ルノー・トゥインゴ ゴルディーニ ルノースポール(FF/5MT)【試乗記】
個性派ホットハッチのいいところ 2012.09.21 試乗記 ルノー・トゥインゴ ゴルディーニ ルノースポール(FF/5MT)……245万円
ルノーのホットハッチ「トゥインゴ ゴルディーニ ルノースポール」に試乗。マイナーチェンジを受け、見た目が大きく変わった新型の乗り心地やいかに?
ルノーの新しい顔
世界一長い名前のフレンチホットハッチ「トゥインゴ ゴルディーニ ルノースポール(R.S.)」がマイナーチェンジした。のっぺりしたフロントマスクを一新したのが最大の変更点。中央のひし型エンブレムからヘッドライトに向けて翼を延ばしたようなデザインが、今後のルノーの新しい顔になっていくらしい。「日産ジューク」みたい、と言っている人がいた。ま、同じグループですから。
ボディーカラーには、これまでのゴルディーニブルー(ブルーマルトメタリック)のほかに白の新色が登場した。ゴルディーニの名をタンスからひっぱり出してきたのは、あのブルーに塗りたかったからじゃないの!? とも思うが、選択の幅が広がるのはいいことだ。そのかわり、以前はいろいろあったトゥインゴのスポーティーモデルは、ゴルディーニR.S.に一本化された。
試乗車はその新色「ブラン グラシエ(氷河の白)」。ストライプが白になるゴルディーニブルーに対して、こちらの2本線は濃いグレー。ゴルディーニブルーよりシックで、あれほど派手ではないところが長所かもしれない。
ボディーが旧型より大きくなったように見えるのは、膨張色のせいかと思ったが、新型は前後のオーバーハングが延び、全長で9cm長くなった。
このトゥインゴもほかのスポーティールノーと同じく左ハンドルである。スペースに余裕のない小さな左ハンドル車の場合、右ハンドル化するとモンダイが起きることがままある。運転はしづらくなるが、クルマは本国オリジナルのハンドル位置がベストである。左ハンドル/マニュアルの本国仕様で乗れるのは、日本でルノーを選ぶ大きなインセンティブだろう。
好感のもてるスポーツユニット
今回のマイナーチェンジで、機構的な変更はアナウンスされていない。ボディー全長が9cmも延びたのに、車重(1090kg)が30kgも減っているのは謎なのだが、減ったのだからよしとしよう。
パワーユニットは、「ウインド」にも搭載されている134psの1.6リッター4気筒。高圧縮比化や吸排気系のチューニングをルノースポールが担当している。
この16バルブツインカムが好感のもてるスポーツユニットである。モーターのように滑らかではなく、むしろ回転のツブツブがはっきりしている。レヴリミットは7000rpmちょっとだが、6000rpmを過ぎてからはザワザワした抵抗感がある。しかしそのおかげで“回してる感”があって楽しい。6500rpmでタコメーター内にシフトアップを促す警告ランプがつくが、その色がグリーン。まだまだイケってことか。
1.6リッターで134psといえば、今どきチューンは控えめだが、そのかわり、ふだんからもて余すことなく“使いきれる”のがこのエンジンの魅力だ。レヴリミットまで引っ張ると、ローで58km/h、セカンドで96km/hで頭打ちになる。5段MTの、このほどほどなギア比もファン・トゥ・ドライブに貢献している。エンジンの印象ともあいまって、どこか昔のOHVのキャブ車をほうふつさせるアナログ感がある。ドイツ車ほど“進んでいない”のが、ラテンの仲間のいいところである。
約370kmを走って、燃費は11.1km/リッターだった。100km/h時のエンジン回転数は5速トップで3200rpm。うるさくはないが、燃費のためには高い巡航ギアを加えた6段が欲しいところだ。でも、これだけ回っていると、5速のまま踏めばグイッと前に出るから、ま、いいか。
ヨンマルタイヤでも乗り心地良好
専用のスポーツサスペンションをもつゴルディーニR.S.は、195/40R17を履く。「MINI」が17インチのヨンマルになるのは、211psのJCW(ジョンクーパーワークス)仕様からである。たかだかノンターボの134psにしてはオーバータイヤか、と思わせるが、この足まわりもゴルディーニR.S.の美点だ。
旧型にあった「トゥインゴ ルノースポール」には、最初からカップ仕様のハーダーサスペンションが付いていて、「バネ取っちゃったの?」というくらい硬かったが、ゴルディーニR.S.はあんなにアナーキーではない。ネコ足とまでは言わないが、サスペンションにはフレンチホットハッチならではの十分なストローク感がある。ファミリーカーとして使うのになんら支障はないし、ワインディングロードでファイティングポーズをとっても扱いやすいし、楽しい。乗り心地は旧型よりさらによくなった印象を受けた。
価格は245万円。「フォルクスワーゲン・ポロGTI」や「フィアット・アバルト500」はもっとパワフルだが、300万円に迫る。MINIだとクーパー(261万円)が価格的に最も近く、パワーでもリードする。これだけのフェイスリフトをしたのに、お値段据え置きのプライスタグもゴルディーニR.S.の強みになりそうだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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