ホンダ・ライフダンク TR 4WD(3AT)【試乗記】
『カウチでダンク』 2001.01.12 試乗記 ホンダ・ライフダンクTR(3AT) ……147.0万円 2000年12月20日、ホンダの軽乗用車「ライフ」のターボ版、「ライフダンク」が登場した。明けて2001年1月11日、ダンクのプレス向け試乗会が、千葉県は幕張で開催された。バスケットの選手になるには身長の足りないスタッフが現地に赴いた。ターボ+3AT
「世紀を振り返る」企画目白押しで霞んでしまったが、2000年のビッグニュースのひとつは、まちがいなくホンダが自動車販売台数で日産を抜いたことだろう。「約75.5万台」対「約73万台」。ただし軽自動車を含めて。
「軽」をもたない日産に較べ、ホンダは約30万台を販売台数に加えることができた。その6割を、「ちょっと背高」のライフが占めたという。「ほどほどの背の高さが消費者に受けた」と、ホンダのエンジニアの方は語る。「ただ、ここはチョット……、というところもあったんです」。
つり目になったヘッドライトと網目のグリルが可愛く勇ましい「エクサイティングミニ」ことライフダンクのキャッチフレーズは、「Turbo、Dunk、Honda.」。ナンのコッチャ?
従来、NA(自然吸気)のみだった656cc直3シングルカムユニットに、空冷インタークーラー付きターボチャージャーを付与、14psと3.3kgmアップの、最高出力64ps/6000rpmと最大トルク9.5kgm/4000rpmを獲得した。発生回転数が、いずれもNAより下がっているのが、エライところである。そのうえ、ターボ車にもかかわらず、平成12年排出ガス規制のHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)規制値を50%以上下回る「優-低排出ガス」認定を取得したのがジマンだ。
組み合わされるトランスミッションは、3段ATのみ。増大したアウトプットに合わせ、各ギアのレシオが高められた。
グレード上がった室内
室内は、黒基調でまとめられた。革巻き3本ステアリングホイール、速度計と同径のタコメーターが、スポーティ。「オートマなのに」なんてヤボは、言いっこなしか。メタリック塗装のセンターパネルも手慣れた感じ。コラムシフトのため、足もと左右がスッキリしている。
「これはナカナカ……」と感心したのがバケット風のスポーティシートで、ホールド性云々よりも、クッションがたっぷりしていて、ちょっと贅沢な座り心地だ。「軽」を感じさせない。シルバーのファブリックを中央に、「トリコット」と呼ばれるバックスキン調の生地が左右に使われるのも、洒落ている。
「インテリアはユーザーからの要望が多かった」そうで、ライフで「ビニールみたい」と不評だったヘッドレストは、トリコットに変えられた。
後席は、背もたれの角度を調整できるほか、分割可倒式のバックレストを倒し、座面を前にズラすことで、前席後端までフラットな荷室が現出する。
ただ、純粋なリアシートとしては、あまり感心せなんだ。ヘッドクリアランスは存分にあるが、座面の長さが短いので、長く座るのはツラかろう。
ダンクはしっかり
スズキのKeiスポーツを乗ったときもそうだったけれど、ステアリングホイールを握って走り出すと、「軽ってなんだろう」と思う。ホンダ・ライフダンクは、力強く、グングン進む。等長ドライブシャフトのため、かつての「64ps軽ターボ」のように、「ドコ行っちゃうの?」感はまったくない。
足まわりには、NAモデルより太いアンチロールバー、レイトを上げたダンパー、スプリングが使われる。しかし、スポーティな「硬いサスペンション」というよりは、「頼りなさを取り去った」もの。しっかりとした乗り心地だ。
ホンダの3気筒は、モーターのように軽くスムーズ。スロットルペダルを踏み込むと、7000rpmのレブリミットまでキッチリ回り、シフトする。
3ATのため各ギアの守備範囲が広く、すこしでも「走り闊達」の宣伝文句通り走ろうとすると、エンジン回転数は上がりがち。そのため、エンジンマウントを工夫し、防音材の配置を考えて「静粛性に配慮」したとはいえ、絶対的にはウルサイ。
「スポーツモデルなのに、なぜMTがないんですか?」と、エンジニア氏に旧弊な質問をすると、「需要がないんです」というツレない答え。「ターボモデルを買う方は、フル装備を求める人が多い。最上級グレードですから」とも。
自らコートを走るより、カウチでテレビのダンクを見る、といったところか。ダンクのシートはセパレートだけど。
「一番安いモデルが121.5万円。トヨタ・ヴィッツが買えますね」と意地悪な問いには、「最初は高くても、諸経費・維持費を考えれば、とユーザーの方は考えるのでしょう」とまっとうな回答。
ホント、軽っていったい……。
(文=webCG アオキ/写真=阿部ちひろ/2001年1月11日)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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