スバル・フォレスター2.0XTプラチナレザーセレクション(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
スバル・フォレスター2.0XTプラチナレザーセレクション(4WD/4AT) 2008.03.27 試乗記 ……320万7750円総合評価……★★★★
2007年12月にフルモデルチェンジを果たした「フォレスター」。「インプレッサ」のコンポーネンツを活用したスバル期待のSUV。新型のターボモデルでその走りを試す。
スバルの挑戦
3代目に生まれ変わって、「フォレスター」はすっかりSUVらしくなった。
初代、2代目は、少し背の高いワゴンというか、少し背の低いSUVというか、いずれにせよ、ワゴンでもない、SUVでもない、“クロスオーバー”なんて言葉で括られる、流れから少しはみ出した存在だった。案外そのユニークさに魅力を感じていたユーザーは多いはずなのに、その個性派を一転して、「トヨタRAV4」や「ホンダCR-V」と同じ土俵に立たせてしまうのだから、スバルも思い切ったことをするものである。
背景にはクロスオーバーの草分けともいえる「レガシィ・アウトバック」と性格がダブることや、最大のマーケットである北米でコンパクトなSUVに関心が高まっているといった事情があるようだ。飽和状態の日本のSUV市場で、果たしてその選択が吉と出るか凶と出るか、予想は難しい。
ただ、試乗してみると、基本的なところはしっかりできているし、ベースとなった「インプレッサ」を凌ぐ部分が見つかるなど、なかなかの仕上がりなので、このクラスのSUVを検討中の方は、候補のひとつに加えておいて損はないと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年、「マルチスポーツ4WD」を謳いデビューした初代「フォレスター」。2002年、乗用車の動力性能と、SUVとしての走破性を兼ねもつという先代コンセプトを変えず、オン・オフ両性能を進化させ2代目が登場した。
そして5年ぶりのフルモデルチェンジとなる3代目では、“Best Balance for Active Life”を開発テーマに全面的に刷新。プラットフォームは、2007年7月に登場した3代目インプレッサのそれをベースに、ボディサイズをひとまわり拡大して居住空間やラゲッジルームを広くした。
エンジンは従来どおり2リッターNAと2リッターターボの2種類。いずれもシリンダーヘッドのDOHC化などにより出力が向上。トランスミッションはターボ、NAモデルともに4段ATまたは5段MTが用意される。
(グレード概要)
ラインナップは、ベースの「2.0X」、装備が充実した「2.0XS」とそのターボモデルの「2.0XT」の3グレード。2.0XS、2.0XTには、“プラチナセレクション”や“プラチナレザーセレクション”装着車が用意される。
テスト車は、ターボモデルにプラチナレザーセレクションが付いた最上級グレード。「2.0XT」には、クルーズコントロールや本革巻ステアリングホイール、「SI-DRIVE」、アルミパッド付きスポーツペダルなどが標準装備されるスポーティな仕様。さらに、プラチナレザーセレクションは、プラチナレザーの内装に大型ガラスサンルーフ、UV&紫外線カットガラス、フィルター付フルオートエアコンなどが備わる。
|
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
濃淡2色のグレーのあいだに、羽を広げたようなシルバーのパネルを配したダッシュボードは、インプレッサとよく似たデザイン。この2.0XTでは木目調パネルが添えられたり、ドアトリムの一部にファブリックが与えられるなどして、インプレッサに較べると居心地がいい。大型ガラスサンルーフも開放感アップに貢献している。
メーターはアナログのシンプルなデザインで、これとは別にセンターパネル上部には外気温、平均燃費、時刻を表示する“インフォメーションメーター”が設置される。欲をいえば、平均燃費だけでなく、瞬間速度や平均速度、航続距離などに切り替えられると便利。
横滑り防止機能のVDC(ビークルダイナミクスコントロール)が全車に標準装着されるのは大きな進歩。サイドエアバッグやカーテンエアバッグもぜひ標準にしてほしい。
|
(前席)……★★★
試乗車はラインナップでは最上級となる“プラチナレザーセレクション”で、シートをはじめ、ステアリングホイールやシフトレバーに明るいグレーのレザーが施される。シートのレザーは張りがあり、長時間の運転でも不満はないが、個人的にはざっくりとした生地に低反発タイプのクッションが組み合わされる標準の“ジェットブラックインテリア”も捨てがたい。
