トヨタ・アルファード240S(FF/CVT)/ヴェルファイア3.5Z“Gエディション”(FF/6AT)【試乗速報】
まる子も、サザエも、しんちゃんも 2008.05.22 試乗記 トヨタ・アルファード240S(FF/CVT)/ヴェルファイア3.5Z“Gエディション”(FF/6AT)……425万2350円/533万750円
2008年5月、トヨタの高級ミニバン「アルファード」が2代目になった。
威風堂々路線まっしぐらの“走る御殿”を、ニッポンの家族はどう乗りこなす? 新たな兄弟車とともにリポートする。
この子どこの子、トヨタの子?
新型アルファード最大のトピックは、「ヴェルファイア」という兄弟車が誕生したことだろう。が、この2台は顔つきが違うだけで中身は一緒。ここでは同一車種として扱います。
双子の弟であるヴェルファイア、その車名の由来は、ディスコ「ヴェルファーレ」で遊んだ世代をターゲットに……というのは真っ赤なウソで、「VELVET(もの静かな)」+「FIRE(情熱)」からの造語だという。
フロントマスクは「アルファード」というより「日産エルグランド」の弟みたいだし、イメージカラーは「ホンダ・オデッセイAbsolute」の紫にそっくり。つまり、いままで取りこぼしていた“ちょい悪ミニバン”市場に食い込むためのやんちゃ系モデルだ。
そっくりと言えば、アルファード/ヴェルファイアのスピードメーターとタコメーターはブルガリの腕時計にそっくり。でも、このクルマはヨーロッパには輸出されないらしいから大丈夫だ(何が?)。
なんて、イヂワルな書き出しになってしまったのは、「こりゃ売れそうだ」とピンときたから。ねたみですね。コーナーでのイヤなロール(横傾き)や燃費の悪さといった従来型のネガが大幅に解消され、洗練された3列シートのファミリーカーに仕上がった。
ちょっと張り切って飛ばしても、身のこなしはナチュラルになったし、乗り心地もしっとり。燃費はモデルチェンジ前に比べて2.4リッター直列4気筒モデルで約20%(!)、V型6気筒モデルは3リッターから3.5リッターに排気量が増えたのに約7%も改善しているというから大したものだ。
「ちびまる子」ファミリーが乗ったなら……
ミニバンの評価で難しいのは(あるいは面白いのは)、座る席によって印象ががらっと変わることだ。
3列目シートに座る人にとってはハンドリングなんてどうでもいいし、逆にドライバーは3列目の乗り心地なんて気にしない。だからミニバンを評価するにあたってはドライバーの視点だけでなく、誰がどこに座るのかをイメージすることが重要かと存じます。
アルファード/ヴェルファイアには前席から「2+2+3」の7人乗り仕様と、「2+3+3」の8人乗り仕様が存在する。
ここではまず、『ちびまる子ちゃん』のさくら家が7名乗車仕様を買ったと想定してみたい。
余裕で足を組むことができ、しかもバックレストがほぼフルフラットの状態にまで倒れる2列目シートは、おじいちゃんとおばあちゃんに座ってほしい。ふくらはぎをサポートするオットマンとリクライニングがともに電動になるエグゼクティブパワーシートを奮発すれば、まさに極楽。ファーストクラスは言い過ぎにしても、ビジネスクラスのムードはむんむんに感じられる。
足下が狭いうえに、タイヤの真上で乗り心地も悪い3列目は、まる子とおねえちゃん。3列目はタイヤハウスからのノイズも入ってきて一番うるさい場所だ。けれどもタイヤのノイズより、まる子が歌う山本リンダのほうがうるさいはずだ。なにより、子どもは狭い場所が好きなのだ。
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2.4リッターがベター
ここで問題となるのが、お母さんのポジショニングだ。3人座れる3列目で母娘3人水入らず、という構図もアリ。けれど、それだとだだっ広い車内でお父さんがポツネンと運転手になってしまう。たまにこういう乗員構成のミニバンを見かけるわけですが、同じオトーサンとしてちょっと寂しい。ぜひとも助手席にはお母さんが座って、ガムの包装紙をむいてオトーサンに渡してほしい。
お母さん、よく聞いてください! アルファード/ヴェルファイアはですね、運転席/助手席の乗り心地が一番いいんですよ。
それでもお母さんがどうしても3列目に座ると言うのなら……(以下、略)。
ガソリン価格高騰の折、ヒロシさん(まる子のお父さんの名前です)にはCVTと組み合わせれる2.4リッターの直列4気筒を薦めたい。パワーは充分で、6ATと組み合わされる3.5リッターV6より明らかにショボいと感じられるのは登り坂での追い越し加速ぐらい。
同じグレードで比べると、エンジン同士の価格差は約40万円。40万円あれば、どれだけオプションが付けられることか。やはり2.4リッターのほうが「賢い買い物」だ。
「親子の対話」か「夫婦の会話」か
アルファード/ヴェルファイアの8人乗り仕様には、磯野家のみなさんに乗ってほしい。運転席はサザエさんだと予想する。カツオは助手席に座りたがるだろう。3人座れる2列目には、波平とフネの間にタラちゃん、3列目がワカメとマスオさんというフォーメーションはどうでしょうか。
かように、二世帯家族の場合は、「おじいちゃんとおばあちゃんは2列目」で盤石のフォーメーションとなる。
問題は、4人家族の場合だ。
『クレヨンしんちゃん』の野原家を例にとれば、お父さんとお母さんが運転席/助手席に座ると、2列目がしんちゃんと妹のひまわりになる。でも子どもふたりは、悔しいことにわが家のテレビよりも鮮明な画面のVGAディスプレイに映るDVDに釘付けになるはずで、親子の対話はなくなる。けれど、その代わり夫婦の会話は増える(はず)。
「親子の対話」か「夫婦の会話」か――
4人家族がミニバンに乗る際のフォーメーションは難しい。
ただし、4名乗車だと、簡単操作でサードシートをたたんで、広大なラゲッジスペースをあっという間に作り出せる。その広さたるや運動スペース付きの巨大な犬小屋を設置できるほど。だから、野原家にアルファード/ヴェルファイアがやって来た場合に一番嬉しいのは、愛犬のシロかもしれない。
(文=サトータケシ/写真=峰昌宏)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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