オーテックファクトリーカスタムカー試乗会【試乗記(前編)】
オーテックファクトリーカスタムカー試乗会(前編) 2008.04.10 試乗記 日産車をベースにコンプリートカーを作るオーテックから、“ワンランク上の走り”にこだわったモデルが登場した。4台を集めた一気乗り試乗会で、その実力を試す。明確な違いを打ち出すために
(1)特装車及び部用品等の企画、開発、生産、販売
(2)モータースポーツ車用エンジンの開発
(3)日産直納車、輸出車の架装請負
……と、会社概要書からその“事業内容”を拾い出してみると少々厳めしい。要は「日産ではなかなか手を出しづらい、少数のスペシャルティビークルの創造」を目的に1986年に設立されたのがオーテックジャパンである。日産の100%出資にして“独立会社”であるのも特徴だ。
日産車同様の品質保証が行われ、コンプリートカー販売を前提としたトータルコーディネーション=“ファクトリーカスタム”が謳われる、そんなオーテック社のモデル4台を、一気にテストドライブする機会が設けられた。ちなみに、同社が自らこうした試乗イベントを企画するのは、初の試みであるという。
集められた4台は、「ハイパフォーマンススペック/パフォーマンススペック」と呼ばれる、外装以外に走りの面でも手が加えられたクルマ。チューニングのポイントは、「試乗して、ノーマルとの違いがすぐわかる」ことだという。
ハードでスパルタンな足まわり/ノート・ライダーHPS
ノート・ライダーHPS(ハイ・パフォーマンス・スペック)(FF/CVT)
……215万4600円
「アメリカンカスタムの持つ自由さとおおらかさをイメージして誕生した」というのが、今やオーテックジャパンの主力商品のひとつとなったライダーシリーズ。このシリーズは、1ボックスモデルの「キャラバン」や、三菱自動車からOEM供給される軽自動車の「オッティ」なども含め現在では10車種に設定される。そうした中で、日産を代表するコンパクトカー「ノート」をベースとしたのが「ノート・ライダー」だ。
実はノート・ライダーには2タイプがあって、今回テストのモデルは外観や内装関係のみならず、エンジンやボディなど直接走りに関わる部分にも手を加えたHPS仕様。一方、「見た目のカスタム化だけで満足」というユーザーに向けては通常の「ライダー」も用意される。どちらも15Xをベースとする。HPSが193万4100円、ただの(!!)ライダーが168万2100円と、両車の価格差はおよそ25万円。
HPS仕様は、走り出しの瞬間からベース車に対して明確に太いトルク感を味わえる。ECUチューンや吸気側バルブタイミング/リフトの変更などでエンジンのハイオクタンガソリン仕様化が施されたゆえか。フジツボ製マフラーから吐き出される乾いたエキゾーストノートもなかなかの気分。すでにこの段階で“チューンドカー”の雰囲気が色濃くただよう。
一方、ポテンザRE-01Rという“鬼グリップタイヤ”を支えるべくかためられた足まわりは、かなりハードでスパルタン。ここでもチューンドカーぶりがわかりやすく演じられている。後席に座る家族の同意は簡単には得られないかもしれない……。
フロントのサス・タワーバーやトンネルステーを追加し、ヤマハ製パフォーマンスダンパーも採用と、ボディにも幾ばくかの手が加えられている。しかし、正直その効果を実感するのは難しかった。ただし、このままちょっとしたサーキットランに参加してもおかしくないほどの足まわりを採用しつつ、それでもなんとか毎日の使用に耐えうる快適性を確保しているのは、そんなボディの局部剛性アップ策が効いているのかもしれない。
わかりやすい演出/ティーダ・アクシスPS
ティーダ・アクシスPS(パフォーマンス・スペック)(FF/CVT)
……248万5350円
より若者嗜好のライダーに対し、「大人の品格」を謳うのが、オーテックジャパンのもうひとつの柱であるアクシスシリーズ。こちらは、「ティアナ」や「ウイングロード」「シルフィ」など、よりファミリー向けのモデルをベースに6車種を展開する。「ティーダ・アクシス」もその1台で、試乗車はワンランク上の走りを与えられた「パフォーマンススペック」仕様とされている。
専用のグリルやフードトップ・モールでカスタマイズされた顔つきは、「中央に日産マークが大きくはいる、標準のティーダ顔はちょっと」という人にも好まれそう。インテリアも専用本革シートや木目調パネルの採用で、確かに一見ゴージャス感が増している。が、ホワイトのボディにタンカラーのシートというテスト車のコンビネーションは結構ビミョーなもの。もう少し暖色系のボディカラーとであればマッチングは良さそうなのだが……。
エンジン関係には手が加えられず、「電動パワステの特性専用化」と「専用チューンドサスペンションおよび専用タイヤ」の採用が報告されるこのPS仕様。高速走行時はピッチング方向の動きが抑えられてフラット感は意外なほどに高い。が、低速時にはそれなりの揺すられ感アリ。やはりこの種のモデルには「ショールームを出たらすぐの、わかりやすい演出」が必要なのかもしれない。
ステアリングフィールは中立付近の押さえが少々甘く、大きく切り込んだ際のイナーシャ感も大きいという電動パワステならではのウィークポイントは残すものの、路面とのコンタクト感は色濃いもの。これで“標準アクシス”との8万円強の差というのは、なるほどリーズナブルと言うべきなのかもしれない。(後編に続く)
(文=河村康彦/写真=峰昌宏)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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