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【スペック】全長×全幅×全高=4370×1750×1410mm/ホイールベース=2660mm/車重=1530kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブ(156ps/6400rpm、20.4kgm/3600rpm)/価格=434万円(テスト車=554万3000円)

BMW120iカブリオレ(FR/6AT)【ブリーフテスト】

BMW120iカブリオレ(FR/6AT) 2008.05.27 試乗記 生方 聡 ……554万3000円
総合評価……★★★★
近頃オープンモデルは、折りたたみ式ハードトップが主流。そんな中、1シリーズに新しくラインナップされたカブリオレはソフトトップを採用した。BMWのコンパクト4シーターオープンの走りを試す。

カジュアルオープン

オープンカーはソフトトップの2シータースポーツに止めを刺す、というのが私の考えだが、その一方で、カジュアルに乗るなら、ちょっと古いが「ゴルフカブリオレ」や「プジョー306」など、ハッチバックの面影残るキャンバストップのカブリオレも捨てがたい。家族持ちには4シーターというのもありがたいし。しかし、残念ながら、ゴルフカブリオレは立派になって「イオス」に代わり、プジョーは307の時代に「CC」に路線変更するなど、この5年ほどの間にオープンモデルのソフトトップ離れが進んでしまった。

もちろん、クーペカブリオレも好きだけど、ソフトトップを背負うあのスタイルに郷愁を抱くのは、きっと私だけではないはずだ。現にヨーロッパでは、アウディが「A3」にカブリオレを追加したり、噂ではVWもゴルフクラスにソフトトップを復活させる話があるなど、ソフトトップ陣営(!?)の動きは活発になっている。

これに期待を寄せるようなファンにとって、この「120iカブリオレ」はまさに朗報だ。オープンエアモータリングをカジュアルに楽しめるだけでなく、そこはBMW、走りそのものもなかなか楽しい。私にとって、いま一番気になる4シーターのオープンカーである。


BMW120iカブリオレ(FR/6AT)【ブリーフテスト】の画像 拡大
テスト車のフルオートマチックソフトトップは、シルバー光沢仕上げのアンソラジットがオプションで備わる。
テスト車のフルオートマチックソフトトップは、シルバー光沢仕上げのアンソラジットがオプションで備わる。 拡大
BMW 1シリーズ の中古車
BMW120iカブリオレ(FR/6AT)【ブリーフテスト】

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
2008年1月のデトロイトショーでデビューした「1シリーズカブリオレ」。シリーズ初のオープンモデル。日本ではクーペモデル「135iクーペ」に1ヶ月遅れて、2008年3月26日に発売された。
ボディサイズは、クーペと同じで、全長×全幅×全高=4370×1750×1410mm。ホイールベースは2660mm。定員も同じく4名。電動式ソフトトップを備え、22秒以下の開閉時間でオープンエアモータリングが可能になる。
日本に導入されるのは、2リッター直4ガソリンエンジン(156ps/6400rpm、20.4kgm/3600rpm)を積む、右ハンドルの6ATモデルのみ。

写真をクリックすると幌の開閉が見られます。
BMW120iカブリオレ(FR/6AT)【ブリーフテスト】

(グレード概要)
1シリーズは、クーペモデルが3リッターターボ搭載の「135iクーペ M-Sport」、カブリオレは2リッターNA搭載の「120iカブリオレ」が用意される。
カブリオレに装備される「ロールオーバープロテクションシステム」は、リアシートのヘッドレスト内にポップアップ型のロールオーバーバーを内蔵。センサー制御により、バーが瞬時に飛び出し、乗員を保護するもの。また、Aピラーも大幅に強化されロールオーバーバーとしての役割を持つ。もちろん、運転席&助手席のエアバッグのほか、カブリオレ専用に開発されたフロントシート内蔵のヘッド/サイドエアバッグも標準装備される。

【車内&室内空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★★
ダッシュボードの下半分やドアトリム、そして、シートに青みがかったグレー(アラスカグレー)を施して、明るく楽しい雰囲気をつくりあげているのがカブリオレらしいところ。もちろんシックなブラック一色や、ブラックとベージュのツートーンも用意されるから、そのへんは好みで選べばいい。

