれる。
動力性能や燃費だけでなく、快適性やパッケージングでもガソリンモデルを超えるRX450h。値段を抜きにすれば、断然こちらが魅力的。4WD仕様同士を比べると85〜110万円の開きはあるが、それ相応の満足感が味わえると思えば、決して高い買い物ではないはずだ。
(文=生方聡/写真=荒川正幸)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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