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【スペック】全長×全幅×全高=3935×1685×1440mm/ホイールベース=2545mm/車重=1230kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(120ps/6000rpm、16.3kgm/4250rpm)/価格=287万円(テスト車=312万5000円)

MINIクーパー・クラブマン(FF/6AT)【試乗記】

カッコだけでも二重丸 2008.02.28 試乗記 笹目 二朗 MINIクーパー・クラブマン(FF/6AT)
……312万5000円

MINIの最新バリエーション「クラブマン」が、いよいよ日本上陸。特徴的なロングボディは、どんな乗り味をもたらすのか? 売れ筋のグレード、「クーパー」を試した。 
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古くて新しい

MINIに、「クラブマン」というロングホイールベース版のモデルが加わった。
普通に言えばステーションワゴンなのだが、イギリス流のボディ形式にならって、狩りをする時などに用いたシューティングブレークを頭に描く。外板にウッドパネルこそ用いないものの、バックドアを観音開きにするなど、その昔の懐古趣味を現代感覚で蘇らせている。

一見すると、MINIの標準車を縦長に引き延ばしたような、ダックスフンド的にユーモラスな肢体ではあるが、これでもまだ全長は「クーパー」で3935mm、「クーパーS」で3960mmと、いずれも4mを切る。ホイールベースは80mm延長されて2545mmとなった。

ユニークなのは、ボディが左右対称ではなく、右側ドアの後方にWキャブトラックのような小さな隠しドアを持つことだ。これは、まず通常のドアを開けたあとに内側からしか開けられないものだが、後部座席の乗降性を大いに助ける。もちろんピラーレスで、両方に横開きだから広大な開口部が出現する。
これまで「MINIは欲しいけど、リアシートが狭くて……」と諦めていた人には朗報だ。

正面からの見た目は、ショートボディの「MINI」そのもの。ルーフ両端の盛り上がりが特徴だ。
正面からの見た目は、ショートボディの「MINI」そのもの。ルーフ両端の盛り上がりが特徴だ。 拡大
観音開きの「クラブドア」は、車体右側のみに備わる。
観音開きの「クラブドア」は、車体右側のみに備わる。 拡大
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見ても乗っても個性的

Cピラーの傾斜を少なくしてリアのカーゴルームを拡大させたことと合わせて、実用性も大いに向上した。リアシートは、欧州では2人の大人と子供1人の乗車が認められ、定員は4.5人となるが、日本の法規では4人乗りのまま。それはともかく、この中央部にバッグの一つくらいは置けるし、ホイールベースの延長は、レッグルームを確実に広げた。

実用性云々でなくとも、単にファンカーとして見て、このスタイリングだけでクラブマンを選ぶ価値はある。MINIシリーズのなかで最も魅力的なデザインであるから、販売比率もかなりの部分を占めることになるだろう。

ちなみに、この後半部分のウィンドウは、左右ともに開閉はできない。
またバックドアも、まず右を開けてから左を開ける、閉める場合にはその逆、という順序を守らないと開閉できない。ドアの開閉そのものはやや力を要するものの、ストッパーを兼ねるガス入りストラット付きである。建て付けはしっかりしており、他のクルマと明らかに異なる雰囲気は上々だ。

テールランプはボディ側に固定され、アウタースキンのみがドアとともに離れる。この作りはヘッドランプと同じもので、隙間にゴミがたまりにくいし、開閉に伴うショックで断線や接触不良などの故障をおこしにくい、巧いアイディアである。

なおこのランプまわりとルーフは、2トーンのカラー選択ができるなど、好みを活かした自分仕様に仕上げることが可能だ。

 
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身長174cmの筆者がリアシートに収まったところ。ホイールベースが「MINI」より80mm延長されたおかげで、足元のスペースは十分だ。
身長174cmの筆者がリアシートに収まったところ。ホイールベースが「MINI」より80mm延長されたおかげで、足元のスペースは十分だ。 拡大
観音開きのダンパー付き「スプリットドア」をもつ荷室。容量260リッターは「ポルシェ・ケイマン」のリアカーゴと同じで、「マツダ・デミオ」(250リッター)とほぼ同等。リアシートをたたむと930リッターに拡大する。
(写真をクリックするとシートアレンジが見られます)
観音開きのダンパー付き「スプリットドア」をもつ荷室。容量260リッターは「ポルシェ・ケイマン」のリアカーゴと同じで、「マツダ・デミオ」(250リッター)とほぼ同等。リアシートをたたむと930リッターに拡大する。
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2つのグレード、選ぶなら……?

走り出すと、ドライバー席から見える景色はハッチバックと同じながら、やはり長いクルマ特有のゆったりした感覚を味わえる。
路面から伝わるハーシュネスなどの音も、トン、トン、と入ってくる前軸と後軸の時間差が長い。旋回中心は一番後ろにあり、後軸がデンと居座り、前輪だけが右往左往しながら曲がって行く感覚は、スイスイ回頭するようにも感じられるが、紛れもないアンダーステア特性。軽快感とは異なる。
すなわち、前輪がスリップアングルを帯びて滑っている感覚ではないし安定性は上々なのだが、座っている位置そのものが左右に移動させられるのであり、ドライバーが中心になってクルマの前後が左右反対に振れる「ニュートラルな感覚」とは明らかに異なる。

極低速の話をすれば、パーキング時などの回転半径はショートボディ版「MINI」の5.1mから5.5mに大きくなっている。前が曲がれたからといって、後輪もそれに追いてくるとは限らず、横方向の見切りを大きく考える必要はある。

重量増加は約60kg。エンジンパワーはクーパーで120ps、クーパーSで175ps。今回、クーパーしか試乗できなかったが、120psでも十分に速い。ATのギア比が下げられファイナルも低いから、加速はどちらもほぼ同等と思っていい。タイヤはクーパーSの195/55R16に対し、クーパーは175/60R15となり、乗り心地にも有利。価格を見れば、287万円と、クーパーSの331万円に較べて44万円も安い。おすすめなのは、もちろん前者、クーパーの方だ。

(文=笹目二朗/写真=峰昌宏) 

 
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エンジン出力はショートボディの「MINI」と同じながら、より空力特性に優れるロングボディを得た結果、燃費の値(10・15モード)は13.8から14.2km/リッターに向上した。
エンジン出力はショートボディの「MINI」と同じながら、より空力特性に優れるロングボディを得た結果、燃費の値(10・15モード)は13.8から14.2km/リッターに向上した。 拡大
【試乗車のオプション装備】
ブリッジスポークアロイホイール16インチ=14万円/クロームラインエクステリア=2万円/カラーライン(ダークグレー)=2万8000円/インテリアサーフェスフルードシルバー=3万5000円/フラットフロア=3万2000円
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