BMW135iクーペ M-Sport(FR/6MT)【試乗記】
四角いオオカミ 2008.03.17 試乗記 BMW135iクーペ M-Sport(FR/6MT)……587万5000円
BMWの末弟「1シリーズ」に、トランク付きの2ドアクーペが追加設定された。306psの心臓で“ハイスペック一本槍”な新型の乗り味とは……?
『webCG』のコンドーと関が、試してみた。
伝統の「 凸 」
コンドー(以下「コ」):おぉー。写真より現物のほうが遥かにカッコええな! BMW1シリーズのクーペ、ひさびさにグッときた。
関(以下「せ」):っていうか、いまどきこんな“凸型”のクルマって、ほかに無いですよ。いかにも「3BOXカー」って感じ。
コ:ワンボックスとかツーボックスとか、それこそ死語やがな。こどもにクルマの画を描かせたら全部ハッチバックになってまう今では、ホンマに新鮮なシルエットやな。
せ:実際、元になるデザインイメージは古くて、1968年にデビューした「BMW2002」からインスピレーションを得たそうです。
コ:通称「マルニ」。なかでも、ハイパフォーマンスモデルの「2002ターボ」は“羊の皮を被った狼”なんて言われてた。この「イチサンゴ」もターボ付きやし、まさにそのリバイバル版てとこか。
せ:でも、顔は、まんま1シリーズ。どうせなら、2002みたいな二つ目にすればよかったのに。
コ:ほな、それはカスタマイズの楽しみにでもしとき! にしても、小っさいなぁ。
せ:全長×全幅×全高は、4370×1750×1410mm。往年の「2002」(4230×1590×1410mm)に較べたら、ずいぶんデッカいですけどね。
コ:現行「3シリーズ」より20cm以上短いし、全然似てへん。兄貴分の335iクーペは同じエンジンやけど、どっちにするか、あんまり迷わへんやろな。
せ:デザイン的には、むしろ5シリーズと似てるかも。好き嫌いが分かれるって点でも。
コ:個性的で、シュッとしてるやん。よく見るとキャビンはずいぶん後ろ寄りになってんなぁ。
せ:このクルマでも、ビーエムは前後重量配分=50:50にこだわってるんですよ。鼻先には、大きな直6ターボエンジンが納まってますし。日本市場はモノグレードだけど、海外でも、ほかにNAの直6とディーゼルしかありません。
コ:四隅の踏ん張り感が頼もしい。白の凝縮感が美しい。事情が許せばすぐ欲しい!
せ:……でも、538万円ですからね。それだけあれば、ほかに選択肢あるでしょう? 2ドアクーペなんだし、もっと流麗なカッコいいやつが。
コ:新型の「アウディA5」て言いたいんやろ? でも、ムコウは690万円からやし、ATだけしかあらへんし……
せ:MTで乗れるスタイリッシュな2ドアクーペなら、日本にもあるじゃないですかっ!
コ:え?
538万円、高いか安いか?
コ:あ、……CM出てる渡辺謙とイチローの顔しか覚えてへんかった……日本にクーペのときめきを。「スカイラインクーペ」!
せ:後光が射してます。誰がどう見てもカッコいい。
コ:登場の仕方まで凝らんでええねん。見た目だけで較べたら、とても同じカテゴリ同士とは思えんな。……これだけ見た目違たら、そもそも選択に悩めへんのと違う?
せ:排気量もはるかに大きい、3.7リッター。パワーは27ps増しの333ps! で、410万円ほど。断然こっちでしょう!
コ:なんでも「安くて大盛り」がありがたいんと違うねん。スカイラインかて、135で標準の快適装備や安全装備付けたら、かる〜く500万円近くなんちゃう?
せ:ボディサイズからして、ひとまわり大きい(285mm長く、70mm幅広い)んですよ。やっぱ、135は割高な感じが否めません。
コ:それが“的ハズレ”や言うてんねん。このクルマは、「小さな高級車」が得意なビーエムの真骨頂やねん。いま、世界的にプレミアムコンパクト市場は伸びてる。「プライス=サイズ」なんて価値観は、古いて。
せ:コレだって、外見はそんなに高そうじゃないけどなぁ。日本には1000台も入らないし、“好き者用プライス”なんじゃないかなぁ。
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コ:じゃ、インテリアも見てみいな。運転席まわりのデザインは基本的にハッチバックの1シリーズと同しやけど、快適装備は最初からテンコ盛りやで。革のシートやステアリングは当たり前。HDDナビとETCと……
せ:真っ白なボディに、薄レモン色のシートの組み合わせ!? まるでチーズケーキみたいだ……!
