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【スペック】全長×全幅×全高=4975×1875×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1760kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブターボ(240ps/5500rpm、34.7kgm/1750rpm)/燃費=9.1km/リッター(JC08モード)/価格=694万円(テスト車=793万4650円)

ジャガーXF 2.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)【試乗記】

新しい時代の新しいジャガー 2013.02.10 試乗記 熊倉 重春 ジャガーXF 2.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)
……793万4650円

ジャガーのスポーツサルーン「XF」にダウンサイジングの2リッター直4ターボエンジンが採用された。新しい時代の2リッタージャガーはどんな走りを見せるのか。
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2リッターでも侮るなかれ

ジャガーファン卒倒の大ショック! 流麗にして豊満な高級スポーツサルーン「XJ」と「XF」が、突如とんでもなく大変身してしまったのだ。これまで5リッター級のV8や、それにスーパーチャージャーを付けてぐいぐい突っ走っていたし、小さい方でも3リッターのV6だったのに、なんと今度は2リッターの4気筒ターボが基本で、大きい方でも3リッターの6気筒にスーパーチャージャー付きという組み合わせ(従来からのV8も、「R」の付く特別な高性能モデルには残っているが) 。

サルーンユーザーには、どちらかといえば保守的な傾向があるから、これまでは気筒数や排気量でクルマの価値を判断してきたかもしれない。だとすると、なんだか格が下がったように見えるだろう。
でもテストしてみた結論から報告すると、この2リッターエンジン、決して侮れないどころか、とても気持ちの良い切れ味を発揮して、ジャガーらしいスポーツ風味を一段も二段も濃くしている。

最高出力240psは控えめに見えるが、わずか2000rpm以下で34.6mkgの最大トルクをひねりだし、そのまま6600rpmのリミット近くまで頭打ちにならないのがすごい。反応も敏感で、どこから踏んでも、アクセル操作に瞬間的に応答する。4気筒らしくメリハリに富んだフィーリングともども、必要もないのに踏んだり放したりしたくなる。もちろん5リッターV8ほどドスは利かないが、公道上を元気に駆け回る範囲では、こちらの方が潜在性能を余さず引き出せた実感を抱けて楽しい。

ZF製8段ATのレシオ配分も的確。わざわざシフトパドルでマニュアル操作するより、Dレンジに任せた方が、瞬間ごとのドラマ感を満喫しやすい。コンソール上のダイヤルを「D」から「S」に回すと、それまでの8速クルージングから一気に5〜6速へのシフトダウンが起き、むちが入ったように音色も一変する。

240psを発生する2リッター直4ターボエンジン。新開発の8段オートマチックトランスミッションの採用により、JC08モード燃費は9.1km/リッター、CO2排出量は207g/kmを達成。0-100km/h加速は7.9秒。
240psを発生する2リッター直4ターボエンジン。新開発の8段オートマチックトランスミッションの採用により、JC08モード燃費は9.1km/リッター、CO2排出量は207g/kmを達成。0-100km/h加速は7.9秒。 拡大
内装色にはシートやダッシュボード、センターパネルなどを組み合わせた4種類のカラーバリエーションが用意される。
内装色にはシートやダッシュボード、センターパネルなどを組み合わせた4種類のカラーバリエーションが用意される。 拡大
Driveセレクター横のサテンアメリカンウォールナットウッドはオプション。
Driveセレクター横のサテンアメリカンウォールナットウッドはオプション。
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キレのある走り

こんな4気筒へのダウンサイズは、コーナーでの身のこなしにも大きく貢献している。これは前輪荷重がV8はもちろんV6より比較にならないほど軽いのが最大の要因。しかもエンジンが短いということは、そのぶんフロントミッドシップ的になっているので、スッと切り込むと間髪をいれずノーズが素直にイン側を捉える。これでこそ、まるでドライバーを軸として方向転換するような、ジャガー独特のコーナリング感覚も生きる。

対する3リッターV6スーパーチャージャー仕様はというと、さすがに出力340ps、トルク45.9mkgだけに、地の底から湧き出るような底力は否定できない。さくさく軽快な2リッター4気筒ターボより、低回転からグ〜ッと持ち上げる過程には、いかにも高級サルーンらしいゆとりが漂う。しかし、だからといって3リッターの方が優秀と決めつけるのは間違い。