運転席からの眺めは、ボンネット中央に膨らむエアインテークがターボ車オーナーの心をくすぐる一方、多少視界の邪魔になるのも事実。ステアリングはチルトに加えてテレスコピック機能が備わり、スライド/リクライニング/リフト調節が電動となるシートとあいまって、快適なポジションが得られる。
|
(後席)……★★★★
旧型に比べて90mm長いホイールベースの延長分をほぼ後席のスペース拡大にあてたというだけに、その広さは十分すぎるくらい。足元は、前席の下に爪先がすっぽり入るが、そこまで足を前に出さなくても済んでしまうほど。足を組むことも可能だ。頭上は、大型ガラスサンルーフが備わるために天井が少し低くなってはいるものの十分なスペースが確保される。リクライニング機構が付くのも便利なところ。
左右両サイドに加えて、中央席にもヘッドレストと3点式シートベルトが標準装着されるのは良心的。ただし、中央部にアームレストやドリンクホルダー付きのテーブルが仕込まれるので、座り心地はいまひとつだ。
|
(荷室)……★★★
960mmの奥行はボディサイズ相応といったところだが、荷室幅があり、ホイールハウスの張り出しも小さいため、とても広く見える。荷室の高さも十分確保されているが、SUVだけに、ステーションワゴンよりもフロアが高めなのがやや辛いところ。トノカバーはディーラーオプションになるが、セキュリティ上は手に入れておきたいし、できれば標準装備に加えてほしい。
当然、後席は分割可倒式で、荷室のレバーを操作するだけで、ワンタッチで前倒しできるのは便利だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.0XTには、3種類のスロットル特性を選べる“SI-DRIVE”が搭載されている。まずはエコドライブ指向の「I(インテリジェント)」モードで走り始めるが、アクセルペダルを軽く踏んでいるかぎりは230ps/32.5kgmとは思えないほど大人しい。とはいえ、不満のない加速を見せる。これが「S(スポーツ)」モードになると、Iモードよりも明らかにトルクに厚みが増す印象で、さらに「S#(スポーツシャープ)」ならレスポンスが鋭くなる。街乗りならIモードで十分だ。
一方、ここぞというときには、どこからでも豊かなトルクが湧き出す性能。スペック上、2800rpmでトルクのピークを迎えるが、5000rpmを超えても衰えはあまり感じないし、アクセル全開ならDレンジでもレブリミットまできちっと回してシフトアップするのがまた頼もしい。
インフォメーションメーター内の平均燃費を見るかぎり、平均速度の低い都内でもさほど燃費が悪化しない反面、高速巡航では思ったほど伸びない印象。フルタイム4WDに230psというパワーを考えると悪くないとは思うが、さらなる燃費向上にはオートマチックの多段化が必要か?
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
標準で225/55R17サイズのM+S仕様タイヤが装着されるために、多少ザラついた感じがあったり、舗装の悪い部分を通過したときなどバネ下の動きが気になることがあるが、総じて乗り心地はマイルドで快適。高速ではベースのインプレッサよりもフラットなほどで、、首都高速の継ぎ目でもハーシュを巧みにいなすマナーの良さを見せる。
油圧式パワステのしっとりとした感触にも好感が持てる。ワインディングロードを試すことはなかったが、街なかや高速でも、ステアリング操作にすっと反応するあたりは、スバルのDNAを感じる部分。こう見えて小回りが利くのも、運転のしやすさにつながっている。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2008年2月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:4004km
タイヤ:(前)225/55R17(後)同じ
オプション装備:HDDナビゲーションシステム+キーレスアクセス&プッシュスタート+SRSサイド&カーテンエアバッグ(38万8500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:492.2km
使用燃料:54.4リッター
参考燃費:9.04km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。





























