トヨタ ヴィッツ1.0F(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ ヴィッツ1.0F(CVT) 2005.03.05 試乗記 ……137万6550円 総合評価……★★★★ 6年ぶりにフルモデルチェンジされ、2代目となったトヨタの欧州戦略車「ヴィッツ」。『別冊CG』の道田宣和が新開発の1リッターモデルに試乗した。
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清く正しく美しく
久しぶりに自動車らしい自動車に乗った。
ミニバンだのSUVだのがまだなかった時代、乗用車は夢と希望に溢れていた。あるときは家族を乗せて和気藹々と、あるときは運転そのものを愉しむために独り峠道を訪れ、またあるときは荷物を満載して運送屋のお株を奪う。昔はカローラもサニーもみんなそうだった。もっともマルチプレーヤーは守備範囲が広くないと務まらない。まして世界を相手に覇権を目指すトヨタのベーシックカーとあらばなおのこと。
それを承知で真正面から取り組み、見事やってのけるのが今のトヨタの実力である。じっさい新型ヴィッツは万能だ。単に万能なだけでなく、個々の持ち技にさらなる磨きが掛かり、なおかつ100万円そこそこの超お買い得価格を実現した。まさにトヨタ恐るべしである。なかでも装備の控えめなこの1リッターのFタイプが、簡素だからこそより一層の自動車らしさを感じさせ、筆者は個人的にも気に入った。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年1月に誕生したトヨタの世界戦略コンパクトカー。国内市場では「カローラ」に次ぐ量販モデルであり、ヨーロッパでも「ヤリス」の名で広く浸透してきた。2005年2月にフルモデルチェンジされ、5ドアのみとなった。プラットフォームは新開発。広い室内と走行性能の向上を実現するため、ホイールベースとトレッドを拡大し、先代比で幅は35mm広く、ほぼ5ナンバー枠いっぱい。全長は110mm、ホイールベースは90mm長い。
エンジンは1リッター、従来からのキャリーオーバーとなる1.3リッターと、1.5リッターの3種類で、トランスミッションは、FFがCVT、4WDは4段ATが基本。スポーティグレード「RS」には、5段MTが設定される。
(グレード概要)
グレードは、新開発の1リッターモデル「B」から、中核「F」、豪華装備の「U」、そして「RS」が従来と同じ。新たに、パワーに余裕を持たせた1.5リッターモデル「X」が加わり、全5グレード。
テスト車の「F」は、廉価版の「B」に電動格納式ドアミラー、UVカット機能付プライバシーガラス、ワイヤレスドアロックリモートコントロール、CD一体電子チューナー付ラジオなどが追加装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
室内も初代のイメージが色濃く残っており、アウディ的に胸から下が深い空間設計と高めのダッシュボードとによる囲まれ感はその典型。その一方で実質的な改善とデザインの刷新が行われ、ポケッテリアが格段に使いやすさと数を増したほか、パワーウィンドウのスイッチなどはウィンドスクリーンから漸次下りてくるアームレスト上にあってブラインドタッチが可能な便利さだ。
(前席)……★★★★
いつまで経っても進歩のないのが日本車のシートだが、これは嬉しい例外。たっぷりしたサイズでファブリックの表皮が型押しされ、フィット感はなかなかよろしい。助手席は「買い物アシストシート」と呼ばれ、普段はクッション前部に隠された衝立を引き上げるとブレーキング時の手荷物落下を防止するというスグレモノだ。
(後席)……★★★★
スタンドのオヤジが思わず呟いた。「こりゃあクラウンより広いや」と。レッグルームと横への広がりはこのクラスの水準以上で、なお良いことに通例と違ってシート自体がしょぼくないのである。Fはバックレストが同じ可倒式でも分割のできない一体式だが、少なくともリクラインについては4段階あり、自然な姿勢でくつろげる。
(荷室)……★★★★
ディメンション拡大の恩恵が直接反映された部分がこれ。VDA式で274リッターの容量は旧型比69リッターにもなるとか。下にテンパータイヤを収めた床はフラットでアクセスも良い。三角表示板が走行中に転がらないよう、一旦滑り止めのネットを敷いてその上に置く方法は簡単かつクレバーだ。リアシェルフがないことだけはいささか不可解だが。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
980kgの軽い車重に71psのパワーは充分である。周囲の流れに歩調を合わせるだけならパートスロットル以上は必要としないほど意外な余裕があるのだ。発進して20km/h+に達した途端、「燃費志向」のCVTは回転数をアイドリング近くまで下げ、3気筒特有のトコトコというのどかなビートを響かせる。以前乗ったCVT付きの「トヨタ・シエンタ」とそっくりなのである。むろん踏めばそれなりのダッシュを披露するが、今度は音が急激に高まるから、やはりこの車は穏やかに走るのが一番だろう。総平均12.2km/リッターの燃費は立派である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
電動パワーステアリングはむやみに軽すぎず、正確で信頼が置ける。ただし、その気になって攻めるといきなりグリップを失ってヒヤッとする場面もないではないが、その責はペースそのものの高さと省燃費型で控えめなサイズもタイヤに帰せられるべきだ。普通に走ってさえいればまったく問題ない。乗り心地は全体にフラットで快適だ。ただし、これも踏面が硬いタイヤのせいで若干当たりが強く感じられることもある。じっさい指定空気圧は前後とも2.2kg/cm2と高い。
(写真=荒川正幸/2005年3月)
【テストデータ】
報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2005年2月22日〜2月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1305km
タイヤ:(前)165/70R14 81S(後)同じ(ブリヂストンB250)
オプション装備:スマートエントリー+電気式バックドアオープナー+盗難防止システム(4万950円)/SRSサイドエアバッグ+SRSカーテンシールドエアバッグ+アシストグリップ一体型コートフック(6万3000円)/ワイドマルチAVステーションII(10万2900円)/ETC車載器(1万4700円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:412.3km
使用燃料:33.69リッター
参考燃費:12.2km/リッター

道田 宣和
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