メルセデス・ベンツC200コンプレッサー エレガンス(FR/5AT)【ブリーフテスト】
メルセデス・ベンツC200コンプレッサー エレガンス(FR/5AT) 2007.08.27 試乗記 ……508万9000円総合評価……★★★★★
2007年6月22日にフルモデルチェンし新しく生まれ変わった新型「Cクラス」。スリーポインテッドスターをボンネット先端に立たせたエレガンスのベーシックグレードに試乗した。
時の人
最近、仲間うちでもこの新型「メルセデス・ベンツCクラス」のことがよく話題に上る。そのときの話で予想どおりと思ったのが、圧倒的にアバンギャルド党が多かったことだ。いうまでもなく、新型Cクラスのアバンギャルドは、フロントグリルの真ん中に大きなスリーポインテッドスターを収めるのが特徴。
この「SLグリル」は、もともとクーペなど、スポーティなモデルの“専売特許”だった。最近ではセダンやステーションワゴン以外のいろいろなモデルに採用されるようになり、さらにクーペ風セダンの「CLSクラス」ではその掟が破られた。それだけに、スポーティをウリにする新型Cクラスの一部モデル、すなわちアバンギャルドにSLグリルが付くのは当然の流れといえるし、そのアバンギャルドに人気が集まるのはメーカーの望むところなのかもしれない。
一方、私のまわりでは少数派のエレガンス党だが、私としてはこちらを推したい。アバンギャルドよりも1インチ小さなタイヤが上質な乗り心地を生み出し、ボンネットのマスコットが車両感覚の把握に貢献。毎日乗るなら、より快適で、より運転がしやすいエレガンスが魅力的だと思う私。
重箱の隅をつついている? そうかもしれない。クルマとしての完成度は、エレガンスもアバンギャルドも実に高いレベルにあるのだから。どちらの個性を選んでもハズすことがないのが、今度のCクラスなのだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
現行Cクラスは、本国では2007年1月デビュー。日本では2007年6月に上陸を果たした。 1982年にデビューしたヒット作「190」の後継車種として、初代Cクラス(W202型)が発売されたのが1993年。2000年には2代目が発表され、今回は7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
先代Cクラスに比べ一回り大きくなったボディサイズは、全長×全幅×全高=4581(+55)×1770(+42)×1444(+34)mm/ホイールベース=2760(+45)mm。
1.8リッター直4+スーパーチャージャーを搭載するモデルが「C200コンプレッサー」(184ps)、2.5リッターV6(204ps)を積む「C250」、そして3リッターV6(231ps)を積む「C300」がラインナップ。「C200コンプレッサー」と「C250」には、それぞれ、スリーポインテッドスターをボンネット先端に立たせた「エレガンス」と、グリル内に大きなエンブレムを配したスポーティな「アバンギャルド」が用意される。「C300」は、通常のアバンギャルドよりさらにアグレッシブなAMGデザインのエクステリアをもつ「アバンギャルドS」となる。
トランスミッションは、1.8リッターモデルが5段AT、その他は7段ATが組み合わされる。
(グレード概要)
新型Cクラスのなかで廉価モデルとなる「C200コンプレッサーエレガンス」は450万円のプライスタグがつく。トランスミッションは6気筒モデルの7段ATに対し5段ATが搭載され、コンフォートを重視したタイヤはアバンギャルドと較べインチダウンした205/55R16を履く。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
旧型のインパネが各所に丸みを持たせたデザインだったのに対し、新型ではどちらかというと直線的でシンプルな構成になった。好みはあるだろうが、私はすっきりした新型のインパネのほうが好きだ。ただ、ベージュの内装ということもあり、ダッシュボードの見映えがあまりよくないのがちょっと辛い。
メーターパネルは中央に大きな速度計があり、その内側にはオートマチックのシフトポジションや、時刻、トリップ、平均燃費などが表示されるディスプレイが配置されている。情報のなかには日本語で表示されるものもあるが、フォントがいまひとつ洗練されていないのが気になる。右には回転計、左には燃料計と水温計が配置され、いずれも大きな表示で見やすい。
