トヨタRAV4 J ワイドスポーツ 3ドア(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタRAV4 J ワイドスポーツ 3ドア(4WD/4AT) 2003.09.03 試乗記 ……225.0万円 総合評価……★★★ 小柄なボディと4輪独立懸架。初々しいキムタクが宣伝した「RAV4」も、しかし代が替わり……。『webCG』エグゼクティブディレクターがマイチェン後の2代目RAV4に乗った。オール三ツ星ゆえの哀楽
1994年にトヨタが「RAV4」を送り出したとき、とても新鮮に感じた。4WDでありながら、2ドアの個性的なボディスタイリングと4輪独立懸架を備えており、それまでの「林業用軽便車」というか「山間部の生活道具」もう少し気取ってみても「リゾート地のペンション用万能車」と考えられていた小型ヨンクのイメージを名実ともに変えた。
小さいけれど泥臭くなく、むしろ都会的な雰囲気を漂わせた新しいタイプの4WDだった。一体何に使うのかと問われると困るけど、何となく、それがあったら日常性から逃げられるような雰囲気があった。個人的には新しいジャンルを切り開いたクルマとして評価していた。
ただ、日本は競争が激しい。これを追うようにホンダは「CR-V」を出してきたし、さらにRAV4の狙いを先鋭化したような「HR-V」のようなモデルも出す。三菱も「パジェロ」の小型版などで応戦してくる。それらに対抗すべく5ドアを追加し、さらに2000年にフルモデルチェンジしたとき、明らかに5ドア版がシリーズの主役となった。そして都会的で軽快な小型4WDという、最初の狙いが次第に変化し、CR-Vを最大のライバルとする、比較的オーソドックスな小型SUVとなっていった。
このRAV4は2003年8月5日にマイナーチェンジを受け、低排ガス車認定制度をパスするとともに、エアバッグの充実などの安全性強化を図った。内外装にも最小限の変化が施され、特別仕様として「X Limited」が追加された。
今回試乗用に手配されたのは「RAV4 J」の3ドア版4WDだった。ということは5ドアが中心になってしまったRAV4のなかでも、もっともオリジナルの精神を残しているモデルである。ただし、結論から言ってしまえば、もはや「都会的でちょっと個性的なクルマ」ではなくなった。21世紀の東京では、スポーティな3ドア版でさえ、ごく普通の小さなSUVの一つになってしまっていた。
そしてリポートを書き終えて苦笑してしまった。各項目すべてが三ツ星なのである。そういう意味でも、典型的な“トヨタ的クルマつくり”に裏付けられたモデルになっていたのだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
元は比較的面白い商品企画から1994年に生まれた小さな4駆トヨタ。カローラ店用の「RAV4 L」とネッツトヨタ店用「RAV4 J」の2種があり、3/5ドアボディはともに4WDのみでなく、FFモデルも用意される。
3ドアと主力の5ドアの性格は、意図的に分けられている。オリジナルのスピリットを受け継いだ前者は、主に都会用レジャーカーといった狙いになっている。それに対し、後者はユーティリティをかなり重視したワゴンである。従ってボディはかなり異なり、3ドアは2280mmと、5ドアより210mmも短いホイールベースを持つ。外寸は3760x1735x1670mmと、幅や高さに対して全長が短く、特徴的なプロファイルとなる。
今回のマイナーチェンジを機会に、5ドアともどもフロントグリルやバンパーがやや変わり、ヘッドランプやリアランプの形状に変更を受けたが、RAV4ユーザーでないと気がつかない程度の変化である。むしろエンジンの改変の方が大きい。FF用の1.8と4WD用2.0の4気筒エンジンを持つが、両エンジンとも「超-低排出ガス規制」をクリアするとともに、直噴ガソリンの2リッター版は「平成22年燃費基準」を先行して達成した。
さらにフロントのサイドエアバッグや前後のカーテンシールドエアバッグが装備され、モデルによってはVSCやTRCが標準、さらにディスチャージ・ヘッドランプも一部モデルに与えられるなど、安全性の向上が図られた。
(グレード概要)
試乗車は3ドア4WDのワイドスポーツ。グレードとしては最上級になる。他のグレードの215/70に対して、237/60の16インチタイヤを履くこと、ディスチャージヘッドランプやクルーズコントロールを持つことなどで差別化される。見た目にはカラードオーバーフェンダーやルーフレールで他モデルと識別できる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
