第250回:新型トヨタRAV4試乗!“いもうと系SUV”はもういらない
2006.01.26 小沢コージの勢いまかせ!第250回:新型トヨタRAV4試乗!“いもうと系SUV”はもういらない
■予想通りのいいクルマ、だけど……
新型「トヨタRAV4」を借りて乗ってみました。昔からちょっと気になるクルマだったんでね。
結論から言っちゃうと、予想通りのいいクルマだけど、少しガッカリしたな……妙な言いまわしですけど。
細かく言うとデザインは前のイメージを残しつつ、男性的になりました。特にそれを感じたのはフロントノーズ。なんつーか、シロナガスクジラの頭のように、結構四角く、押し出しが強いのだ。正直、昔の可憐さはなくなってます。一方、走りの方はプラットフォームからエンジンからすべて新設計ということでデキがいい。ボディが大きくなったというのに、昔のコンパクトな時代のRAV4を思い出させるような味になっている。
乗り心地は硬めだが良好で、ハンドリングは大きさを感じさせないシャープかつキビキビしたもの。新しい2.3リッター直4エンジンも、特別よく回る快楽志向タイプではないが、普通にトルクがあって使いやすい。
インテリアもお値段のわりにデザイン&質感よろしく、これでホントに車両価格200万円以下ですか? って感じ。
■もう日本を捨てた!?
ただねぇ。最大にしてシンプルな問題はさっきも言ったボディサイズなのよ。今回からワイドボディの5ドア車で比べて、全長で22cm、全幅で約6cmもデカくなってる。特に象徴的なのは1.8m以上もある全幅。
なんつーか、小学生にして身長170cm以上もあるガキみたい。もはや昔みたいにコンパクトSUVとは言えまっしぇーん! でもね。見た目のイメージはしっかり昔のRAV4を受け継いでるのだ。
要するにこの変化がもたらす最大のメッセージは“ワタシ日本を捨てました!”ってことなのよ残念ながら。
1994年生まれの初代RAV4は、完全5ナンバー枠内に収まる全長4m以下のボディサイズで、広さよりも可愛らしさ、扱いやすさを前面に押し出したものだった。まさしく“ランクルのカワイイいもうと分”よ。これはこれで男性はもちろん、女性にも広く愛された。
その路線は、2000年発表の2代目も基本的には同様で、サイズは一部3ナンバー枠に入ったけど、まだコンパクトイメージを保っていた。
しかし、今や小さくてオシャレで便利なコンパクトカーがわんさかある時代。結局は売れなくなり、北米で一番売れるサイズのコンパクトSUVになったってわけよ。
ま、「レクサスSC」のような高級2ドアクーペしかり、コンパクトSUVしかり、少数生産車はすべて国際基準にあわせ、日米欧向けにイッキに作るのが常識。仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、昔のかわいい“いもうと系SUV”を懐かしく思うのも事実。
なんだかちょっと寂しいよね。
(文と写真=小沢コージ/2006年1月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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