ボルボV50 2.4(5MT)/2.4i(5AT)【海外試乗記】
見せるワゴン 2004.05.11 試乗記 ボルボV50 2.4(5MT)/2.4i(5AT) すべてを一新したコンパクト・ボルボ、セダン「S40」のステーションワゴン「V50」が、いよいよ日本へ上陸を果たす。“エステートのボルボ”がつくるニューモデルの印象を、自動車ジャーナリストの河村康彦が報告する。スタイリッシュでクール
「ボルボS40」がフルモデルチェンジしたのに続き、2003年末、イタリアはボローニャのモーターショーでワゴンバージョン「V50」がデビュー。04年初頭から、ヨーロッパでデリバリーが開始され、日本でも5月に受注が開始された。ちなみに、最新のボルボ流儀では、「V70」や「XC90」など、ワゴンやSUVは頭に奇数の車名が与えられる。よって、セダンS40ベースのワゴンはV50なのだ。「V30」としなかったことから、セダンよりワゴンに、より強いプレミアム性を与えたい意向が感じられる。
V50は、なかなかスタイリッシュでクールなカッコよさの持ち主だ。リアセクションの強い平面絞りや、後方にいくに従って軽くドロップしたルーフのラインが、このクルマが“見せるワゴン”であることを主張する。縦長リアコンビネーションランプの面取り処理、サイドウィンドウのフラッシュサーフェスデザインなど、つくり込みも細かい。
このルックスならば、「セダン以上に見た目が気に入った」という選択理由も、おおいにあり得そうだ。実をいうと、V50のリアドアのパネルは、セダン=新型S40と共通である。しかし、そう言われても信じがたいほど、ステーションワゴンのシルエットに溶け込んでいるのが見事だ。先述のように、デザインに新しい提案が盛り込まれたにもかかわらず、「どこから見てもボルボ車」のブランドアピールもあり、V50のデザインには、ボルボ社の技術の高さが感じられる。
課題の残るスケルトン
一方、インテリアデザインは、S40のそれに準じたもの。インテリアの目玉たる、センターパネルの「フリーフローティング・センタースタック」は、当然、V50に踏襲された。パネルデザインはグレードによって異なり、ターボ付きエンジン搭載のスポーティ版「T-5」は「アルミニウム」、「2.4」と「2.4i」には「ダークウッド・エフェクト」が標準。加えて、アクセサリー設定の「アイス・アクア」と、全3種のマテリアルが用意される。
ボルボが“一番のオススメ”とプッシュするのは、青みがかった半透明樹脂を使う、スケルトンデザインのアイス・アクア。だが、明るい日のもとで見ると、少々質感が不足気味に思えた。樹脂の帯電により埃を引き寄せやすく、光線の当たり具合によっては表面についた細かなキズが目立ちやすいのも難点だ。スケルトンデザインは、クルマの内装には見られなかった斬新な手法だが、質感の向上や使い勝手などの課題が立ちはだかる。
S40の時と同じ、スペインはマラガのホテルを拠点に開催された国際試乗会では、最高出力140psのエンジンを積むベーシックな「2.4」(5MT)と、170psバージョン搭載の中間グレード「2.4i」(5AT)、2台の自然吸気モデルをチェックすることができた。両者のエンジンは、排気量、圧縮比とも同じだが、「吸排気系や制御コンピューターなどのチューニング」によって出力が異なる。もちろん、エンジンだけでなく、オーディオや革巻きステアリングなど、装備も差別化される。
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セダンと遜色なし
走りのテイストは、基本的にS40と変わらない。すなわち、加速の力強さやボディの剛性感など、通常は「ワゴンの方が不利になる」とされる項目も、セダンと遜色ない仕上がりが実感できた。
ワゴンボディは、セダンより面積が大きくなるルーフパネルや、ボディ後端に大きな“蓋モノ”(テールゲート)を備える。それらが振動することで発生する、低周波の「ドラミング・ノイズ」も、V50ではまったく気にならない。ステーションワゴンの場合、積載を考えて、サスペンション(特にリア側)はセダンより硬めにセットされるのが通例。しかし、ことV50の場合、乗り心地においても、「目隠ししたら、S40との識別は難しい」という印象だ。
ワゴンの人気が高いボルボが、エントリーグレードに投入するニューモデルV50。見ても乗っても好印象なステーションワゴンである。
(文=河村康彦/写真=ボルボカーズジャパン/2004年5月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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