BMW740i(FR/6AT)【ブリーフテスト】
BMW740i(FR/6AT) 2009.06.04 試乗記 ……1316万5000円総合評価……★★★★★
「BMW 7シリーズ」が5代目になった。エンジン性能や居住性の向上を謳う、フラッグシップセダンの乗り心地や、いかに?
欲しいのは、ポリシー
電子機能のデキが最初からこのレベルでまとまっていれば、先代の評価もまた違ったことだろう。とはいえ、まだ完璧と評するにはいたらない。例えばラジオを消したいと思った時、iDriveをあれこれ操作しても即座に切ることができないし、ボリュームを下げることもまた難しい。これらスイッチの構成が、煩雑であるからだ。手続きをアチコチ分散させずに簡略化させるか、あるいはどこからでもオフできるように機能を重複させるか、そのどちらかが望ましい。
メーカー側が明確な主義主張をもたず、サプライヤーのいうがままにパーツを受け容れた結果、どこか一貫していない部分が見受けられるのだ。使い方はご自由にというユーザーへの気遣いだとしても、その程度が中途半端なのである。いっそのこと、もっとメーカー主導でいい。
ターボを備えつつ排気量を落としたエンジンなど、駆動系の進化は時代に合ってきている。もはや、排気量を上げさえすればいいという考えに戻ることはないだろう。ただし、カタログでは軽量化を謳っているものの、絶対的な車重はまだまだ重い。ランフラットタイヤの効用は肯定できるが、乗り心地対策はもっと必要だ。それこそ、価格なりの高級さが求められる部分なのだから。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「7シリーズ」は、BMWのフラッグシップセダン。現行モデルは5代目にあたり、2008年11月にドイツ本国でデビュー、2009年3月に日本で発売された。
エクステリアは、BMWでおなじみの4灯式ヘッドランプやL字型テールランプを備えつつ、キドニーグリルを大型化するなどして押し出し感を演出。寸法上は先代と大差ないが、ホイールベースを80mmも延ばすなど、特に後席のゆとりに配慮がなされた。
車線逸脱を知らせるレーンディパーチャーウォーニング、夜間の視界をサポートするナイトビジョン、さらに、マッサージ機能や左右独立型のエンターテインメントシステムといったオプション装備もアピールポイントとなっている。
(グレード概要)
日本市場のラインナップは、大きく分けて3リッター直6ツインターボエンジン(326ps/5800rpm、45.9kgm/1500-4500rpm)を搭載する「740i」と、4.4リッターV8ツインターボエンジン(407ps/5500rpm、61.2kgm/4500rpm)を積む上級グレード「750i」の2種類。
さらに、それぞれのホイールベースを140mm延長したロングバージョン「740Li」「750Li」を合わせた計4モデルが揃う。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
メーター類、ナビ画面、オーディオ、空調関係と、各計器類の装備も操作感覚は概ね上々だ。初期のiDriveでは操作性の悪さに辟易したものだが、それもかなり整理されてきてわかりやすくなった。しかし、冒頭に述べたように、依然として1つの目的を遂げるのに1カ所の操作では済まないなど、まだ改良の余地はある。オーナーになれば、慣れが解決してくれるのかもしれないが……そこさえ目をつぶれば、高級車らしい雰囲気やたたずまいそのものはレベルが高く、満足できるはずだ。
(前席)……★★★★★
シートは、サイズ、形状ともに、大柄な体格の人まで上手くフィットするように考えられている。造りも丁寧で、高品質といえる。可動部分の調整シロも大きい。空間的にも、このクラスにふさわしいタップリしたゆとりがある。
センターコンソールは、縦置きエンジン&ギアボックスのレイアウトの恩恵もあって室内への張り出しが大き過ぎず良好。むしろ、左脚のニーグリップという意味では離れ気味なほどだ。ダッシュボードは高めの方だが、ボンネットのプレスの稜線が盛り上がって見えて、前方の車幅を摑みやすい。いい眺め。
(後席)……★★★★★
センタートンネルの張り出しは目立つが、後席に3人で座る機会は、このクルマでは少ないだろう。そのデザイン的な窪み形状からも、2人掛けが最適と思える。シートそのものは肩までたっぷり包まれる感覚で、座り心地は上々。すぐ眠りに誘われよう。アームレストは大きい。左右両側から腕を置いても干渉するようなことはない。頭の置き場は、まさに枕のごときヘッドレスト。しかし、飛び抜けた形状ではないから、後方視界の妨げも少ない。ロングホイール版の「Li」グレードでなくとも、足元の空間は十分広い。
