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【スペック】全長×全幅×全高=4825×1890×1545mm/ホイールベース=2815mm/車重=1750kg/駆動方式=FF/2.5リッター直5DOHC20バルブ ターボ・インタークーラー付き(200ps/4800rpm、30.6kgm/1500-4500rpm)/価格=498.0万円(テスト車=503.0万円/レジャー・パッケージ=5.0万円)

ボルボV70 2.5T LE(FF/6AT)【試乗記】

もっともっと 2008.07.02 試乗記 島下 泰久 ボルボV70 2.5T LE(FF/6AT)
……503.0万円

2007年11月にデビューした新型「ボルボV70」に、エントリーグレード「2.5T LE」が追加された。安い価格と引き替えに、失ったものはあるのだろうか?
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グッと近い存在に

大幅なサイズアップを果たし、エンジンも直列6気筒が主力に据えられるなど上級移行が図られた新型ボルボV70は、同時に価格もグンと跳ね上がってしまった。ベースモデル同士の比較で、従来より100万円以上も高くなったのだから、ユーザーが戸惑ったとしても当然。さてボルボは、一体どんな手を打ってくるのかと思っていたところに登場したのが、この「V70 2.5T LE」である。

ラインナップのボトムレンジを支えるべく登場したこの2.5T LEは、直列6気筒ではなく、ボルボファンにはお馴染みの直列5気筒2.5リッター低圧ターボエンジンが搭載されている。スペックは最高出力200ps、最大トルク30.6kgmで、組み合わされるのは6段ATだ。

装備も簡素化されている。しかし装備表を見まわして目につくのは、タイヤが16インチになり、オーディオがDYNAUDIO社製スピーカー付きの“プレミアムサウンド”から“ハイパフォーマンス”とされ、クルーズコントロール、フォグランプ、アクティブヘッドライトなどが省かれるというくらい。安全装備は上位グレードと同様な内容が付いているし、ラゲッジカバーもパワーテールゲートも標準装備とされている。しかも先般行なわれた仕様変更でレザーシートまで装備されるようになったから、主立ったものはすべて備わっているのである。

これで車両本体価格は498万円と、ギリギリ500万円を割り込んでいる。先代のエントリーグレードは440万円という価格だったが、エンジンはNAだったし装備もここまで充実していなかった。ひとつ上の「3.2 SE」の575万円という価格を考えても、新しいV70がグッと近い存在になったのは間違いないだろう。

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もっともっと乗っていたい

では2.5T LEが代わりに失ってしまったものはないのだろうか? 気になるのは、やはり走りっぷりだ。

まず動力性能には、まったく不満を感じることはなかった。30.6kgmという最大トルクを1500rpmから4000rpmまでの広範囲で発生する低圧ターボエンジンは、踏み込むと過給が速やかに、しかも上品に立ち上がって豊かなトルクを発生し、十分以上の力強さを感じさせる。荷物が満載でも、これなら相当粘ってくれるはず。6段ATの貢献度も大きそうである。

もちろんフィーリングの面では直列6気筒に譲るのも事実だ。そのキメの細かな吹け上がりには、そのために幾許かのエクストラを支払うだけの価値がある。しかしながら、熟成きわまった低圧ターボユニットの実直な仕事ぶりも、ボルボというクルマにはよく合っているように思う。

フィーリングという面で唸らされるのが乗り心地である。「ボルボといえば穏やかなハンドリング」という基本線は変わっていないものの、新型V70は強固なボディとしなやかなサスペンションによって、さらに洗練させている。しかも、この2.5T LEはタイヤがシリーズ最小の16インチとなるおかげで、路面の当たりもとても柔らか。快適だけど退屈じゃなく、刺激的なわけではないけれどステアリングを握っていると、もっともっと長い時間乗っていたいと思わせる。そんな仕上がりなのだ。

待望の新グレード

そういう気分にさせるのは、先代ではまだ希薄だった北欧テイストがしっくりと馴染んできたインテリアや、大きなサイズでふんわりとしたクッションを持ち、しかし芯の部分では身体をぶれずに支えてくれる相変わらず快適なシートのおかげでもある。とにかく広大で、しかも使いやすい、きれいにカーペットの敷き詰められたラゲッジスペースを含めて、ベースグレードであってもV70ならではの魅力はなんら欠けてはいないと言いきれる。

もちろん予算に余裕があるならば、より上のグレードやあるいは「XC70」を選ぶのもいい。しかし、この2.5T LEでも、V70の良さはしっかりと堪能できる。惹かれつつも、これまで価格が要因で二の足を踏んでいた人にとっては、まさに待望の新グレードと言えるだろうし、あるいは、このクラスの定番商品である「メルセデス・ベンツC200 ステーションワゴン」や「BMW 320iツーリング」あたりを検討していた人にとっても、この価格と内容なら、有力な選択肢となるのではないだろうか。

問題は車庫や行きつけのデパートなどの駐車場に、このサイズが無理なく収まるかということ。都市部で使うことを考えると、それこそが唯一最大の懸案事項と言えそうだ。

(文=島下泰久/写真=荒川正幸)


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写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
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島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

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