プジョー308GTi(FF/6MT)【ブリーフテスト】
プジョー308GTi(FF/6MT) 2008.08.11 試乗記 ……355.0万円総合評価……★★★★
プジョーのハッチバックモデル「308」。175psの1.6リッターターボエンジンに6MTを組み合わせたスポーティモデル「GTi」で、その使い勝手と乗り心地を試す。
なぜGTじゃないのか
最近のプジョーのラインナップを見て、「GT」と「GTi」の選り分けについて疑問を抱いた人もいるだろう。「207」のハッチバックは「GT」と「GTi」の両方を用意したのに、ワゴンモデルの「207SW」はGTi、オープンモデルの「207CC」はGTだけだ。じゃあ「308」ハッチバックはどうかと見れば、GTiしかない。しかもその308GTiは、207GTiのようなバケットシートはつかず、屋根はガラスルーフ付きと、207でいうGTに近い成り立ちなのだ。
ではなぜ308GTじゃないのか? 207のスペックを見れば、この疑問はある程度解消する。GT、GTiはすべて1.6リッター直噴ツインスクロールターボエンジンを積むが、最高出力はGTが150ps、GTiは175psと明確に分かれているからだ。
しかも日本仕様の308は、5ドアATの「プレミアム」や「シエロ」でも140psの1.6リッターターボを積んでいる。207GTとは10psの差しかない。GTではなくGTiを名乗った理由はここにもありそうだ。
同じ3文字を掲げる「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」は2リッターターボだから力でおよばないし、専用エアロやバケットシートや大径ブレーキで武装した207GTiほどストイックでもない。でもGTとして考えれば、このクラスで最良の1台。4メーターそこそこのボディ、1.6リッターエンジンで、ここまで快速快適な4シーターはなかなかない。
308GTiにおけるiはインテリジェンス。そう考えると理解しやすそうだ。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ハッチバックモデル「307」の後継モデルが「308」。その307は2001年10月にデビュー。約7年ぶりのフルモデルチェンジで、デザインが一新、ボディサイズの拡大に加え、エンジンが新しくなった。
ボディサイズは、全長×全幅×全高=4290mm×1820mm×1515mm。307より80mm長く、60mmワイドで、15mm低くなった。5ドアモデルのほか、3ドアモデルもラインナップされる。
エンジンは、プジョー・シトロエンとBMWが共同で開発した新世代の1.6リッター直4ターボを搭載する。2種類のチューニングが施され、スタンダード版には4段ATが、ハイパワー版には6段MTが組み合わされる。
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(グレード概要)
ラインナップは5ドアの「プレミアム」と「シエロ」、3ドアの「GTi」の3グレード。エンジンは、全モデル1.6リッター直4ターボを搭載する。5ドアモデルが標準の140ps/24.5kgm仕様で、テスト車のGTiは175ps/24.5kgmに高めたハイスペックエンジンとなる。
「GTi」には、パノラミック・ガラスルーフやバイキセノン・ヘッドランプ、フロント&バックソナーなどが標準装備される。また、フロントシートヒーターはオプションで、インテグラルレザーは受注生産で選べる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
インパネは5ドアの上級グレード、シエロと共通の仕立て。装備もシエロに近い。GTiという名前から連想する硬派な空気はなく、むしろ優雅なカーブでエレガントな雰囲気を演出している。仕上げもかつてのプジョーとは比較にならないほどいい。そこにアルミ製ノブを持つMTのシフトレバーと、同じアルミのペダルが、控えめにスポーツマインドをトッピングしている。
足元はプジョーの伝統で狭いものの、ペダルの位置や間隔に不満はなく、フットレストも用意されていて、スポーツドライビングを問題なくこなせた。
(前席)……★★★★★
フロントシートの形状もまた5ドアと同じ。でも文句はない。座面はほどよい硬さと厚みで下半身を落ち着かせ、背もたれはしっかりした張りとサイドサポートで確実に上体をホールドする。1日300kmほどのドライブを2度こなしたが、まったく疲れないどころか、もっと座り続けていたいと思ったほど。このクラスではトップレベルのデキだ。でもここまで快適だと、標準のブラックファブリック&レザーのコンビもいいけれど、オプションのインテグラル・ヴィンテージ・レザーのほうが似合いそう。
(後席)……★★★★★
こちらはトップレベルどころではなく、文句なくクラストップ。少し前に他誌の取材でライバル車と乗り比べて再認識した。2.6mを越えるホイールベース、1.8mを越える幅、1.5mを越える高さが広い空間を生み出しているだけでなく、ダブルフォールディング方式の折り畳みにこだわったおかげで、座面の高さや傾きまで理想的なのだ。シートサイズもたっぷり確保してあるから、2名掛けなら長距離も楽勝だろう。乗り降りが不便なのは3ドアだからしかたなし。
(荷室)……★★★★
広さはVDA計測方式で348リッターと、そんなに広いわけではないが、フロアは低く、プジョーの伝統で左右の出っ張りがないのに加え、ダブルフォールディング方式の後席は低く畳めるのがいい。個人的に気に入ったのはトノカバーに仕込んだ収納スペース。リッドが前後どちらからも開閉できることを含めて、とにかく便利だ。気になるのはゲートの開口部が高めなこと。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
最初に書いたように、175psを発生する1.6リッターターボエンジンは207GTiと同じ。ただしコンビを組むMTは5段から6段になる。1390kgの車重は130kg重いけれど、低いローギアのおかげでスタートダッシュは207GTiより俊敏。
その後も爆発力こそないものの、全域でターボらしからぬリニアなレスポンスと、ターボならではのフレキシビリティが共存している。しかも5ドアの140ps仕様と違い、フォーンという心地いいサウンドを響かせながら、5000rpm以上でも伸びを鈍らせることなく、元気に回転を上げていく。シフトタッチは207GT/GTiの5段と似ていて、もう少し確実なゲート感と剛性感が欲しい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
タイヤは、5ドアのプレミアムが205/55R16、シエロが225/45R17なのに対し、テスト車は225/40R18となるが、乗り心地は街なかでもシエロよりいいのでは? と思うほどまろやか。サスペンションチューンが絶妙なのだろう。それでいて高速道路でフワつくことはなく、姿勢をフラット&ソリッドにキープしてくれる。高速ではどっしりという言葉を使いたくなるほど安定した直進性を示す一方で、山道でステアリングを切れば5ドア以上にクイックに向きを変え、ロードホールディングも一枚上。ガラスルーフがもたらす腰高感もなかった。
5ドアの308も乗り心地とハンドリングを高次元でバランスさせているけれど、GTiはその両面をワンランク引き上げた、すばらしいGTだった。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2008年6月17日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:2468km
タイヤ:(前)225/40R18(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:307.1km
使用燃料:28.09リッター
参考燃費:10.9km/リッター

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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