室内に入って驚いたのは、クルーズコントロールなどという高級な装備が付いているのに対して、オーディオやカーナビが入る部分が、プラスティックのカバーに覆われていたこと。つまりラジオすら付いていない。というのも、この種のクルマを買うユーザーはインカー・エンターテイメントシステムに関しては、それぞれ要求が異なるから、HDDナビからDVDナビ、MD・CDチューナーなど、各種のセットのなかから販売店で選んでもらおうというわけだろう。そうすれば顧客も便利だし、店頭価格が安価に設定できるわりに、販売店で利益が上がるというメリットもある。
インストルメントパネルのデザインは好ましい。黒とアルミ調の仕上げで統一されたそれは、機能主義デザインにまとまられていて、高級ではないが、まっとうな機械の印象を与える。大きなSUV特有の力の誇張もなくて気持ちがいい。
(前席)……★★★
シートのデザインも黒とシルバーでまとめられ、脱ニッポン的にあっさりしている。そのわりにシートは分厚く、サポートもよい。ただし物入れは比較的少ない。前述のようにラジオすら付かないが、スピーカーは車内に4個、最初から設けられている。
(後席)……★★★
短いホイールベースを考えるなら前後のスペースはかなりたっぷりとられているし、バックレストはマニュアルで角度を変えられる。またクッション座面がフロントよりやや高めになっているのがいい。シート幅は3人には狭すぎると思ってカタログを見たら5ドアとは違って3ドア版は定員4名だった。となると、これは充分な広さだろう。
(荷室)……★★★
全長が限られているから、リアシートを起こした状態では荷室は本当に狭い。でも普通なら2人、せいぜい3人乗車だろうから、リアシートを畳めばいい。これは左右独立してバックレスト前倒、クッションごと前方へ折り畳みできるほか(その場合、折り畳んだバックレスト上には4kg以上の荷物を積んではいけないという注意書きがある)、完全に取り外すことも可能である。そうすれば直方体に近く、それなりに広い(外寸からすれば)荷室がつくり出せる。横開きのリアゲートは、スペアタイアを背負っているためにやや重いのと、開くとき、クルマの後方にかなりの余裕を要求するのが難点。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ガソリン直噴の2リッター・ユニットは155ps、19.6kgmだが、1.3トン少々のボディには充分。100km/h時が約2500rpmで、そこからの加速もなかなか力強いし、その前に比較的レスポンスがいい(その分、トヨタとしてはややショックも大きい)4ATが積極的に介入するから、結構活発に走れる。エンジンは、6000以上も受けつけるが、ウルトラスムーズというわけでもない。2リッター級実用エンジンとしてはごく普通。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ワイドスポーツの名前のとおり、ややスポーティ版ということで235/60のタイヤ(ブリヂストンのデュエラーH/T)を履くが、これは功罪半ばする。純粋なハンドリングよりむしろ見た目重視だろうが、低速ではやはり硬いし、足下が重い感じを与えがちなのに加え、ロードノイズも大きい。4輪独立だから基本的なオンロードでの乗り心地はいいし、高速安定性もいい。しかし、初代に乗ったときのように、あたかもいい小型乗用車を操っているような軽快感はなくなった。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者 :大川悠
テスト日:2003年8月23〜24日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2003年型
テスト車の走行距離 :413km
タイヤ: (前)235/60R16 100H/(後)同じ(いずれもブリヂストン デュエラー H/T)
オプション装備 :VSC(ビークルスタビリティコントロール)&TRC(トラクションコントロール)+リアディスクブレーキ(7.0万円)/SRSサイドエアバッグ(フロントシート)&SRSカーテンシールドエアバッグ(フロント・リアシート)+盗難防止システム(エンジンイモビライザーシステム)(7.5万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態 :市街地(4):高速道路(6)
テスト距離: 137.6km
使用燃料 :18.7リッター
参考燃費:7.6リッター/km

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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