「エンジンが冷えていると、ギアが4速に入らないのはなぜ?」
2008.08.09 クルマ生活Q&A トランスミッション「エンジンが冷えていると、ギアが4速に入らないのはなぜ?」
1988年式で走行距離9万kmの4WD車に乗っています。ATFを一度も交換したことがありません。このクルマでエンジンが冷えた状態で走り出すと、1km以上走行したあとでないとギアが4速に入りません。どこかに問題があるのでしょうか?
お答えします。これは、AT保護のための機構が働いているので、問題はありません。ATFの交換や走行距離は関係ありませんよ。
ATFが冷えた状態では、安定した油圧を供給することができません。ですから、AT内部で金属同士が触れる際にうまく潤滑を行うことができない可能性があります。なるべく早くATFを温める必要があるため、温度が低い状態では低いギアを選ぶようにプログラムされているのです。
低いギアで走行していれば、エンジンの回転数が高くなり、温まりやすくなります。センサーがATFの温度が十分に高くなったことを感知すると、保護機構が外れて高いギアを選ぶことができるようになります。それまでに、約1kmの走行が必要だったというわけですね。
4段のATでしたら、市街地の走行であれば3速で十分にカバーできます。あせらずに、エンジンやトランスミッションが温まるのを待ちましょう。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。