第109回:「ゴルフV」でチューリッヒまで それでも残った「ゴルフっぽさ」が凄い(前編)
2004.03.26 小沢コージの勢いまかせ!第109回:「ゴルフV」でチューリッヒまで それでも残った「ゴルフっぽさ」が凄い(前編)
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■多様化の時代
あのですねぇ。昔、とある作家さんが「個性はわざと残すもんじゃない、仕方なく残っちゃうものなんだ」って言ってたけど、ホントだよね。
新型フォルクスワーゲン・ゴルフ、つまりゴルフV。先日、ジュネーブショー取材の際にジュネーブからチューリッヒまでの区間を初めて乗ったけど、まさしくそう思いました。物凄くよくなって、ゴルフとは思えないくらいデカくなってるんだけど、「不思議とゴルフっぽい」。そういうクルマなのだ。
報道によると、「ヨーロッパでゴルフVは“思ったより”売れてない」とか。ジュネーブショーで仲良くなった通訳さんが教えてくれたけど、VW会長のベルント・ピシェッツリーダーさんは、こう言ったという。「これからはゴルフだけに頼る時代じゃない。派生車種も含めて勝負していかないと」。
「(ゴルフ)トゥーラン」はもちろん、シュコダやセアトなど、VWグループ全体で「ゴルフクラス」を盛り上げていこうと。つまりは多様化の時代ということだ。
とはいえゴルフV。ヨーロッパでもゴルフIVの倍ぐらい売れてるらしいけどね。発売直後の2003年7月から12月までの販売台数は、IVが約4万5000台だったのに、Vは約10万7400台。倍以上の伸び。しかし「本当は4倍ぐらいを狙ってた」とか。先代がそんなに売れてなかったとは知らなかったが、とにかく「ゴルフ」は昔と同じではいられない存在なのである。
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■高級化……?
ってなわけでゴルフV。ハッキリ言って様変わりしてます。デザインはもちろん、ボディサイズは長さで55mm、幅で24mm、高さで41mmデカくなった。全幅なんて1759mmもある。全然「コンパクトカー」って感じじゃない。ちょっと小さなミニバンぐらいだ。一緒に乗った自動車ジャーナリストの日下部さんが「今までと同じだったらミニバンと勘違いしちゃうから、このデザインにしたのかもね」って言ってたけど、それも一理あり。
それから、レーザー溶接部分が、全部合わせると70mもあるというボディが凄い。剛性感もさることながら気密性が高く、すごく静か。特にリアシートの静粛性は驚異的で、後ろのピラーのあたりから妙な共鳴音がしまくってたゴルフIIが懐かしいほど。
ハンドリングはまさに「これがゴルフか?」ってくらい軽く、ナチュラル。切った方向に自然とノーズを向け、高速でも低速でも思うように曲がる。昔ほどビシッと「なにがなんでも真っ直ぐ行くぞ〜」って感じの直進性はなくなったけど、けっして怖くなったワケではない。より「思い通りに動くようになった」だけだ。
乗り心地も確実によくなった。リアの新しいマルチリンク・サスペンションの性能が高く、全体を柔らかくできたようで、昔あった「ゴワゴワ感」はほとんどない。
でもね。はたしてそれが「高級化」かといわれると、疑問なんだよね。格別にデザインが先鋭的、前衛的かっていうとそうでもないし、乗り心地がフワフワかっていうとそうでもない。それより「不満がなくなった」と表現する方が適切な気がする。それも、ほとんどあらゆる方面での不満が。
たとえばデザインに「実用車っぽさ」をほとんど感じないわけだし、リアシートは大人が足組んで座れるほど広い。それでいて、トランクは俺の海外旅行用のバッグが縦に積めるほど。(後編に続く)
(文=小沢コージ/2004年3月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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