トヨタ・クルーガーVSパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クルーガーV Sパッケージ(4AT) 2000.12.12 試乗記 ……253.5万円 総合評価……★★★細かい品揃えはどこまで?
クルーガーVのラインナップ中、最廉価の2輪駆動版に、スポーティな足まわりが与えられたモデル。スポーティとは言っても、スポーツカーやスポーツセダンとは違って、ノーマル版との違いは小さい。走りはしまるが、細かなショックを拾いやすく、路面からのノイズも車内に伝えやすいのが欠点。
トヨタの担当エンジニアは、クルーガーVを、安い価格で、かつハリアーより大きなボディを載せた「ミディアムサイズ乗用車ライクSUV」と位置付けると語った。狙いは達成されている、と思った。ただ、そこまで細かく品揃えをしないとイカンのか、という疑問は依然として残る。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年11月24日デビューの、「ハリアー」の兄貴分的SUV。乗用車寄りのハリアーに対し、よりオフロードテイストを押し出したモデルだ。ホイールベースをハリアー+100mmにし、より広い室内空間とラゲッジスペースを確保したのが特徴。エンジンは3リッターV6(220ps)と2.4リッター直4(160ps)。2WDと、生活ヨンクたるビスカスカプリング式4WDが用意される。グレードは、直4、V6/2WD、4WDのそれぞれに、標準「クルーガーV」、スポーツ仕様「Sパッケージ」、豪華仕様「Gパッケージ」で展開される。
(グレード概要)
Sパッケージは、専用スポーツサスペンション、17インチタイヤ/アルミホイールを装着し、マニュアル操作可能なスポーツステアシフトマチック付4ATを採用したスポーティグレード。リアスポイラーが標準で装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
インパネまわり、センター、フロアコンソールを覆う黒大理石風の化粧パネルは好き嫌いが分かれよう。「ちょっとクドい」と感じた。ラブホテルのロビーやパチンコ屋のトイレの壁を思い出させる……、って、リポーターがそのような場所にばかり行っているわけではない。
(前席)……★★★
ドアの切りかき形状がよくない。具体的には、ドアが下方にいくにしたがって後方へ湾曲しているため、不注意に乗り降りすると、向こうずねをブツける。リポーターはブツけた。カタチをもうすこし工夫できないものか。前席のシートサイズは大きめ。かけ心地は、可もなく不可もなし。
(後席)……★★
リアシートに座ると、前席では気づかなかったフロアからの振動や騒音が明瞭に伝わってくる。ちょっと威勢よく走ると、路面の段差や凹凸でポンポンと跳ねる。後席の乗り心地はあまり良くない。
(荷室)……★★★
ボディが大きな分、荷室も広い。床面最大幅143cm、奥行き115cm、トノカバーまでの高さが45cm(天井までは90cm)。床下には「デッキアンダートレイ」が備わり、側面には、左に「サイドボックス」、右に「デッキサイドトリムボックス」なるモノ入れがある。小物の収納にはこと欠かない。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
2.4リッター4気筒と、ボディのわりに控え目なエンジンだが、オンロードの日常ユースがメインの2輪駆動版には、必要十分なトルクとパワーを提供する。4段オートマチックトランスミッションのマナーも良く、不満点はない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
パワーステアリングのアシストが強めで、妙に軽いハンドル。とはいえ、クルーガーVの持ち主になったら、すぐ慣れるだろう。クロカンルックだが、ハンドリングで特別変わったところはない。乗用車のようだ。スポーツパッケージは、後輪がポンポン跳ねるのが気になった。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者 :金子浩久
テスト日 :2000年12月4日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2000年型
テスト車の走行距離 :760km
タイヤ :(前)225/60R17 99H/(後)同じ(いずれもブリヂストン Potenza RE031)
オプション装備 :前席サイドエアバッグ(3.5万円)
テスト形態 :ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態 :市街地(10)
テスト距離 :--
使用燃料 :--
参考燃費 :--

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