スバル・レガシィツーリングワゴン&レガシィB4【試乗記(前編)】
独自のカテゴリー(前編) 2003.06.03 試乗記 スバル・レガシィツーリングワゴン&レガシィB4 富士重工の社運をかけたメインモデル「レガシィ」がフルモデルチェンジを果たし、4代目となった。3ナンバーボディとなったツーリングワゴンおよびB4はどうなのか? 『webCG』記者が、富士スピードウェイで開催されたプレス試乗会に参加した。3ナンバーになったわけ
「スバル・レガシィ」が、2003年5年23日にフルモデルチェンジを受け、4代目になった。ニューモデルのキモは、ボディ横幅が1730mmに拡大され、いわゆる“3ナンバー”になったこと。ターボモデルの過給機がシングルタイプになったこと。そしてツインカムユニットが大幅にリファインされたことである。全車、駆動方式は4WDとなる。
−−なぜ“3ナンバー”ボディにしたのですか?
開発をとりまとめた商品企画本部の増田年男主査にうかがう。
「安全、環境、性能、取り回しに考慮して、最適なパッケージングを検討した結果です」
ニューワゴンの車両寸法(カッコ内は従来比)は、全長×全幅×全高=4680(0)×1730(+35)×1470(−15)mmと、全長は変わっていない。トレッドを広げてステアリングの切れ角を増すことによって、最小回転半径が5.6mから5.4mに小さくなった。「横幅は多少広がったが、取り回しはむしろよくなった」というのが、スバルの主張である。
ちなみに、セダン版たる「B4」は、4635(+30)×1730(+35)×1425(+15)mmとなる(specBの全高は、ワゴン/セダン=1475/1435mm)。全長が長くなったのは、主に後方からの衝突テストに備え、リアのオーバーハングを延ばしたため。
しかし「紺屋の白袴」じゃあないが、「3ナンバー/5ナンバー」といっても、いまや税制上の差異はないに等しいことを、今回、改めて認識した(税金は、排気量と重量にかかる)。かつて税制が変わって“3ナンバー専用ボディ”の「三菱ディアマンテ」が登場したときは、そりゃもう、大騒ぎだったもんですが……。
軽量化と衝突安全性
さて、ハナシの成り行き上、自動車重量税にかかわるウェイトについて述べると、ごく単純化して「約200kg分の軽量化技術」が投入された。今までのつくり方で新型のスペックを実現しようとすると、130kgほど重くなっていた。ところが、ニューユーモデルは、なんと!! 80-110kg程度軽く仕上がったのである。
いまさらいうまでもなく、軽量化は“走る”“停まる”“曲がる”の動力性能に加え、「燃費向上」「排ガス低減」にも利くから、各社、血相を変えてクルマの重量を削っている。しかも、衝突安全性を高めつつ。
新型レガシイのボディ構造は、キャビンを鳥かごのようにフレームで囲う「環状立骨構造」が新しくなり、その名もズバリ「新環状立骨構造」に進化した。構造材の見直し、厚さの違う鉄板をつないで無駄を省く「テーラードブランク」の採用、ボンネットに加えリアゲイトもアルミ化するなど、一番軽いスポーツワゴン「2.0i」の車重は1330kgとなった。
軽量化が顕著なターボモデルでは、セダンが最も重い「2.0GT specB」で1460kg、同じくワゴンで1480kgに抑えられた。従来、「1.5トン超2トン以下」の重量税を払っていたターボユーザーには悔しいことに、「1-1.5トン」のカテゴリーにターボ含め全車収まる。1年で6300円、3年で1万8900円オトクな計算だ。軽量化メリットの、ごく卑近な例。
スバルらしいハナシではある。
一方、軽量化との兼ね合いが難しい「衝突安全性能」に関しても、根本的な見直しが図られた。ニューレガシィのホイールベースは、先代より20mmストレッチされた2670mm。通常なら、キャビンを大きくして“居住性アップ”を謳うところだが、「むしろフレームをすっきり通したかった」とエンジニアの方は正直に(?)説明する。
たとえばフロントからの衝撃は、ホイールハウスに干渉されることなく、「トーボード」「サイドシル」「Aピラー」に分散・吸収されるようになった。サイドインパクトには、車両幅拡大分がほとんどそのまま当てられ、またBピラー基部のテーラードブランク材によって、計画的にエネルギーが吸収される。後突には、リアフレームの断面を大きく、かつ形状をストレートにすることで備える。「全方位に対応した高度な衝突安全性」が、開発のキーワードである。
「ホイールベース延びて、3ナンバーになって、それなのにあんまり広くなってないのかよ、と言われるかもしれませんが……」と、動力性能をテストしたスバルのエンジニアは苦笑いする。真面目なスバルらしいハナシではある。
ちなみに、レガシィシリーズの約半数は、海外へ輸出される。
−−やはりグローバルスタンダードにそったボディを与えたかったということですか?
との問いには、前述の増田主査は、「というよりは、“レガシィとして最適な大きさ”を探った結果です」と、これまた一直線なコメントを述べられた。(後編へつづく)
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2003年6月)
・スバル・レガシィツーリングワゴン&レガシィB4 【短評(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013367.html

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。
































