日産マーチ14e(4AT)【試乗記】
欧州車なみ 2002.11.30 試乗記 日産・マーチ14e(4AT) ……151.9万円 日産のコンパクカー「マーチ」。欧州では「マイクラ」の名で販売される、グローバルカーのトップグレード「14e」に試乗した。webCG記者が報告する。平均月販1万4000台以上!
2002年2月デビューの3代目「マーチ」。発売から8ヶ月あまりが過ぎ、街でよく見かけるようになった。デビュー当初は「コンセプトカーそのまんま」のような目新しいデザインで人目を引いたから、「今なら目立つ!」ミーハー根性丸出しで乗ってみたいと思ったが、さすが(?)月販目標8000台の量販車種。アッという間に街に溢れた。実際売れ行きは目標台数を大きく上まわり、2002年4月は1万3470台を販売。着々と台数を延ばし、4〜8月の合計は7万637台、5ヶ月平均で1万4000台以上! 街でよく見かけるワケですね。
老若男女問わず、社用車として外まわりの営業員も乗るクルマだから、ギョロ目で丸っこい、個性的なエクステリアデザインは、個人的に「問題あるんじゃないか……」と思っていたが、杞憂だったようです。
テスト車「14e」はマーチのトップグレード。「ダイヤモンドシルバー」のボディーカラーは、フツーすぎてちょっと残念。暖かみのある「パプリカオレンジ」か、シック(?)な「オパールラベンダー」が個人的には好き。12種類もある外販色のなかで、人気トップはコンベンショナルなダイヤモンドシルバー。次にコミュニケーションカラーの1つで、淡い緑のビーンズ、オパールラベンダーと続く。もっと地味な色ばかり売れていると思ったが、そうでもないのはやはりデザインのせいだろうか。
便利なインテリジェントキー
インテリアは、淡いグリーンの「エクリュ」。ウィンカー&ワイパースイッチにまで、染料を混ぜた色つきの専用部品を使い、統一感のあるインテリアだ。運転席に座ると、先代より75mm広くなった全幅のせいか100mm高くなった全高によるのか、広々として圧迫感はない。ヘッドライトの盛り上を目印にすれば、狭い道での取りまわしも大丈夫。運転席にはラチェット式のシートリフターが備わり、ステアリングホイールのチルト機構も使えば、適切な運転姿勢を取ることができる。
テスト車は、トップグレードだけに、本革巻ステアリングホイールや、チタン調文字盤加飾メーター&シフトベースの装飾が奢られるインテリア。さらに、オートライトやフルオートエアコン、車速感応式間けつワイパーなど、いわゆる“上級装備”が標準だ。TVで宣伝している、ジマンの6エアバッグ(フロント、カーテン、サイド)も備わる。
新型マーチのニューアイテム、「インテリジェントキー」も標準装備。キーレスエントリー付きなのはもちろん、エンジンをかけるのは、キーを持ってさえいれば、鍵穴部分に取り付けられたレバーをまわすだけですむ。カギをポケットから取り出し、鍵穴にさしてまわす作業がないだけなのに、こんなに便利だとは思わなかった。かつてはトヨタ「セルシオ」など高級車専用だったが、ホンダの新型「アコード」に設定された「Hondaスマートカードキーシステム」や、ダイハツ「ムーヴ」の「キーフリーシステム」など、同機能のアイテムが登場するのも納得。
フィードバック前
内装や装備品に感心したのに、走り出したらちょっとガッカリした。アクセルペダルに対する、スロットル制御の問題か、ペダル踏み始めのトルクの立ち上がりが急激。試乗した日は雨だったので、白線の上など滑りやすい路面では前輪が空転して暴れることさえあった。さらに、1速から2速の変速ショックがかなり大きい。速度感応式電動パワーステアリングの感触も、高速では適度な軽さが悪くないものの、低速ではあまりに軽い。乗り心地も突き上げが多い……、不満がイッパイである。
実は、2002年10月に発表された、新型マーチベースのハイトワゴン「キューブ」に乗ったとき、プラットフォームやパワートレインなどを共用するにもかかわらず、上記の不満がかなり解消されていて驚いた。キューブの車重はマーチより130kgほど重いが、トルクの立ち上がりは滑らかで4段ATの変速もスムーズ。ハンドリングも、マーチよりずっとしっかりしている。思わずエンジニアの方に「1.4リッターのパワートレインは、もともとキューブ向けだったんですか?」と、失礼な質問をしてしまった。エンジニア氏は、「そうではありません。キューブを見据えてはいましたが」と苦笑いされた後、スロットルやEPS(電動パワステ)の制御プログラム修正など、「マーチで得たお客様の声を反映し、ネガをつぶしました」と説明。さらに「キューブ」で得られた情報を、「マイナーチェンジでマーチにフィードバックさせます」ともおっしゃった。
マーチの1.4リッターモデルは、まだ“未完成”なんじゃないか、と思った。細部にまでこだったインテリア、6エアバッグやインテリジェントキーなどを標準装備し、「テレビで宣伝される通りのクルマ」ではあるけれど。2代目「マイクラ」として、積極的にヨーロッパに出される日産マーチ。欧州車がそうであるように、同型車が道を走り始めてからも、熟成が進められる。そんなところまで、欧州車風なのだ。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2002年10月)

大澤 俊博
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