(荷室)……★★★★★
深く、奥行きがある空間は広大。内張りも上質なものできちんと整えられていて、大事な物を収納するにしても気持ちよく使える。リッド裏の工具棚は今では内容も少なくなった。電動式のオートクローザーは、最後のロックだけサポートするのではなく、最初からこれワンプッシュで蓋を閉めてくれるタイプ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
排気量を小さくしてパワーを確保する手法は、いまの世相に則ったもの。空車時で2トンの車重をまったく感じさせない走りっぷりの良さは見事。7段ATの変速マナーもスムーズで、ステップトロニックのマニュアルモードによるエンジンブレーキも意思どおりに使える。ただし、P(パーキング)やR(リバース)のレバー操作には慣れが必要だ。車両価格を考慮すると、+−でシーケンシャルシフトができるマニュアルポジションは左ハンドル車と反対側のレバー右側(=ドライバー側)に変える措置も必要ではないだろうか。
なお、加減速に対してノーズダイブやスクワットなどの姿勢変化が少ないのは、美点といえる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
1千万円という価格をつけ、2トンの重量を有するこのクルマで納得できない部分、それは、普段の舗装路における乗り心地の粗さだ。ランフラットタイヤであるにしても、タイヤのユニフォーミティ(均一性)や微小ストローク域のバネやダンパー精度には満足できるとは言い難い。僅かな上下振動は、3シリーズや5シリーズなら許されるが、7シリーズという高級車にはふさわしくない。
アクティブステアリングは以前ほど入力に対する出力の変化が大き過ぎず、概ね違和感はない。大型車の割りには良く切れるが、パワーステアリングのフリクションは大きめだ。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2009年4月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:2665km
タイヤ:(前)245/45R19(後)275/40R19(いずれも、グッドイヤー Excellence)
オプション装備:イノベーションパッケージ=54万円/プラスパッケージ=27万円/コンフォートパッケージ=54万円/ラジアルスポーク・スタイリング252アロイホイール=36万3000円/ダイナミックドライブ=40万7000円/マルチファンクションスポーツレザーステアリングホイール=3万3000円/クライメートコンフォートガラス=20万4000円/セラミックスフィニッシュ=9万5000円/電動ガラスサンルーフ=19万5000円/フロントアクティブシート=13万7000円/サイドビューカメラ=7万3000円/USBオーディオインターフェース=5万2000円/HiFiシステムプロフェッショナルロジック7=15万6000円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:125km
使用燃料:16.9リッター
参考燃費:7.4km/リッター

笹目 二朗
-
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】 2026.3.5 スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。
-
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
NEW
その魅力はパリサロンを超えた? 大矢アキオの「レトロモビル2026」
2026.3.7画像・写真フランスで催されるヒストリックカーの祭典「レトロモビル」を大矢アキオが写真でリポート! 欧州の自動車史を飾る歴代の名車や、めったに見られない往年のコンセプトモデル、併催されたスーパーカーショーのきらびやかなラグジュアリーカーを一挙紹介する。 -
NEW
ホンダCB1000F SE(6MT)【レビュー】
2026.3.7試乗記ホンダから満を持して登場した、リッタークラスの4気筒マシン「CB1000F」。往年のCBをほうふつさせるスタイルと、モダンなパフォーマンスを併せ持つネイキッドスポーツは、先行するライバルを追い落とすことができるのか? ホンダ渾身(こんしん)の一台の実力に触れた。 -
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。


































