トヨタ・シエンタG(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・シエンタG(4WD/4AT)【ブリーフテスト】 2003.11.05 試乗記 ……229.1万円 総合評価……★★★ 2003年9月にデビューした、トヨタの新型ミニ・ミニバン「シエンタ」は、コンパクトボディに3列シート7人乗り、簡単なシートアレンジなどがウリのニューモデル。自動車ジャーナリストの笹目二朗が、上級「G」グレードの4WD仕様に乗った。
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ソツがない
日産「キューブ キュービック」やホンダ「モビリオ」を直接のライバル車とする、6/7人乗り小型多用途車に対するトヨタの回答が「シエンタ」。クルマ自体は、最大公約数的にソツなくまとまっている。ライバル車ほどの個性は与えられていないが、とりたてて欠点もない。クルマを特別な趣味の対象として見ない人には、好感をもって迎え入れられるハズだ。とくに、大事な普段の生活スピードにおける乗り心地は秀逸。それが2列目でも3列目でも、さほど悪化しないところがトヨタ流の親切か。
ところで、こうしたクルマに多人数でワイワイ乗るのは楽しいが、運転には注意が必要だ。下手な運転、つまり不必要にボディを揺さぶる運転をすると、乗員が酔いやすい。スロットルワークと操舵には特に配慮してほしい。4WDの場合、駆動系のスムーズさが安定化の恩恵となりうる。雨や雪を想定しなくとも、4WDをオススメする。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年9月にデビューした、3列シート7人乗りのミニ・ミニバン。日産「キューブ キュービック」やホンダ「モビリオ」の対抗車種である。エンジンは、1.5リッター直4DOHCのみ。トランスミッションは、FFがCVT、4WDには4段ATが組み合わされる。簡単操作のシートアレンジや、両側スライドドアなどがウリ。
(グレード概要)
グレードは、ベーシックな「X」と、上級「G」の2種類に大別され、Xグレードに一部装備を省いた廉価版「Eパッケージ」が用意される。XとGの違いは、パワースライドドアや前席アームレストの有無など。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
センターメーターは、乗員全員からよく見える。国産ファミリーコンパクトには珍しく、タコメーターが備わるのは嬉しい。ドライバーとしては、正面ステアリングホイール内に何もないのが寂しく思えた。インパネシフトは、位置的には操作しやすいが、ゲートを刻んだパネルは少々大袈裟。ナビゲーションや空調関連の操作もしやすく、表示も明瞭である。だた、ナビはそろそろ、ドライバー以外なら走行中でもセットできるよう、走行中のロックを解禁してもいいのではないだろうか。
サイドブレーキは、ミニバン系に多く見られる2度踏みリリース方式だが、これは要改善だろう。走行中誤って踏んだ場合、解除に苦労する。またサイドブレーキは、ブレーキが故障した際、補助ブレーキとしての役割を担う。2度踏み式は反復利用しにくく、フェードを起こしやすい。汎用性の高い方式だけに、対応を望む。
(前席)……★★★
一見簡素で小振りではあるが、サイズや形状に不満はない。座面両端を盛り上げて横Gに対する備えがあるのも好印象。ソフトな材質をつかった表皮の感触も悪くない。短いノーズがまったく見えないわけではなく、ちょっと前に乗り出せば丸いフェンダーの膨らが見えて可愛い。
(2列目シート)……★★★
折り畳める簡易型シートながら、座り心地は悪くない。足元や頭上のクリアランスも十分。前席より高めに座ることにより、前方視界がある程度確保されていて、閉所に押し込まれた感覚は薄い。サードシートへのアクセスもまずまず。肩にある操作レバーもグリップしやすい。3人がけではやや窮屈だが、小柄な人なら大丈夫だろう。中央のヘッドレストは、サイドエアバッグ、盗難防止システムとのセットオプションで設定される。
(3列目シート)……★★★
写真から想像するほど虐待は受けない。サイズや形状はまずまずで、肩まわり、足元、ヘッドクリアランスなど、スペース的な余裕も確保される。短距離の送迎などに、不満はないだろう。ヘッドレストを延ばせば、頭の位置も固定される。ただし、まったく調整代はないが。
リア車軸近くに座るにしては、乗り心地がゴツゴツ固すぎないのは美点。ただし、バックウィンドウが直後迫り、被追突に対する不安はある。
(荷室)……★★
トランク単体で考えると★は1つ。この手のクルマは、サードシートを折り畳めば荷室になるとも考えられるが、満席の場合は荷物が積めない。でもシート下など、何とか収納スペースになる空間はある。さらなる積載を求めるなら、ルーフに積むこともできよう。コンパクトミニバンは、もともと短い全長のなかでスペース効率を追求したクルマ。トランクスペースより、人間が乗れる方を採るのは当然の選択である。よって、★2つとした。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
フル積車で試乗したわけではないが、1330kgのボディに3名乗車+撮影機材程度なら、105psあれば十分に走る。4WDゆえの重ったるい感覚はない。1.5リッター直4「1NZ-FE」型は、高回転までまわすとやや煩いが、不快ではない。インパネシフトによるマニュアル操作に、難点は感じなかった。目でポジションを確認できるのがイイ。ステアリング上の「+」「−」スイッチ方式+インジケーター表示方式より確実だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
40から60km/h程度で走る、タウンスピードの乗り心地は良好。姿勢はおおむねフラットで、ダンピングもまずまずだ。重心高が高いことによる不安定さはあまり見られない。そうした意味でも、4WDを選ぶ価値はある。4輪にトラクションを渡すことで、安定性が増すからだ。
電動パワーステアリングは路面感覚が薄いが、微舵応答性は良好。だから、しょっちゅうハンドルを動かすクセのあるドライバーは、乗客が車酔いしやすいので注意が必要だ。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年10月7日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:921km
タイヤ:(前)175/70R14 84S(後)同じ(いずれもTOYO J36)
オプション装備:14×5.5JJアルミホイール(5.0万円)/ディスチャージヘッドランプ(4.5万円)/SRSサイドエアバッグ+セカンドシートセンターヘッドレスト+盗難防止システム(4.0万円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション+音声ガイダンス機能付きバックガイドモニター(28.6万円)/ホワイトパールクリスタルシャイン(3.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(1):山岳路(4)
テスト距離:361.1km
使用燃料:33.5リッター
参考燃費:10.8km/リッター

笹目 二朗
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