第258回:初試乗「レクサス GSハイブリッド」またちょっと“別世界”入ってます!
2006.04.05 小沢コージの勢いまかせ!第258回:初試乗「レクサス GSハイブリッド」またちょっと“別世界”入ってます!
■予想が甘かった! GS450h、侮りがたし
いやはや、レクサスGS450h。侮りがたしです。正直、あんまり期待してなかったんですよ、GSの新しいハイブリッド・バージョン。
なんでって、2005年発表の新型直噴3.5リッターV6に、新たにモーターを組み合わせたとはいえ、ハイパワー・ハイブリッドはすでに「ハリアー&クルーガー」で体験してたし、「あんまり新しい味はないんじゃないかなぁ……」と。
そしたらワタシが甘もうございました。ハリアー・ハイブリッドとはまた微妙に違う、別世界な加速でありました。
なにが違うってエンジンの存在感。実はこのクルマ、最大のポイントは名前が表すように、排気量4.5リッター級のクルマであり、しかもレイアウトがFRなことにあるのだ。
なんせ推定最大パワーは350ps! 加速感はトルクに依存するから、体感的には400psぐらいありそうな動力性能よ。それを、てっきり既存の3.5リッターV6をFRレイアウトした「GS350」をべースに、ハリアーよろしくフロントにモーターを付けて“ハイブリッド 4WD”してるだけ……と思いきや、さにあらず。AT部分にモーターを追加した“新作ハイパワー・ハイブリッドFR”だったのだ。
そのためか、エンジンとモーターのつなぎ具合がより深くなって、ビミョーにイイお味。なんつーか、赤ミソと白ミソの融合具合がより進んだ“ハイグレード合わせミソ”っつうかね。わっかるかなぁ、コレじゃ伝わりにくいかな……。
■電気&ガソリンのイイとこ取り+洗練
具体的には「モーターがいつ作動してるかわからない」ってとこにある。ハリアーハイブリッドの場合、途中までエンジンが止まってて、“第2ロケット噴射!”って感じで、エンジンが作動して未曾有の高加速を体験できたわけだけど、“電気ターボ感”っぽい段付きが感じられた。それも面白いし、驚いたんだけどね。
一方、GSハイブリッドの場合は、全体の遮音性が高いこともあいまって、アクセルベタ踏みだと、いつのまにかなんとなくエンジンとモーターが同時作動してるのだ。
結果、発進加速がケタはずれにアップグレード! モーター側に新たに付けたリダクションギアの効果もあって、低回転トルクが太いモーターと、トルクの伸びが素直な3.5リッターV6のいいところが両方発揮され、最初に首が痛くなるほどの加速をガツンと得たまま、それが延々と続く。ハッキリ言って免許がなくならないか心配です。
しかも真っ直ぐがスゴいだけじゃない。コーナリング中にアクセルペダルをベタ踏みすると、FRってこともあってケツが外に出ちゃいそうなくらいにアグレッシブ! もちろん、そこんところはレクサス。電子制御で上手に防ぐわけだけどさ。
■重くて速いのに、燃費にビックリ
そのほか静粛性は、さっきも言ったように、特にエンジンを停止させた時の巡航運転中はハンパじゃない。それからいろんなパーツにより増えた約1.9トンという車重も手伝って、走りの重厚感もハンパじゃない。ある意味、「ロールスロイスもかくや?」って感じよ。ちゃんと“プレミアム”してるのだ。
もちろん重いぶん、ハンドリングの“切れ”みたいなものはないし、ある意味モーターによって3.5リッターV6の“素直さは”スポイルされちゃうわけだけど、それにも増して新たな高級感が味わえ、かなり飛ばして燃費がリッター10.5km/リッター(!)だったから大満足。10・15モード燃費がリッター14.2km/リッターってのにも納得です。約1.9トンもある重量サルーン、しかも速いのに、この燃費はありえない〜!
GS450hの新たな味わいがどう評価されるか? 正直いうと、未知数ではあります。だけど意外と世間にいる“新し物好きの飛ばし屋オヤジ”だったら、かなり欲しくなるんじゃないかな。そんな気がしたオザワでありました。
(文と写真=小沢コージ/2006年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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