ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテ
青いボルボは海を目指す(後編) 2005.10.29 試乗記 ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT) ……495万円/618万円/685万円 「V70」「XC70」「XC90」の3車種に設定された「ボルボ」の「オーシャンレースリミテッド」に、能登半島で試乗した。限定車ではあるが、同時に2006年モデルとして新たな変更も加えられていた。 拡大 |
拡大 |
30psのアドバンテージ
最初に乗ったのは、「V70オーシャンレースリミテッド」である。輸入ステーションワゴンの登録台数で、圧倒的な1位を保っているボルボの看板車種だ。この限定車はエントリークラスをベースにしているが、実は2006年モデルにはここに大きな変更がある。2005年では140psのモデルがあったが、2.4リッター5気筒エンジンはすべて170psのチューンになった。2005年は同じパワーのものは504万円だったが、アルミホイール、ウッドパネルを標準化した上で454万円という価格設定だからずいぶんお買い得になっている。ほかのグレードでもかなり思い切ったプライスダウンをしていて、V70にかける意気込みが伝わってくる。
この限定モデルでは「さらに102万円相当の装備をつけて41万円高」と謳っており、ボーナス商戦をにらんでの目玉商品なのだろう。かつては殿様商売だった輸入車も、消費者に対してサービスを競うようになってきたのは大歓迎である。ヨットが好きでなくても、ブルーのカラーリングが気に入った人には魅力的だ。
そして、30psのアドバンテージは大きかった。140psモデルでは、山道の上りの追い越しで躊躇せざるを得ない場面に出くわしたものだが、これならば何も問題はない。とりたてて華はないけれど、生活に寄り添うクルマとしていい感じの熟成かげんになってきた。質実と洗練がいいバランスになって、変な気取りも衒いもなく乗れるのがいい。
拡大 |
拡大 |
XC90で波打ち際ドライブ
珍仏の里、ハニベ岩窟院からしばらくは高速道路で移動したが、海岸線に近くなって一般道におりる。オーシャンレースリミテッドにふさわしいコースが、そこに用意されていたのだ。能登半島の西、羽咋市にある「千里浜なぎさハイウェイ」である。波打ち際の砂浜がクルマの走れる道路となっているという、有名なスポットだ。CM撮影などにもよく使われている。実際に走るのは初めてだったのだが、想像以上に気持ちがいい。片輪を波に洗わせながらしぶきを上げて走行するなんて、イメージビデオの一場面みたいではないか。
砂浜といっても、しっかりと地面は固められていて、FFのV70でもタイヤが沈み込む心配はまったくない。でも、せっかくだからXC90でも走ってみた。おお、こちらのほうがもっと気分がいい。高い視点から波が砕けるのを見下ろしながら、右へ左へステアリングを切ってスラロームを楽しむ。路面のミューは低いのであまり大きなアクションを見せるとトラコンが働いてしまうようだが、もちろん公共の場でそこまで乱暴な運転をしてはいけない。とにかく、安心して乗れたのは確かである。
台風が過ぎた直後だったので、普段よりも波が高かったようだ。空はというと完全無欠なブルーで、オーシャンレースリミテッドの3台を並べての撮影にはおあつらえ向きの舞台が整った。やっぱり、大仏の前よりも大海原をバックにしたほうが青いボルボは映えるようだ。セッティングをしていたら、観光の家族連れにカメラのシャッターを押してほしいと頼まれた。海をバックに撮ってあげようとしたら、わざわざボルボの前に来てポーズをとる。なかなかの人気だ。
拡大 |
拡大 |
毎年着実に改良される
ここで、XC70、XC90両車の2006年モデルについてまとめておこう。XC70のエントリーモデルには7万円のウォールナットウッドパネルが装備しながら価格は据え置き。上級モデルの2.5Tにはアクティブシャシー「FOUR-C」(30万円)を標準装備化した上、価格を15万円下げた。どちらも、4WDシステムが世界初の「プレチャージ式」となったのもニュースである。発進時のレスポンスが向上し、後輪のトルク伝達時間が50パーセント以上短くなったという。
XC90には、5人乗りの仕様がカタログに追加された。こちらもプレチャージ式に進化しているのは同様である。また、新開発のV8エンジンを搭載した最上級グレード「TE」がいよいよ導入される。「トップエグゼクティブ」を意味するこのモデルには、大きな期待が集まっている。
見た目が劇的に変わるわけではないけれど、ボルボの各車種は毎年着実に改良を施されている。細かいところに地道に手を入れて、少しずつ熟成を重ねているのだ。もうやることがないだろうと思っても、次の年にはまた新しい技術が加えられているのには感心する。メーカーの姿勢として、これは高く評価されてしかるべきことだと思う。さすがに地味にやっているだけでは商売にならないから、今回のような限定モデルも発表されるわけだ。V70のことは前述したが、ほかのモデルも装備のわりに割安になっているようだ。ぜひとも、これからもこういったお買い得モデルをどんどん出していってもらいたい。
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2005年10月)
・ボルボV70オーシャンレースリミテッド(FF/5AT)/ボルボXC70オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT)/ボルボXC90オーシャンレースリミテッド(4WD/5AT【短評(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017315.html

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
メルセデスAMG GLC53 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】 2026.5.27 「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。








































