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第366回:初夏のイタリア直送便!
 「フィアット500アバルト」緊急インプレッション

2008.07.17 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第366回:初夏のイタリア直送便! 「フィアット500アバルト」緊急インプレッション

結構気合いが入ってる

なぜか知らねど、珍しくフィアットに呼ばれて、イタリアはトリノで行われた新型「フィアット500アバルト」の試乗会に行ってまいりましたっ! 日本上陸は来年春以降ってことなんだけど、人気沸騰必至なんで乗った翌日、さっそく現地からお届けしちゃいましょう!

さて、「アバルト」っていえば、俺なんかより読者のみなさんの方がよく知ってるとは思うけど、いわば「メルセデス」にとっての「AMG」であり、「BMW」にとっての「アルピナ」であり、「ホンダ」にとっての「無限」みたいなもん。ようするにお抱えチューニングブランドだ。

そもそもは元レーシングライダーのカルロ・アバルトって人が、1950年代からフィアットベースのチューニングを始め、レースで勝ちまくった上にクルマがカッコ良かったから、人気を博してしまい、そのうちフィアット傘下に入り、“お抱え”になってしまったという図式。中でもヌオーバ500、つまり2代目チンクエチェントのアバルトチューンは世界的に有名で、いつしか伝説になったと。たぶんね。
その後徐々に形骸化してオリジナル性は薄れ、たんなるバッジチューン車になりはててた。しかし2007年、30年ぶりにフィアット500が復活! それをきっかけに、アバルトも復活、それもご丁寧にフィアットとは別会社化され、かなり本格的なアバルト仕様が登場してきたってわけ。

それだけに今回の新型500アバルトは結構気合いが入ってる。エンジンは1.4リッター直4DOHCをベースにボルトオンターボで135psにまでパワーアップ。それ単体ではそれほどでもないんだけど、足まわりからスタビライザーからタイヤから内外装に至るまで専用チューンが施され、総合的に別物のようになってる。

シートの良さに感動

さて、トリノ市内からクルマで1時間ほどの、バロッコってところにあるプルービンググラウンドに向かう。
ズラリと並ぶ500アバルトを初めて見たんだけど、マジその赤と白のアバルトカラーが超鮮烈! まわりにオシャレな垂れ幕がかかってることもあるけど、イタリア人ってつくづくこういう色彩センスに長けてんなぁと思わされましたね。

で、すぐさま出撃!
全長20km以上という楽しげなワインディングロードに繰り出したんだけど、走り出してすぐ分かるのは専用シートの座り心地の良さ。もちろんレース用フルバケットなんかと違って極端なホールド性能はないけど、簡単なスポーツ走行程度では、ほぼ体はぶれない上、座り心地も上々。十分、日常生活に使えるレベルだ。

乗り込んですぐに、スポーツモードをオンにスイッチ。これでエンジンが最大パワーを出せるようになる。さらに車両姿勢制御のTTC(トルク・トランスファー・コントロール)スイッチをオフにして、クルマが自然に振る舞えるようにした。そうしないと3000rpmを超えた時のトルクの盛り上がりが違うし、クルマの向きもなかなか変わらなくなる。

思う存分振り回せる

そんな操作を行った後、小型車が得意とするような2、3速で曲がれるタイトなコーナーを心ゆくまで抜けてったんだけど、これがなんともほどよく楽しい!
おそらくね。絶対的なエンジンパワーや吹けの良さでは「シビック・タイプR」や「ゴルフGTI」などに敵わないだろうし、ステアリングフィールもそれなりにダル。このヘンは正直たいしたことはない。

ただ、切ったとおりにちゃんと曲がるし、たとえばアクセルを緩めながらコーナーに進入し、クリッピング直前で完全にオフにしてちょんとブレーキをかけてノーズを内側に向けたりするような動きは最高! ホイールベース2300mmとボディが小さいこともあって、思う存分振り回せるのだ。

それからタイトコーナーでさんざん試したんだけど、オーバースピード気味で入って、強引にリアを流そうとしてもまず流れない。ギリギリのところでニュートラルステアを維持し、安心して飛ばせるのだ。
逆にこういう点では、今のシビックなんての最新スポーツFF車のほうが、ステアリングフィールは薄いし、グリップ力ばっかり高くて振り回した感覚がなくて楽しくない。
つくづくフィアット&アバルト、わかってんなぁと思いました。

ま、チョイノリなんでそれくらいしか書けないし、詳しい仕様説明は別の記事に譲るけど、お値段は現地価格で1万8500ユーロからで、日本でも300万円ちょいで買えるというから、人気沸騰は請け合いだ。
来年春、あるいは夏頃には売り出すはずだから要注目ですなぁ。

(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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