スバル・インプレッサ アネシス 2.0i-S(FF/4AT)【試乗速報】
真の実用車 2008.10.24 試乗記 スバル・インプレッサ アネシス 2.0i-S(FF/4AT)……233万1000円
ハッチバックだけだった「インプレッサ」に追加されたセダンの「アネシス」。リアオーバーハングが延長され、ボディ構造が変わったことで走りに及ぼす印象はかなり違うようだ。
若々しいセダン
スバル・インプレッサシリーズに、「アネシス」という4ドアセダンが加わった。外観上の識別点は、ハッチバックよりCピラーが太くなり、独立したトランクが設けられた結果、全長は165mm長くなったこと。ホイールベース(2620mm)や、ベース車両同士の車両重量(1230kg)には変化なし。
一般的にハッチバックはどちらかと言えば若向きで、スポーティなイメージもあるが、4ドアセダンには落ちついた雰囲気が漂う。この「インプレッサ アネシス」の場合にもまったく同じことが言える。ただし地味かといえばそうでもなく、ウェッジの効いたサイドラインは、大型化されたテールランプに綺麗に融合し、テール周辺のデザインは若々しく溌剌としている。
ハッチバックの妙にデコボコした飾りっぽいものを貼り付けた処理より、面一化されたデザインは、よほど素直でまっとうに見える。上級モデル「2.0i-S」の、軽くリッドに載せられたリアスポイラーもよく似合う。
骨がシッカリしてるから……
走りだしてまず感じるのは、室内の静粛性が向上していること。サスペンションやタイヤ/ホイール関連は、今回特別な変更は受けていないが、やはりボディ後部の骨格がシッカリした結果、すべてが好印象に結びついている。
固定されたリアウィンドウやバルクヘッドで仕切られた室内は、籠もり音などが発生しにくいし、ストラットバー等で補強したのと同等のボディ剛性アップ効果もあり、サスペンションを強化したような印象さえ受ける。
またハッチゲート支持部の補強やゲートの重さよりも、トランクリッドそのものは軽く重心高が低くなるから、安定性にも変化がみられる。重量的な違いはカタログ値には表れないものの、リアのオーバーハングが伸びていることもあって、リア荷重は同じでも接地感は異なる。乗り味としてはより姿勢変化の少ないフラットなものになった。この辺の違いは乗り心地だけでなく、操縦安定性にも恩恵をもたらしている。
ロール軸を考えてみると、ハッチバックは前よりも後ろが高い腰高な感覚であるのに対し、アネシスはこの軸がより水平に近くなった感じがする。アンダーステア/オーバーステアのステア特性でいえば、リアがしっかり接地する感覚ゆえ、見かけ上はアンダーが強くなったようにも思う。そして確かに直進安定性も向上している。
フルロック3回転というパワーステアリングは操舵力も軽く、スクラブも+10mm程度と適度な路面反力があり、ギア比的にも早すぎない。やたらギア比をクイックにして、ノーズの動きを機敏にみせているクルマもあるが、アネシスのものはフツウに切って過不足のない自然な感覚がいい。その上で旋回中心は最近のFR車ほど後方にはなく、ほどほどに中心部に近い軽快な旋回感覚さえある。
普通さが買い
2.0i-Sは2リッターで140psと19.0kgmのパワー/トルクを発生する。特別にパワフルな印象こそないものの、2000〜3000rpm の実用域で使いやすい特性であり、水平対向4気筒エンジンは縦置きゆえの振動特性上、トルク反動で上下に持ち上げられるような感覚がない。
4ATも流行の多段ATではないが、変速の繋がりはスムーズだし、エンジンブレーキ時には、1段落としただけでちゃんと減速の節度を感じとれる。
インプレッサ アネシスの良さは、そうした動力性能やハンドリングなどをことさら強調することではなく、普段の実用走行における安楽な日常性である。セダンらしい普通さが買いであろう。
座り心地のいいシートだとか、全方位にストレスの少ない視界であるとか、ゴルフバッグが4個積めるという大きさはもとより、シートバックを倒せばフラットになるトランクルームであるとか、そうした使い勝手の良さを十分に考え、飽きさせずに長期間付き合える馴染みやすさが身上か。流行に媚びず、かといって遅れてもいない、真の実用車とはそういうものであろう。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸)

笹目 二朗
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