ソフトトップは、煩わしい操作が一切不要の、スイッチひとつで開閉できるタイプ。開閉に要する時間は約20秒。40km/h以下なら走行中にも操作が可能だ。幌を下ろしても、サイドウィンドウを上げていれば、60km/hくらいまで風の巻き込みは気にならず、オプションのウインドディフレクターを装着すれば真冬の高速でもぬくぬくとオープンエアモータリングが楽しめそうだ。

メーターやセンタークラスターはシンプルで長くつきあえそうなデザインを採用。質感も十分に高い。

(前席)……★★★★
試乗車にはオプションのレザーシートがおごられていた。張りのあるレザーの座り心地は悪くないが、個人的にはオプションのランバーサポートをオーダーしたい。シート調整は、スライド、リクライン、リフトともに電動で、これは標準のファブリックシートでも同じ。レザーシートを選ぶと自動的に付いてくるシートヒーターは、ファブリックシートではオプションとなるが、選べるだけでも助かる。
Bピラーがないカブリオレではシートベルトの位置が心配。しかし、無理せずに手が届く場所にあり、不便は感じない。

(後席)……★★
フロントシートとの間隔が狭く、膝の前にはわずかなスペースが確保される程度。フロントアームレストが邪魔で、横の移動もままならない。さらに、サイドのトリムがラウンドしているし、シートバックが立っているせいで、大人には窮屈な空間である。しかし、幌を下ろしたときの開放感は前席の比ではない。風が気持ちよければ、狭い思いをしてでも陣取る価値がある場所だ。

(荷室)……★★★
奥行き70cm、高さ40cmほどのトランクルームは、このサイズのオープンカーとしては、可もなく不可もなしのスペースだ。4人フルに乗車しなければ、リアシートにも荷物が置けるから、ふだん乗るにはそれほど困らないだろう。残念ながらリアシートは倒せないが、オプションでスルーローディングシステムを選べば、長尺物も収納可能。
弱点は、幌を開けると、その収納部分が荷室を侵食すること。目一杯荷物を詰め込むと幌が開かないのでご注意を!

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
車両重量は、5ドアハッチバックの「120i」より140kg重い1530kgに達し、低回転では少し物足りないかなぁと思うものの、走り出してしまえば、エンジン、オートマチックとも優れたレスポンスを示すおかげで、不満は感じない。3000rpmを回ったあたりからは多少トルクが充実しはじめ、回転計の針が右半分にさしかかるころには、トルクの盛り上がりが実感できるほど。156ps、20.4kgmというスペックだけに、特別「速い!」というわけではないが、カジュアルなカブリオレには、このくらいがお似合いだろう。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
標準では205/55R16のランフラットが装着されるが、オプションの17インチホイールに前205/50R17、後225/45R17のランフラットへとインチアップしたテスト車は、やや硬めのサスペンションと組み合わされ、低速ではゴツゴツとした感触を伝えてくることがあった。しかし、スピードが上がると、あまり気にならなくなるし、フラットで落ち着いた感じも好ましい。ボディ剛性も申し分ない。
低速で重たいステアリングは不満だが、ステアリングフィールは自然で、コーナーでの動きも素直で軽快。わりとコンパクトなボディも手伝って、クルマとの一体感が味わえるのが、このクルマの醍醐味だ。

(写真=高橋信宏)

【テストデータ】

報告者:生方聡
テスト日:2008年4月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:2668km
タイヤ:(前)205/50R17(後)225/45R17(いずれも、GOODYEAR EAGLE NCT5h☆)
オプション装備:メタリックカラー(モンゴルブルー/7万5000円)/ボストンレザー(アラスカグレー/25万8000円)/iDriveナビゲーションパッケージ(30万円)/スタースポーク・アロイ・ホイール(9万2000円)/ソフトトップ(アンソラジット/1万7000円)/ウインドディフレクター(4万9000円)/ウォールナットライトウッドトリム(5万1000円)/ルームミラー内蔵ETC(4万9000円)/PDC(パーク・ディスタンス・コントロール/10万8000円)/アダプティブヘッドライト(5万9000円)/HiFiシステムプロフェッショナル(14万5000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:357km
使用燃料:35.9リッター
参考燃費:9.94km/リッター

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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