クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=4420×1800×1550mm/ホイールベース=2635mm/車重=1420kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(156ps/6300rpm、19.4kgm/5100rpm)/価格=294.0万円(テスト車=331万1400円)

ダッジ・キャリバー SXT(FF/CVT)【ブリーフテスト】

ダッジ・キャリバー SXT(FF/CVT) 2007.12.05 試乗記 生方 聡 ……331万1400円
総合評価……★★★


2007年夏、アメリカから上陸した「ダッジ」ブランド。SUV調な外観を纏い、もっとも日本の環境にマッチしそうなコンパクトモデル「キャリバー」に試乗した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

カッコいい……しかし!

大型の“クロスヘア”フロントグリルに、はやりのクロスオーバースタイルのフォルム、サイドビューを際だたせる太いブラックのルーフモールなど、「キャリバー」のエクステリアには人目を引く要素がたくさんある。
お世辞抜きにカッコいいと思うし、とくに斜め後ろからの眺めが私のお気に入りだ。

そんな強いデザイン力を持つキャリバーは、2007年に日本上陸を果たしたダッジのエントリーモデルで、アメリカ車としては扱いやすいサイズと、輸入車にしては比較的手頃な価格設定(SE:263万5500円、SXT:294万円)を武器に、日本市場での健闘が期待される。
が、思惑どおりに事を進めるのは難しそうだ。

走りっぷりが可もなく不可もなくというのはいいとしても、インテリアなどのクオリティは200万円台後半のクルマとしては納得できないつくりで、それを笑い飛ばせるだけの何かがあるならともかく、ブランドの認知度もまだ低いいまの状況では、積極的にこのキャリバーを選ぶ理由は見いだしにくい。本気で日本市場を考えるなら、まずはクオリティ向上など、もうひとふんばりほしい。

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
「キャリバー」は、ダッジブランドの底辺を支えるエントリーモデル。2006年1月のデトロイトショーでデビューした。
アメリカ車にしてはコンパクト(全長×全幅×全高=4415×1800×1535mm)な5ドアハッチバックで、かつて“日本車キラー”といわれた「クライスラー・ネオン」の後継にあたる。が、その外観は無骨なSUVテイストに溢れたもで、短い前後オーバーハングに高めの室内高が特徴。良好な居住性を確保したとされる。日本でのエンジンは2リッター直4のみで、6段マニュアルモード付きのCVTが組み合わされる。
2007年6月、兄貴分たる「ナイトロ」「アベンジャー」「チャージャー」とともに、日本上陸をはたした。

(グレード概要)
日本で選べるキャリバーのグレードは2種類。ベーシックな「SE」と今回の試乗車「SXT」があり、後者はひとまわり大きな18インチタイヤを履く上級モデルである。ほかに、フォグランプ、クロームフロントグリル、オーディオコントローラー付き革巻きステアリングホイール、クルーズコントロールが装備の差異となる。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★
シルバーのセンターパネルや3連ホワイトメーターなど、スポーティな雰囲気にまとめられたインパネだが、よく見るとダッシュボードの質感があまり高くなかったり、助手席エアバッグを覆うパネルが浮いていたり、グラブボックスの蓋がきれいに閉まらなかったりと、粗が目立つ。
携帯電話などが収まる“スライディングアームレスト付センターコンソール”も機能的ではあるが、ホルダーの部分など、もう少し高い品質を望む。

(前席)……★★★
最低地上高が195mmと高いこともあって、運転席に乗り降りする際には足を伸ばすことになるが、乗り込んでしまえば、やや高めのアイポイントが運転のしやすさに結びつく。これで全高が1550mmに収まるのは、日本の駐車場事情を考えると実にありがたい。
シートはサイドサポートが大きめだが、クッションやバックレストのセンター部はソフト。実際に座ると、見た目ほどスポーティな感じはしない。ペダル類の位置に不自然さはないが、シフトレバーはもう少しドライバーよりにあったほうが使いやすいかもしれない。ステアリングにはチルト機構がつくが、できればテレスコピックもほしい。

(後席)……★★
全高が高いだけに、室内高にも余裕があり、身長168cmの私が座ると頭上には拳が縦にふたつ入るほどのスペースができる。シートはリクライニングが可能で、足元も広く、乗り心地も十分に快適だから、長時間乗せられても苦にならないだろう。中央席にはアームレストやトランクスルーの機能は持たないのにバックレストが硬く、長い間座るのはツライ。とはいえ、ヘッドレストと3点式シートベルトは備わっているので、補助席として使う場合でも安心だ。

(荷室)……★★★
ステーションワゴンのように、開口部に敷居がなく、荷物の出し入れがしやすいキャリバーの荷室。フロアはプラスチック製で、取り外して洗えるのは便利な点。広さはサイズ相応といったところで、後席の分割可倒機構に加えて、助手席を畳めば長尺物の収納に対応できるのがうれしい。
テールゲートに収められるスピーカーは、引き出せば、車外で音楽を楽しむことができる。カセットデッキをぶらさげているようなデザインがなんとも微笑ましい。


ダッジ・キャリバー SXT(FF/CVT)【ブリーフテスト】の画像 拡大

ダッジ・キャリバー SXT(FF/CVT)【ブリーフテスト】の画像 拡大
ダッジ・キャリバー SXT(FF/CVT)【ブリーフテスト】の画像 拡大
写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。 拡大
マツダ・デミオ 13C-V(FF/CVT)【ブリーフテスト】

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
三菱、ヒュンダイとのアライアンスで生まれた2リッター直列4気筒にJATCO製のCVTという、日本車に近いパワートレーンを持つキャリバー。しかし、最近の日本車がCVT独特の“癖”、すなわち、加速時にエンジン回転の上昇が先行する感じを抑える傾向にあるのと比較して、キャリバーのそれは一世代前のプログラムといった印象を受ける。しかも、156ps、19.4kgmというわりには穏やかな加速なのだ。実用的にはまあ必要十分というレベルに仕上がっている。


マツダ・デミオ 13C-V(FF/CVT)【ブリーフテスト】

(乗り心地+ハンドリング)……★★★
最低地上高が高めのわりには一般道での振る舞いは落ち着いたもので、18インチタイヤも思ったほど乗り心地に悪影響を与えない。高速でもフラット感はまずまずだが、路面のうねりに出くわすと、上下動が一発で収まらないことがある。高速コーナーやレーンチェンジの際に、初期のロールスピードが早いのも気になるところで、無理に車高を高める必要があったのか、多少疑問が残る。

(写真=峰昌宏)

【テストデータ】

報告者:生方聡
テスト日:2007年9月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:2926km
タイヤ:(前)215/55R18(後)同じ(いずれも、コンチネンタル・コンチプレミアムコンタクト2)
オプション装備:モビステVICSビーコン付きHDDナビゲーション(34万6500円)、HDDナビモビステ連動ETC(2万4900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(8):山岳路(1)
テスト距離:356.6km
使用燃料:34.39リッター
参考燃費:10.37km/リッター

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

試乗記の新着記事
  • 日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
  • アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
  • ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
  • ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
  • アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
試乗記の記事をもっとみる
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。