コ:ウマそうやろ? フレッシュやろ? めっちゃ汚れるやろけど。 “チョコレート”のウッドパネルは、合ってへんかもな。
せ:標準は、アルミパネルです。この組み合わせなら、メープルとか竹とか、白っぽい木のほうが似合いますね。シートは6色も選べるんだから、パネルが3種類だけってのはもったいない。
コ:パネルなんか、自分で作ったらええやろ。カスタム、カスタム。
せ:色はともかく、肝心のトランクルームは、いまひとつかな。ゴルフバッグは、リアシート倒して縦に入れないと難しいかも。
コ:……まぁ、このクルマは走りが命。新型の「駆けぬける歓び」を、試してみよか。
乗ってしまえば、スポーツカー
コ:デフォルトで「Mスポ仕様」やから、お約束のぶっといステアリングが付いてくる。
せ:これだけで、がぜん“やる気”になりますねぇ。パワステは、オプションのアクティブステアリング機能がキモです。
コ:エンジン回転数に応じて切れ角が変わるんや。駐車場レベルやと、1回転以下でフルロックやもんな。楽チン。
せ:乗り心地はそれなりに硬めだけれど、「Mスポーツサスペンション」と聞いて覚悟していたほどの突き上げ感もなし。これなら、気軽に普段使いできますよ。
コ:低速トルクが豊かやから、MTでも扱いは楽チン。楽々カー。で、ここから踏み込むと……!
せ:速っえー!! 体がシートにめり込んでく〜
コ:そらまた懐かしいフレーズや。でも、ホンマにめり込むな。めっちゃ楽しい。こらァ、速いわ。
せ:あっという間に法定速度の○倍になっちゃ……いそう。0-100km/h加速5.3秒って、ハッタリじゃないですね。
コ:ポルシェの「ケイマン」が6.1秒、「ケイマンS」でも5.4秒やで。名実ともにポルシェ・イーター。笑いが止まらへんね! 安いと思わへんか?
せ:……軽さもポイントでしょうね。ハッチバックの「130i」より80kg太ったものの、同じエンジンの「335i」に較べれば、90kgも軽い。
コ:ターボ付きやって、言われへんとわからへんし、とにかくシューンとよく回る。NAのチューンドエンジンみたいや。
せ:だてに2007年度の「エンジン・オブ・ザ・イヤー」を獲ってないですね。
コ:音もええよ。クォーッ!っていうんは、ほんま癖になる。レスポンスもいい。スカイラインじゃ、こうはいかへん。
せ:モゴ〜ン!……って感じだし。速いには違いないんですけどね。全体的に、ちょっとモッサリしてるかな。シフトフィーリングも、135のほうがカチカチと小気味いい。残念ですが。
コ:エンジンだけやのうて、ハンドリングもかなり違うで。大きな直6積んでるのに、鼻先がスイスイ入っていく。
せ:ハッキリ言って、これはスポーツカー。いわゆる「スポーティなクーペモデル」とは違う。スカイラインのようなGTとも。
コ:そゆこと。なのに、しっかり4人乗りってのがイマドキやろ? 車内の寸法はスカイラインクーペに負けるかも知れへんけど。
せ:リアの乗り心地、スカイラインよりもむしろいいんです。ビーエムのほうが座面は短いし、背もたれだって立ち気味なのに。不思議と降りたくはならないですね。
コ:ボクシーなデザインが効いてるわけや。ヘッドクリアランスと足元のスペースで勝ち、やな。リアが傾斜したクルマは、どうしても我慢大会になってまう。
せ:これで4ドアだったらなぁ……。ハイパフォーマンスとのギャップが、ますます面白いじゃないですか。
コ:ますます家族を騙しやす、いや、説得しやすなるかも? 実はオオカミやゆうの、バレんようにせんとな。
せ:家族乗せるなら、ドライバー自身が狼にならないようにしないと。このクルマで自制するって、クルマ好きには相当な辛抱ですけどね!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=荒川正幸)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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