ジャガーXKRコンバーチブル(FR/6AT)【ブリーフテスト】
ジャガーXKRコンバーチブル(FR/6AT) 2007.04.25 試乗記 ……1511万9000円総合評価……★★★
「クーペ」と共に日本に上陸した「ジャガーXKRコンバーチブル」に試乗した。長く熟成された先代モデルからの進化は……。
ジャガーらしい創りが欲しい
はっきり言ってしまうと、優等生的レベルでクルマ自体はよくできているが、"ジャガー"というブランドに期待する個性はあまり感じられない。外観デザインをはじめとしてフォード製品の延長上にありアッサリし過ぎている。
たとえばジャガーエンブレムを外してしまえば、フォーカスやモンデオの顔にも似ているし、ジャガーらしい彫りの深さが足りない。サイドのフェンダー・ウェーブも、ジャガーイメージの特徴はうまく捉えているものの、コンピューターデザイン処理的で無難に流しただけに過ぎない。
ジャガーデザインに期待するのは、もっと抑揚があって躍動的なフォルムであり、手描き的な末端処理など手の込んだ造り込みの密度が高いもの。つまり量産型の造りやすい単純面の構成ではないもの。多少クラシックな雰囲気を醸すなど、効率追求型とは違う造形がぜひとも必要なのだと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2006年7月に日本での販売が開始された新型「XK」をベースに、426psを発生する4.2リッターV8スーパーチャージドエンジンを搭載した、ハイパフォーマンスモデル。2006年7月のロンドンショーで発表された「XLR」は、「クーペ」と「コンパーチブル」が用意され、日本では、2007年4月2日に販売が開始された。
(グレード概要)
「XKコンパーチブル」と比べ、専用のアルミフロントバンパーにボンネットルーバー、上下に施されたメッシュグリルなどが「R」の特徴。インテリアは、専用スポーツレザーシートにアルミニウムパネルが装着され、ヘッドレスト、タコメーター、レザーステアリングホイール、ギアシフトノブは「R」のロゴ入りとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
スポーツカーというより高級パーソナルカーとしてのファッション感覚にあふれる。趣味の世界ともちょっと違うがレザーとウッドパネルという英国伝統のキッチリした仕上がり感を味わえる。
白っぽい内装材は、特にダッシュボードのフェイシアが白っぽいと、スクリーンへの写り込みが激しく前が見にくい。ドライビングそのものを楽しむよりも軽く流しながら雰囲気を楽しむクルマか。
(前席)……★★★★
形状サイズ共に良好。座面前後長もジャガーにしてはちゃんと長めに採ってある。各種調整機構は電動で使いやすいけれど、ランバーサポートやサイドサポート調整は変化代がややすくない。
ハイト調整は前後端別々に上がり座面後傾角も好みに合わせられるが、ストンと落としこんだスポーツカーらしく、低く座る感覚が薄い。膝腿辺りの横方向サポートは良好ながら腰付近の横方向の押さえはやや足りない
(後席)……★
ここに乗ることはお勧めできない。足も背も頭も窮屈で試すだけでも後悔する。子供も喜ばないだろう。
しかし、それでもあるのとないのでは大違い。雨の日の駅までの送迎とか車検証に乗車定員4人と記載され合法的に乗れるだけでも価値あり。もちろん脱いだジャケットとか小荷物の置き場には役にたつスペース。もっと割り切って、背もたれも畳めるようにして四角い空間にするのも利用法か。
(荷室)……★★
幌の収納スペースと共用する関係で狭いのはやむなし。そう考えるとむしろよく確保したと褒められるべきかもしれない。
天地方向に嵩上げして豊満なヒップを強調する車もあるが、ボリュームを押さえ気味な外観デザイン処理こそジャガーらしいと言えなくもない。それでも横方向には結構スペースがあるからゴルフバッグ2つ位は積めそう。リッドが大きく開くので、開口部が広く、荷物の出し入れは容易。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
スーパーチャージド4.2リッターV8エンジンは、どこから踏んでもパワーは十分で、圧倒的な加速を楽しめる。山間部主体で燃費5.6km/リッターは上々。
「J」ではなく反「L」ゲートのシフトレバーは、操作ストロークこそ長めながら位置決めは確実。「D」のままでもパドル操作でのプラス/マイナスが優先されるが、パドル自体はステアリングホイールと共に動くタイプで操作性は今ひとつ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地/ハンドリング共に無難にまとめてある。大筋において不満はほとんどないが、往年のジャガーらしいしっとりとした乗り味は希薄。スプリングなどの精度管理が甘くなっているように思う。
ハンドリングも繊細さが薄れ大味。それでも基本的なステア特性やフラットさを保つ姿勢コントロールは抜かりなく管理されている。1780kgという重量も内容を考えると軽い仕上がりと言え、大型サイズの割りには軽快に振る舞える。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年4月2日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:1712
タイヤ:(前)245/40 ZR19(後)275/35 ZR19(いずれも、ピレリ PZero Rosso)
オプション装備:アクティブフロントライティング(8万4000円)/ジャガープレミアムサウンドシステム(15万7500円)/ソフトグレインレザーインテリア(57万7500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

笹目 二朗
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
電気自動車の人工的な走行音はどうあるべきか?
2026.7.21あの多田哲哉のクルマQ&AEVの走行時に車内で聞こえてくる人工的な“音”は、本来、どうあるべきなのか? やはり、疑似エンジン音が最適なのか? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんの考えを聞いてみた。 -
NEW
アストンマーティン・ヴァンテージS(FR/8AT)【試乗記】
2026.7.21試乗記アストンマーティンの擁するFRスポーツ「ヴァンテージ」が、より高性能な「ヴァンテージS」に進化。よりたくましいエンジンを獲得し、卓越したコーナリング性能に磨きをかけつつ、“優しさ”も身につけた最新モデルの走りを報告する。 -
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。









