マツダ・アテンザスポーツ23Z(5AT)【ブリーフテスト】
マツダ・アテンザスポーツ23Z(5AT) 2005.08.10 試乗記 ……304万3950円 総合評価……★★★★ マツダの世界戦略車「アテンザ」。年々熟成を重ねると表明し、その通り進化し続ける5ドアセダンのスポーティ版「アテンザスポーツ23Z」に乗る。買ってハズレはない
形は3ボックスだが、テールゲートを備えるという5ドアセダンは、日本ではあまり人気がない。しかし、実際に使ってみるとこれは便利! ワゴンは要らないのではないかと思えるほどだ。
私もかつてワゴンを所有していたことがあり、荷室の使い勝手の良さは十分理解している。とくに重宝するのが荷物の出し入れがラクなことで、荷室の奥の方から荷物を取り出すときなど、ワゴンでよかったと思うのである。
もちろん荷室の広さにも満足していたが、その一方で、荷物を天井までフルに搭載することはほとんどなかった。多くてもトノカバーが閉まる範囲。ということは、実は5ドアセダンでも困らないということになる。
そんな5ドアセダンだが、選択肢はあまりに少ない。日本車ではこのアテンザスポーツくらいで、ヨーロッパ車でも、「シトロエン C5」や「ルノー・ラグナ」のセダンがある程度だ。
スタイリングと使い勝手を両立するという意味では、私はこの5ドアが究極のセダンだと思う。その魅力を知ってほしいのと、買ってハズレはないという意味からアテンザスポーツに★★★★である。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
マツダのミドルクラスとして長い間親しまれてきた「カペラ」に代わるモデルとして、2002年に発表されたのが「アテンザ」。ボディタイプは4ドアの「セダン」、5ドアの「スポーツ」、ステーションワゴンの「スポーツワゴン」の3種が用意される。フォードグループ全体で使うために開発された、直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、2リッターと2.3リッターの2種類。生産は日本だけでなくアメリカでも行われ、海外では「Mazda 6」の名前で販売される世界戦略車でもある。
(グレード概要)
アテンザの2.3リッターは、セダンに「23E」、スポーツとスポーツワゴンには「23C」と「23S」がデビュー当初からラインナップされてきた。2003年7月9日に追加された「23Z」は、スポーティグレードたる23Sの性格を、さらに研ぎ澄ませたモデル。スポーツとスポーツワゴンに設定される。
エアロパーツの追加など、華美な演出はないが、18インチのホイール&タイヤ、大径ブレーキローターとレッドのキャリパーを装備。専用チューンドサスペンションを組み込むなど、シャシーのバージョンアップが念入りに施された。アテンザは発表当初から、年々熟成を重ねていくことが表明されており、2005年6月23日にマイナーチェンジ。トランスミッションは4段ATが5段ATに変更されたほか、MTは6段化。加えて、内外装のリフレッシュなどを行った。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
マイナーチェンジ前と形状こそ変わっていないが、質感がグッとアップしたセンターパネルが印象的だ。ブラックだがよく見るとストライプが描かれた“ブラッシュライン”のパネルは、ドアトリムなどにも配されていて、黒基調のインテリアをスポーティかつ大人っぽく演出している。
メーターパネルは、イグニッションオンでオレンジの文字盤が浮き上がるタイプ。速度計、回転計とも大きくシンプルで、目盛りや数字が見やすいのもいいが、数字が大きすぎていまひとつすっきりしないのが惜しい。
(前席)……★★★★
この23Zの運転席にはメモリー機能付きの電動シートが標準装着される。マイナーチェンジで追加されたステアリングのテレスコピック機能と相まって、適切なドライビングポジションが得られるのはなによりうれしい。
セミバケットタイプのシートは外側がレザー、内側がファブリックのコンビネーション。ファブリック部分は適度に張りがありやや硬めの座り心地。腰のあたりをしっかり支えてくれるので、長時間のドライブでも疲れはすくない。
(後席)……★★★
全長4670mm、ホイールベース2675mmというボディサイズを十分に活かしたアテンザの後席は文句なく広い。フロントシート下には爪先が入るスペースがあるが、そこに足を突っ込まなくても済んでしまうほどのレッグスペースが確保されている。ヘッドルームも余裕があり、しかも、リアウィンドウが遠くにあるので、後頭部が陽に晒される心配も少ない。個人的な好みをいえば、シートバックがもう少し立っていた方が落ち着くのだが……。リクライニング機構がほしいと思った。
(荷室)……★★★★★
このクルマの魅力を高めているのが、テールゲートを持つ5ドアスタイルだ。テールゲートを持ち上げるとリアパーセルシェルフの後半部分が一緒に持ち上がり、大きな開口部と巨大なラゲッジスペースが姿を現す。リアシートを起こした状態でも奥行きは110cmほど確保されていて、横幅、高さも十分。テールゲートを支えているダンパーが荷室に侵入しないのもうれしい点だ。
これだけスペースがあれば、まあ、ほとんどの物は詰めると思うが、いざというときにはリアシートを倒すことも可能。その際、荷室のレバーを操作するだけでシートバックが倒れると同時に座面が沈み込む“KARAKURIフォールド”のおかげで、簡単に荷室が延長できるのは、まさにアテンザスポーツの見せ場といえる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
アテンザには2リッターと2.3リッターのふたつの直列4気筒エンジンが用意されているが、できればこの2.3リッターを選びたい。というのも、低中速域でのトルクの余裕もさることながら、バランサーシャフトが搭載された2.3リッターのほうがスムーズさが断然優るからだ。
21.9kgmの最大トルクを4000rpmで発生するこのエンジンはフラットなトルク特性を持ち、スムーズな5段オートマチックが組み合わされてストレスなく走るが、盛り上がりに欠けるぶん、箱根のワインディングロードなどではやや物足りなさを感じることもあった。
オートマチックのマニュアルモードは、レブリミットに達しても自動的にシフトアップせず、また、キックダウンも許さない頑固な仕様で、前に倒すとシフトダウン、手前に引くとシフトアップというパターンは非主流派だが、レーシングカーのようで、慣れるとこちらのほうが好ましく思えた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
215/45R18タイヤ&18インチアルミホイールと“専用チューンドサスペンション”が標準装着されるこのモデル、乗り心地は覚悟していたのだが、確かにやや硬めで路面によってはゴツゴツした感じもあるが、ホイールのばたつきがよく抑えられており、不快さはない。高速道路ではドイツ車にも似た重厚感があるが、周期の短い上下動が気になる場面もあり、さらにフラットさが感じられればよかった。
ワインディングロードに持ち込めば、誰もが「運転が上手くなった!?」と感じるほどコーナーは軽快で、ロールを抑えた安定したコーナリングにより、コーナーを駆け抜ける速度は自ずと上がっていく。「ロードスター」じゃなくても十分“Zoom-Zoom”な気分は味わえるのだ。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年7月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1806km
タイヤ:(前)215/45R18(後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザRE050A)
オプション装備:オートライトシステム+レインセンサーワイパー+撥水ガラス+アドバンスドキーレスエントリー&スタートシステム+BOSEサウンド+DVDナビ=39万7950円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(4):山岳路(4)
テスト距離:325.6km
使用燃料:38.5リッター
参考燃費:8.5km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。


































