フォルクスワーゲン・ゴルフプラスE(FF/6AT)/GLi(FF/6AT)【試乗速報】
次世代のスタンダード 2005.10.31 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフプラスE(FF/6AT)/GLi(FF/6AT) ……245万7000円/284万5500円 フォルクスワーゲンの代表格「ゴルフ」に新しく登場した「ゴルフ・プラス」。全高を高くし室内空間を拡げた大きなゴルフの印象は。ゴルフファミリー増殖中!
「ゴルフトゥーラン」以降、順調にバリエーションを増やしている第5世代のVWゴルフに、「ハッチバックとミニバンの間を埋める、VWの新しい提案」というニューモデル、「ゴルフプラス」が追加された。
ここでいうハッチバックはゴルフ、ミニバンはゴルフトゥーランを指すが、確かにサイズからもゴルフプラスのポジションはその間にあることがわかる。4205mmの全長と1760mmの全幅はゴルフとまったく同一。全高だけが85mmアップして1605mmとちょっと背高になり、おかげで後席や荷室に余裕がプラスされた。2列シートで定員5名。ハッチバックとミニバンの中間というよりも、どちらかといえばハッチバック寄りのクルマである。
それはエクステリアを見ても明らかだ。丸目のヘッドランプと台形のラジエターグリル、極太のCピラー、丸型のテールランプなど、現行ゴルフの特徴をひととおり揃えている。しかし、ドアミラー、ドアハンドル、VWエンブレム、ルーフの“シャークフィンアンテナ”以外の外装パーツはゴルフプラスのために新たにデザインされているのだ。ゴルフとは別の名前を与えてもいいくらいの内容である。
ゴルフにもほしい新機構
室内もその独自性が光る。メーターの構成やステアリングホイールのデザインなどはいつものゴルフだが、ダッシュボードは専用のデザインとなり、クロームに縁取られたエアベントが高級感を漂わせている。
さらに、4連のオーバーヘッドコンソールやセンターコンソールの小物入れなど、収納スペースも充実。上級モデルには前席下のトレイやシートバックテーブルも装備される。
しかし、ハッチバックとの大きな違いは余裕ある室内空間にある。ゴルフより前席で75mm、後席で85mm高くなったシートのおかげで、同じホイールベースでも足元のスペースは拡大し、後席では足が組めるほど余裕がある。高い着座位置は乗り降りのしやすさや眺めの良さにも一役買い、ゴルフよりも開放的な雰囲気をもたらしている。
ところで、ゴルフ プラスのリアシートには、シートバックを倒せるだけでなく、スライドやリクライニング機構が搭載されている。後席の足元には十分過ぎるほどの余裕が確保されていて、シートを一番前に出してもなんとか座れるから、荷物が多いときなど荷室を拡大したいときは便利。もちろん、大物を積むときにはリアのシートバックを倒せば広大なスペースが現れるのはいうまでもない。さらに助手席のシートバックを倒したり、“2階建て”の荷室の床を外すこともできるので、状況にあわせてさまざまなアレンジが可能となった。こういったからくりは日本車では常識だから、正直なところ「やっと付いたか」という印象なのだが、それはさておき、こういった機能はハッチバックにもぜひ取り入れてほしい。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
失ったものが見あたらない
と、ここまではいいことずくめのゴルフプラスなのだが、その走りっぷりはどうだろう。ゴルフ プラスには、ゴルフやゴルフトゥーラン同様、1.6リッターエンジン搭載の「E」と2リッターの「GLi」がラインアップされ、いずれも6段オートマチックトランスミッションが組み合わされている。
ゴルフE、GLiに対して車両重量が100kg増えたゴルフプラスEとGLiだが、運転してみるとそのハンディキャップは感じられない。最終減速比が低いということもあるが、ゴルフ プラスは実に活発に走るのである。最初に試した最高出力116ps、最大トルク15.8kgmの1.6リッターでも低回転域から十分なトルクを発揮し、しかも、エンジンの改良により低回転、低負荷時でもスムーズ。一方、多少うるさいのを我慢すれば、6000rpmあたりまで元気な印象が続く。2リッターなら、さらに余裕あるトルクと静粛性が手に入る。4000rpmから6000rpmにかけてのスムーズで力強い吹け上がりが実に頼もしい。
背が高くなることで気になっていた乗り味だが、確かにコーナリング時のロールは大きくなったものの、ステアリング操作に軽快に応えるゴルフのハンドリングはこのプラスでも健在だ。195/65R15のタイヤを履くこともあり、乗り心地もゴルフゆずりの快適さを誇る。さらに、静粛性などはゴルフよりもむしろゴルフプラスのほうが優っているくらいだ。
こうして見ると、ゴルフからゴルフプラスに“進化”するにあたり、失ったものが見あたらない。次世代ゴルフがこのゴルフプラスのスタイルを採用したとしても不思議ではない。
