メルセデス・ベンツC250エレガンス(FR/7AT)【試乗記】
遅れてきたC250 2008.01.22 試乗記 メルセデス・ベンツC250エレガンス(FR/7AT)……614万7200円
2007年6月の発売から売上げ好調なメルセデス・ベンツ「Cクラス」。半年がたって一歩遅れて導入された2.5リッターモデルを試す。
目論みどおり
新型Cクラスの販売が好調だ。2007年6月下旬の発売から10月末までの受注台数は約7600台に達し、そのうち5000台あまりがすでにユーザーのもとへ届けられている。7月〜9月の販売台数ランキングでも2位のBMW3シリーズに迫る勢いで、近ごろ街なかで見かける機会が増えているのも納得がいく。
打倒3シリーズ、そして、ユーザー層の若返りを狙って、スポーティ路線を強めた新型Cクラス。それを象徴するのが「アバンギャルド」と呼ばれるクーペグリルのタイプで、その販売比率はこれまでの流れを汲む「エレガンス」を大きく引き離し、7割を占めるという。おかげで購入者の平均年齢は下がる傾向にあるというが、予想以上のアバンギャルド人気で納期が長くなるなど、うれしい悲鳴を上げる状況にあるようだ。
充実装備が自慢
ところで、新型Cクラスには、大きく分けて3グレード、すなわち、1.8リッターのスーパーチャージャー付直列4気筒エンジンを積む「C200コンプレッサー」と、2.5リッターV6の「C250」、3リッターV6の「C300」がある。うち、生産スケジュールの都合でC250のみ遅れて日本に上陸していた。
C250は、最高出力204ps/6100rpm、最大トルク25.0kgm/2900〜5500rpmのV6エンジンを搭載するとともに、オートマチックが7段の“7G-TRONIC”となり、また、メモリー付電動シートや電動チルト&テレスコピックステアリングを採用するなど、C200コンプレッサーをさらに上回る充実の装備が自慢。
例によって、エレガンスとアバンギャルドの2タイプが用意され、フロントグリルのデザインやメーターパネルのカラーなどが変わる。装着されるタイヤサイズは、エレガンスの205/55R16に対し、アバンギャルドは1インチアップの225/45R17の1インチアップになるが、両者の違いはこの程度だ。
バランスのよさが魅力
このうち今回試乗したのは、“カーネリアンレッド”というワインレッドが美しいC250エレガンスで、ステアリングの位置は左。ちなみに、Cクラスで左ハンドルが選べるのはC250だけということで、“左ハンドル派”にとっては待望のモデルということになる。
ベージュを基調としたインテリアはメイプルウッドパネルやオプションのレザーシートなどによって上品にまとめ上げられている。ただ、この色合いだとダッシュボードが少し安っぽく見えるのが玉にキズだ。
さっそく走り出すと、7ATが組み合わされた2.5リッターV6は低回転から余裕があり、エンジンのスムーズさやオートマチックのマナーの良さも手伝って、タウンスピードではストレスなく走ることができる。一方、高速の合流などでアクセルペダルを大きく踏めば、3000rpmあたりからレブリミットまで、さらに力強いリニアな加速を見せてくれる。その際、キャビンに漏れ伝わるエンジン音がよく抑えられるのが、C200コンプレッサーに対するアドバンテージで、ワンランク上の上質さが感じられた。
走りっぷりは、Cクラスご自慢の軽快感を示しながら、一般道から高速まで、終始フラットさを保ち、路面からのショックも上手くかわす高い快適性を兼ね備える。パワーを含めたバランスのよさはCクラス随一で、「アジリティ(俊敏さ)は重要だけど、コンフォートは失いたくない」わがままな私には、このC250エレガンスがベストモデルに思えた。
(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.26 「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























