マツダ・アクセラ プロトタイプ i-stop搭載車【試乗速報】
かけかたで、かせげた! 2009.04.06 試乗記 マツダ・アクセラ プロトタイプ i-stop搭載車年内のデビューが予定される新型「マツダ・アクセラ」。プロトタイプに乗って、新たな環境技術「i-stop」を試した。
ハイブリッド車も使ってる
アイドリング・ストップは省エネ運転の有効な手段である。その運動は、一時は世の中に定着したかに見えたが、今では燃料価格が安くなったせいか、ほとんど話題にものぼらなくなった。手動でいちいちエンジンを切ったり掛けたりするのはやはり面倒で、習慣化するまでには至らなかったようだ。
一方で、アイドリングストップを自動的にやってくれるクルマは存在する。世の中に十分認知されたであろうハイブリッド車が、その最たるものだ。実際に運転の体験者も増えたわけで、アイドリングストップに省燃費の効果があること、静粛性などのメリットもあること、さらに機械がやってくれるのであれば手間いらずで便利であることなどなど、認識そのものは広まっているはずだ。
ならば、このシステムだけでも採用すれば、ハイブリッド以前の選択肢として有効ではないか……と考えたのが、マツダの「i-stop」システムである。
実際に試してみると、運転感覚にさしたる違和感はない。システムの存在など概ね意識することなく、燃費向上の効用のみ得ることができる。“概ね”というのは、まったく気が付かないレベルではない、ということ。エンジンの停止と再始動の動作はたしかに容易に感じ取れるし、停車時、エンジンが止まるだろうという期待に反してアイドリングが続いたりすると、アレッと驚かされたりもする。
このシステム、作動するには様々な条件が求められるのである。そのあたりも踏まえながら、そのメカニズムを紹介することにしよう。
いくつかのクセとともに
i-stopでは、ブレーキを利かせて停車すれば、アイドリングがストップする。ただし、そのブレーキ圧に対するシステムの反応はなかなか微妙だ。
たとえば、停止をソフトに行うとき。スーッと軽く踏力を抜く、同乗者に優しい止まりかたでは、アイドリングストップは作動しないことがある。通常システム作動条件が揃うとメーター内にグリーンのランプが点灯するが、こういう場合には、ランプは点滅して「作動拒否」を示す。きっちり作動させたければ、ブレーキをより強く踏めばいいわけだが、完全に停止してから強く踏んでも、もう遅い。例えば長い踏み切りでの停車など、意識してエンジンを停止させたい場合は、予めしっかりとブレーキペダルを踏む必要がある。
一方の再始動。十分な暖気が前提となるため、エンジンオイルやトランスミッションオイルをセンシングするほか、バッテリーの温度や電流までモニタリングされる。
ブレーキ圧、ステアリング舵角、シートベルト装着の有無、ドアの開閉、ボンネットの開閉……といった要素も、システムを働かせるうえでの大事な条件だ。例えば、ステアリングに舵角を与えて停めてみると、クルマはこれから車庫入れを行う可能性を考え、エンジンを停止させない。逆に、アイドリングストップの状態でハンドル操作して再始動させることもできる。
シートベルトが外されたり、ボンネットが開いていたりすると、ドライバーに運転の意思無しと判断される。クルマは一時停止ではなく完全停止がふさわしい状態なわけで、減速して車体が停止するとそのままエンジンは“休止”してしまう。
直噴エンジンならではの技術
一方、停止に比べて、再始動のシステムにはいろいろと工夫がみてとれる。その再始動の手続きにかかる時間が短い!というのが、マツダの「i-stop」最大のジマンなのである。それこそ、省燃費性と快適性につながるものだからだ。短時間でエンジンを始動するための技術で興味深いのは、エンジンのピストンをいつでも始動に有利なポジションで停止させるという点だ。
バルブを開けて未燃焼ガスを放出し、新鮮な空気を確保。圧縮上死点後40度から100度の間が再始動時間が安定して短くなるという研究結果に基いて、毎回燃料カット後にダイナモに電流を流してモーターのように働かせ、膨張行程にあたる所定の位置でピストンを停止させる。
始動のごく初期にこそ電気モーターの助けを借りるものの、基本的にモーターのクランキングに頼らず、シリンダー内の燃焼力で再始動を行う。つまり、シリンダー内に燃料を噴射しさえすれば爆発が起こる、直噴エンジンならではのシステムといえる。始動に要する時間は従来に比べ半分の0.35秒に。余計な燃料消費と振動を抑えられる。
唯一気になるのは、高地におけるシステムの制御方法だ。インジェクションの始動性は、昔のキャブレターなどとは比べものにならないくらい改善されているはずだが、1500m以上になると、再始動時の難易度が増すという理由でi-stopは働かなくなる。
気圧が低くなると空燃比は濃くなるから始動性は悪くなる。だからこそ、i-stopの主旨からすれば、積極的にシステムを働かせるべきなのではないだろうか。
ともあれ、マツダはこのアイドリングストップの技術を広めるつもりで、2015年までに全体で30%ほどの燃費向上を見込んでいるという。ユーザーのコスト負担は比較的安価ながら、その還元ぶんは大きいから、歓迎できる技術といえよう。
その先鋒は、年内の発売が予定される新型「アクセラ」だ。限られた場所での試乗会とあって、i-stop以外の部分を確認することは難しかったが、改めて感じたのは、そのボディがしっかり出来ているということ。今回のフルモデルチェンジでは、その造りはさらにしっかりして低級音の類は無くなった。安心感だけでなく、欧州車に匹敵する高級なフィーリングが備わったといえる。外観は写真でご覧のとおり、さらにスッキリした印象だ。
市販バージョンのi-stopとともに、公道で試乗できる機会を楽しみに待ちたい。
(文=笹目二朗/写真=高橋信宏)

笹目 二朗
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