センターパネル上部には標準装着されるHDDナビの表示部分が収まり、不要なときには蓋の下にきれいに格納されるのがいい。カーナビやオーディオの操作はセンターコンソール部の“コマンドコントローラー”を用いたおかげで、センターコンソールまわりがすっきりしたのも見逃せない。
(前席)……★★★★
C200コンプレッサーの場合、前席は高さとリクライン調整のみ電動で、前後スライドやランバーサポートは手動である。エレガンスでは標準でファブリックだが、試乗車ではオプションの本革シートが装着されていた。本革の適度な張り具合が心地よく、サイドのサポートも出しゃばらないので窮屈さとは無縁だ。
運転席からはボンネットの先端にあるスリーポインテッドスターのマスコットがよく見える。これがノーズの位置を知るのにとても役立ち、運転のしやすさにつながるのはいうまでもない。エレガンスだけの特典だ。
(後席)……★★★
前席を一番低くしてしまうと爪先が入らなくなるが、少し上げてやれば足が奥まで伸ばせて自然なポジションを取ることができる。膝のまわりや頭上のスペースは十分とはいえ、ボディサイズを考えるととくに広いわけではない。乗り心地は前席同様に快適だが、前席に比べると多少路面の荒れを伝える傾向があった。
(荷室)……★★★
幅は並みのレベルだが、比較的天地の高さがあるので、FR車としてはまずまずの広さを誇る。奥行は約100cm。旧型では後席が可倒式だったのに対し、新型は固定式に変わったので、いざというときにスペースを広げたり、長尺物が積めなくなったのはとても残念。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
名前はC200だけれど、実際に搭載されているエンジンは1.8リッターの直列4気筒エンジンだ。しかし、スーパーチャージャーにより過給することでその実力は名前以上。発進のとき、あるいは、街なかを高いギヤで流すときなど、2000rpm以下のトルクがもう少しあったらなぁと思うけれど、回転が2000rpmを越えると一気に排気量が増したかのようにトルクが豊かになり、スーパーチャージャーだけにアクセルペダルの動きに対するレスポンスも良好。さらに、追い越しをかけるような場面では、スーパーチャージャーが発するノイズの高まりとともにとくに4000rpmあたりからおよそ1.5トンのボディを力強く加速させるのがなんとも頼もしく思えた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
以前、サーキットで試乗した際、鋭いとはいえないまでも軽快にコーナーを駆け抜けるハンドリングと、それでいて安定感十分の動きに心惹かれたことは、別の試乗記でお伝えしたとおり。しかし、実用車であるこのクルマのメインステージはあくまで公道、その実力を試すのが楽しみだった。
実際に街なかを走ってみると、その快適さは想像以上だった。ほどよい硬さに仕立て上げられたサスペンションは、タウンスピードでもゴツゴツした感じがなく、しなやかに動くダンパーが、多少荒れた舗装でもサラッとかわす。それでいてボディはフラットに保たれる絶妙のチューニングなのだ。これに、走行状況に応じて減衰力を自動調整する「セレクティブダンピングシステム」が貢献しているのは容易に想像できる。
高速道路を走る場面でも、フラットな乗り心地は保たれ、また、首都高速の目地段差を通過する場合のハーシュネスの処理も良好。直進安定性も高い。ただ、スピードを上げていったときに、どっしりとした感触がやや希薄になったかなぁと思うこともあった。日本の交通事情ならほとんど気にならないだろうが。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年7月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:3850km
タイヤ:(前)205/55R16(後)同じ
オプション装備:メタリックペイント(7万4000円)/前席シートヒーター付本革シート(28万4000円)/バイキセノンヘッドライト&ヘッドライトウォッシャー(14万7000円)/パークトロニック(8万4000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:269.6km
使用燃料:27.06リッター
参考燃費:9.96km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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