ルノー・メガーヌGT(FF/6MT)【海外試乗記】
メガーヌの「グランドツーリング」 2007.03.20 試乗記 ルノー・メガーヌGT(FF/6MT)欧州では、2006年末に発売された、「ルノー・メガーヌGT」。ホットバージョンの「RS(ルノースポール)」モデルをラインナップするメガーヌに、あえて「GT」モデルを追加したそのワケとは?
「GT」モデルラッシュ
日本に導入されていない「ルノー・メガーヌGT」に、フランスで乗る機会があった。パリから北西へ300kmほど、ノルマンディ地方まで足をのばした。
日本市場だけ見ているとわからないことは、まだまだたくさんある。
コアな話題かもしれないけれど、ルノーが「GT」づいているのもそのひとつ。市販車のラインナップにこの2文字をつけたモデルが増えているのだ。
いまは日本では買えないアッパーミドルクラス「ラグナ」に2005年に追加されたのがはじまりで、2006年秋には「メガーヌ」に登場。
そして今月のジュネーブショーで発表されたばかりの新型「トゥインゴ」にも、スポーツモデルとしてGTが君臨している。
ラグナやトゥインゴはまだいいが、メガーヌには「ルノースポール(RS)」という生粋のホットハッチがあるのに、なぜGTというモデルを加えたのか。
フランスでその理由をたしかめてみた。
「GT」は環境型ターボ
性能や価格で見ると、GTはフツーのメガーヌとRSのあいだに位置する。
ボディは3ドアと5ドア。エンジンは、ガソリンとディーゼルの2リッターターボがある。150ps/34.7kgmを発生するディーゼルターボは、最近デビューした新世代ユニットなので、こちらにも興味があったが、日本人ジャーナリストとしてはやっぱりガソリンターボをチェックしなければと思い、こちらをチョイスした。
このエンジンは従来から「ラグナ」「ヴェル・サティス」「エスパス」などに積まれていたものの改良型で、メガーヌRS用のデチューンというわけではない。
パワーは165psだから、おとなしいNAモデルよりプラス32psにすぎない。ところが、トルクは27.5kgmだから、ホットなRSより3.1kgm小さいだけだ。カタログ燃費はRSはおろか自然吸気2リッターよりも上。直噴ではないけれど、最近流行の環境型ターボといえるかもしれない。
外観はフツーのメガーヌとほぼ同じで、RSのように専用のエアロパーツを装着してはいないが、マフラーはセンター2本出しで、GTのエンブレムはこの部分のアルミプレートに刻まれる。
インテリアでは、ステアリングのセンタースポークにアルミをはめ込み、GTの2文字をこれまたさりげなく置く。ルノーはこういう演出がホントにうまい。
「GT」は、メガーヌより乗り心地のいい「RS」
エンジン特性はおだやか。RSのような炸裂感はない代わり、ターボラグもまったくなく、ギアチェンジをサボってもスルスル速度を上げていくほどフレキシブルだ。
トランスミッションは6段なのだが、街なかやロータリーは3速、一般道は4速、そして高速は6速入れっぱなしで問題ないほどだった。速いというより楽なエンジンである。
フツーのメガーヌよりすこし硬められているという足は、とても快適だった。
シャシースポールを装着した日本仕様RSのように、小刻みに上下に揺すられ続けることはなく、低速ではまろやかにショックをいなし、高速ではフラットな姿勢をキープする。それでいてファブリックシートは、フツーのメガーヌより座り心地のいいRS用に似た感触。つまりGTはメガーヌのなかでもっとも乗り心地がいいモデルといえるだろう。
ハンドリングも自然吸気エンジンのメガーヌに準じていて、安定性を重視したセッティング。コーナーでアクセルを踏みすぎると素直に前輪がホイールスピンを起こす反面、リアはあらゆる手を尽くしてもなかなかスライドしようとしない。こちらもRSとは違う性格であることが理解できた。
つまりメガーヌGTは名前のとおり、“グランドツーリング”に最適のモデルだった。多くのブランドがこの2文字を最高峰に据えるなか、RSを頂点とし、GTはあくまでその次というルノーのラインナップには、ある種の余裕が感じられる。裏を返せばそれだけRSは別物、ということなのだ。
日本への導入は未定というが、自然吸気1.6リッターと2リッターにあるMTの後者をこれにチェンジしてもいいのではと思うほど、独自のキャラクターを持つメガーヌだった。
(文・写真=森口将之)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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