互いに根本的な性格が異なり、いわば「キレの2リッター」対「コクの3リッター」という感じなのだ。落ち着いたフォーマル感覚を求めるなら3リッター、積極的にクルマと語り合う喜びに浸りたければ2リッターという選択になるだろうか。わかりやすく言えば、馬力などの数字が小さい2リッターの方が上級者向き。これに乗って大排気量とすれ違う時、「ふん、俺の方がワカッテルもんなあ〜」的な優越感に包まれるのは、不思議だが本当だ。

こんな仕上がりだけに、今回ここに出演してもらったXFのような特別なコスチュームも似合う。「XF 2.0 Premium Luxury」(694万円)をベースとして、トランクリッドの控えめなスポイラーなどエアロダイナミックパック(22万4000円)や20インチのBlack Kalimnos軽合金ホイール(34万8000円)をはじめ、予算が合計793万4650円まで膨らんでも、「自分だけのエンスー城」を築きあげたような達成感、納得感はある。新しい時代の新しいジャガーオーナーに、ぜひとも薦めたい一台なのは間違いない。

エアロダイナミックパックが装着され、フロントエアインテークはブラックメッシュとなる。
エアロダイナミックパックが装着され、フロントエアインテークはブラックメッシュとなる。 拡大
2リッターの上級グレードとなる「2.0プレミアムラグジュアリー」のシートはソフトグレインレザーとなる。
2リッターの上級グレードとなる「2.0プレミアムラグジュアリー」のシートはソフトグレインレザーとなる。 拡大
3人掛けのリアシートは6:4分割可倒式。
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常に革新を志す

ところで、こんなに好印象をもたらした2リッター4気筒エンジンだが、実績を振り返れば当然かもしれない。その正体はフォードの力作「エコブースト」で、すでに「フォード・エクスプローラー」「フォード・フュージョン(欧州名:モンデオ)」「ランドローバー・レンジローバー イヴォーク」「ボルボV70」などにも応用され、軒並み好評を博している。重量2トンを超えるエクスプローラーを軽々と走らせるのだから、もっと軽く空気抵抗も小さいジャガーXJやXFなど朝飯前。

ジャガー、ランドローバー、ボルボなどとフォードとの資本提携関係は終わったが、技術面の協力関係は続いている。フォードとしては、このエンジンを年間150万基は製造したいと言っているから、こういう展開も想定の範囲内だろう。

それと聞いて「ええ〜っ、フォード?」などと顔をしかめるのは、ジャガーの本質を知らない証拠。並外れた商才に恵まれ、社会の空気を読む眼力で知られた創始者サー・ウィリアム・ライオンズが今もし健在だったら、迷わずダウンサイジングの風潮を受け入れたに違いない。伝統とは、常に革新を志すことによって、初めて守られ育まれるものだからだ。

(文=熊倉重春/写真=高橋信宏)

荷室は5名乗車時で500リッターの容量を確保し、リアシートを倒すことで最大920リッターまで拡大することができる。
荷室は5名乗車時で500リッターの容量を確保し、リアシートを倒すことで最大920リッターまで拡大することができる。 拡大
試乗車には、オプションの20インチ“Black Kalimnos”アロイホイールが装着されていた。
試乗車には、オプションの20インチ“Black Kalimnos”アロイホイールが装着されていた。 拡大
【テスト車のオプション内容】
エアロダイナミックパック=22万4000円/Meridian プレミアムサラウンドサウンドシステム(825W)=20万3100円/前席シートクーラー=10万9650円/20インチ“Black Kalimnos”アロイホイール=34万8000円/アクティブフロントライティング(コーナリングランプ付き)=8万1900円/サテンアメリカンウォールナットウッド=2万8000円
【テスト車のオプション内容】
エアロダイナミックパック=22万4000円/Meridian プレミアムサラウンドサウンドシステム(825W)=20万3100円/前席シートクーラー=10万9650円/20インチ“Black Kalimnos”アロイホイール=34万8000円/アクティブフロントライティング(コーナリングランプ付き)=8万1900円/サテンアメリカンウォールナットウッド=2万8000円 拡大
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