ただし、1605mmという微妙な全高が、一部の立体駐車場に対応しないのも事実。ちなみに立体駐車場を利用する機会の多い私は、1550mmを超えるクルマは購入を躊躇してしまう。そんな心配がない方には、ゴルフよりもオススメかもしれないゴルフプラスである。
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2005年10月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
スズキeビターラZ(FWD)【試乗記】 2026.5.9 スズキが満を持して投入した、コンパクトSUVタイプの新型電気自動車(BEV)「eビターラ」に試乗。スズキの将来を占う量販BEVの第1弾は、「よいものを手ごろな価格で」という彼らのポリシーにたがわぬ一台に仕上がっていた。
-
ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド アップランド(4WD/6AT)【試乗記】 2026.5.6 ジープのなかでも最も小柄な「アベンジャー」に、4WDのマイルドハイブリッド車「4xe」が登場。頼りになるリアモーターと高度なマルチリンク式リアサスペンションを備えた新顔は、いかなる走りを見せるのか? 悪路以外でも感じられる、その恩恵を報告する。
-
アルファ・ロメオ・ジュニア エレットリカ プレミアム(FWD)【試乗記】 2026.5.5 アルファ・ロメオのコンパクトSUV「ジュニア」にラインナップする電気自動車「ジュニア エレットリカ プレミアム」に試乗。1973年型の「GT1600ジュニア」を所有していたかつてのアルフィスタは、最新のフル電動アルファに触れ、何を感じたのか。
-
トヨタGRヤリス/GRカローラ/GRヤリスMORIZO RR プロトタイプ【試乗記】 2026.5.4 進化を続ける「トヨタGRヤリス」と「GRカローラ」の、最新バージョンに試乗。硬派な4WDスポーツならではの、サスペンションチューニングの難しさを知るとともに、100台の限定モデル「GRヤリスMORIZO RR」に、そのひとつの回答を見いだすことができた。
-
シトロエンC5エアクロス マックス ハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.5.2 シトロエンのコンセプトカー「OLI(オリ)」の思想を継承する新デザイン言語を用いた2代目「C5エアクロス」が上陸。ステランティスの最新プラットフォーム「STLAミディアム」や48Vマイルドハイブリッド機構によってどう進化したのか。その走りを報告する。
-
NEW
第335回:水平尾翼が効いてるのかな
2026.5.11カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。フルモデルチェンジで2代目となった「シトロエンC5エアクロス」で、夜の首都高に出撃した。最新のデザイン言語を用いて進化した内外装とマイルドハイブリッドの走りに、元シトロエンオーナーは何を感じた? -
NEW
ベテランも若者も大興奮!? まだ見ぬ次期「日産GT-R」はきっとこうなる!
2026.5.11デイリーコラム日産自動車のイヴァン・エスピノーサCEOは、2026年4月14日に開催された長期ビジョン発表会において「将来的に新型『GT-R』を投入する」と明言した。それは一体どんなクルマになるのか、これまでの情報から推測し得る将来像について語ろう。 -
NEW
ロールス・ロイス・ゴースト エクステンデッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.5.11試乗記「ロールス・ロイス・ゴースト」が「シリーズII」へと進化。先進性の強化とともに目指したのは、ブランド史上最もドライバー志向のサルーンだという。ロングホイールベース版の「エクステンデッド」で雲の上の世界を味わってみた。 -
ランボルギーニ・テメラリオ(後編)
2026.5.10思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。前編ではレブリミット1万rpmの4リッターV8ツインターボエンジンを絶賛した山野。後編ではレースカーさながらのシャシーによるコーナリング特性を聞いてみよう。 -
スズキeビターラZ(FWD)【試乗記】
2026.5.9試乗記スズキが満を持して投入した、コンパクトSUVタイプの新型電気自動車(BEV)「eビターラ」に試乗。スズキの将来を占う量販BEVの第1弾は、「よいものを手ごろな価格で」という彼らのポリシーにたがわぬ一台に仕上がっていた。 -
あの多田哲哉の自動車放談――ホンダ・プレリュード編
2026.5.8webCG Movies新型「ホンダ・プレリュード」に試乗した元トヨタの多田哲哉さんは、大いに感心した様子。一体、どんなところがベテランエンジニアの印象に残ったのでしょうか? 動画でリポートします。



