メルセデス・ベンツC55 AMG(FR/5AT)【試乗記】
繊細さは、要求しないで 2005.11.22 試乗記 メルセデス・ベンツC55 AMG(FR/5AT) ……966万円 メルセデス・ベンツ「Cクラス」のトップレンジに位置するのは、コンパクトボディにV8エンジンをぶち込んだ「C55AMG」。過剰とも思えるパワーだが、メルセデスらしさは貫けたのだろうか。ジャジャ馬ではない
C55AMGとは、Cクラスというコンパクトなボディに、5.4リッターV8を詰め込んだメルセデスだ。当然、並みのスポーティカーを足元にも寄せつけない高性能車である。セダンだけでなくワゴンも最初から用意されており、軍団のトップシリーズを形成するようなさり気ない布陣とはなっているが、実はとてつもない暴力仕様である。
とはいうものの、そこはさすがにメルセデス、セダンで966万円、ワゴンで987万円と、外観は同じクルマながら廉価版の2.4倍という高価格をもって、誰もが簡単には手を出せないようにしてある。
さらに、数字上のパワー/トルクは、ベーシックなC180コンプレッサーの143ps/22.4kgm に比して367ps/52.0kgm に増強されている。けれども、重量も1480kgから1650kgに増えており、トラクションコントロールやESPなどで牙を丸められているから、けしてジャジャ馬的に凶暴なクルマではない。
見栄っ張り仕様!?
重量価格指数では、C180コンプレッサー(1480kg)のトン当たりは約269万6000円に対して、C55AMG(1650kg)は約585万5000円。うがった見方をするならば、内容のわりに「暴利」をむさぼっているクルマともいえる。タイヤサイズなどもC280のスポーツパッケージと同じで、前225/40R18(7.5J)、後24535R18(8.5J)で済ませているが、2715mmとホイールベースも同じで40キロ重いだけのCLK55AMGを見ると後輪に255/35R18を用いて差異をつけている。5.4リッターを55と読むのもしかり、よって、お金持ち向けの見栄っ張り仕様と言えなくもない。
エンジンなど駆動系はこのクルマの目玉ゆえしっかり仕事をしているが、それとて上級車から移植したに過ぎず、オートマチックギアボックスは最新の7ATではなく5ATのままだ。一方、シートなどもCクラスそのままなのでランバーサポートの備えもなく、腰回りの肥満した体型にしか合わないし、上下動の大きな乗り心地は高価格車らしくない。
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大きなエンジンを積んだ高性能車
もともとメルセデスに繊細さなど要求する人もいないだろうから、このクルマのキャラクターとしてはこれで充分なのだろう。このクルマを単なる高価格車だとは見ないで、大きなエンジンを積んだ高性能車という見方をすればオーナーは納得するのかもしれない。
ともあれ、パワーとテールのネームプレートにもの言わせて雑兵を蹴散らして走り去ることに快感を覚える人にとっては、絶好の狙い目の一台だろう。願わくば、ヒトに迷惑をかけないところで楽しんでほしいものだ。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸/2005年11月)

笹目 二朗
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