MINIクーパーS(6AT)【試乗記】
受け継がれた「包容力」 2005.07.14 試乗記 MINIクーパーS(6AT) ……353万5350円 老若男女、趣味嗜好を(ほぼ)問わず愛され続ける「MINI」のキャラクターは、今も昔も変わらない。走ってヨシ、魅せてもOKのMINIとロードスターに通ずるモノとは……?なんでもアリの個性派
MINI……といっても今の“MINI”ではなくクラシックMINIが本当に長い間、人気を維持してきた秘訣は、ここでサラッと語れてしまうようなものではない。とはいえ、その数多ある理由のひとつに、オーナーの好みや個性に合わせて、どんな風にでも乗る、あるいは魅せることができる、“たたずまいの懐の深さ”とでもいうようなものが挙げられることは間違いない。
たとえばドライバーに焦点をあわせれば、Tシャツにジーンズ、レザーのグローブまでしてスポーツテイストで乗るのも似合うし、ツイードのジャケットでパリッとキメてもイイ雰囲気だ。クルマそのものも、今っぽいメタリックカラーだろうがノスタルジックなソリッドカラーだろうと違和感なくハマるし、サーキットから飛び出してきたようなレーシーなモディファイも、ウッドとレザーでまとめた伝統的な着こなしもサマになってしまう。
決して無味無臭ではなく、クルマ自体しっかりとした個性があるのに、さらにこうした個人の色を濃厚に反映させることができる。そんな存在だからこそ、時代や流行に左右されることなく、性別や年齢も問うことなく、クラシックMINIは愛され続けてきたわけだ。
“MINIとはなにか”
思えばロードスターも、初代モデルはそんな匂いを濃厚に漂わせていた。個人的にも当時、カスタムバイクに乗る友人が次なる素材として当時のMINIを買うかロードスターを買うか迷っていたことをよく覚えている。MINIと同じようにロールケージを組んでサーキットに向かうのも、革内装の「Vスペシャル」で都市を闊歩するのも、初代ロードスターはどちらもよく似合った。そんなキャラクターは、しかし残念ながら2代目では大きく後退してしまったのだが……。たとえば、あの肉感的なボディには、もはやVスペシャルは似合わなかったという具合に。
一方、クラシックMINIの系譜を受け継ぐ新しいMINIは、そのあたりを実にうまくやってのけた。その姿かたちは、もちろん往年のMINIをモチーフにしているものの、実はラインの1本にすら同じところは無い。なのにあの頃のMINIと同じように、どんな着こなしでも、どんな乗りこなしでもスルッと受け入れて、うまく着こなしてしまうのである。その包容力はホント大したものだと感嘆せずにはいられない。
結局、現行MINIを生み出し育ててきたスタッフたちは、“MINIとはなにか”を深く深く理解していたのだろう。だからこそ最初のうちはマニア筋から聞こえてきた否定的な声もすぐにかき消され、厚い支持へと結びついた。なにしろMINIは今、ここ日本で毎月1千台前後をコンスタントに売り上げているのだ。これはいうまでもなくロードスターより断然多い。あの頃のように自由に楽しめる懐の深さをもち、そしてどの時代ともシンクロできる魅力を持っていたロードスターだったら、そのうちの何割かはなびいていたんじゃないかと思うのだが……。
今そういうクルマを選ぼうとしたら、世界中見回してもMINIただ1台しかないのである。
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年7月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。




































