トヨタ・エスティマハイブリッド(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・エスティマハイブリッド(CVT) 2001.07.04 試乗記 ……335.0万円 総合評価……★★★独走態勢
「プリウス」に続くトヨタのハイブリッドカーは、人気のミニバン「エスティマ」だった。1997年12月にプリウスがデビューして以来、日産からは「ティーノ」、ホンダからは「インサイト」とハイブリッドカーがリリースされてはいるものの、これらは台数限定販売であったり、他に応用の効かない専用構造の特殊なボディの持ち主であったりと、いずれも素直に“量販モデル”とは認めがたいもの。
というわけで、ことハイブリッドカーに関しては、世界を見わたしてもトヨタの独走態勢が明確になった。このメーカー、すでによりシンプルな構造で様々な車種への応用がきく「マイルド・ハイブリッドシステム」も発表、まずはクラウンに載せて販売することを明らかにしているほどだ。
ハイブリッドシステムを搭載したエスティマハイブリッドの外観は、遠目には既存のガソリンモデルと変わらない。実際には、ヘッドランプ、テールランプ、フロントバンパーやラジエターグリルが専用デザインとなる。さらに、フロントとリアスポイラーの標準装着により、空力性能も向上したと言う。4色が用意をされるボディカラーのうち、薄いピンク色に見える「ローズメタリックパール」は新色として追加されたものだ。
インテリアの基本デザインもガソリン車から受け継いだもの。ただし、サードシート下に駆動用バッテリーを搭載したため、ここでのヒップポイントは2cm強のアップ。さらにクッション厚が減らされたり、スライド機構が省略されたりもしているから、3列目シートでの居住性は多少なりとも後退した理屈になる。
ラゲッジスペースには、床下に仕切りの付いた収納ボックスが採用されて使い勝手に配慮されたが、トータル容量は不足気味。定員いっぱいの人が乗ってしまうと、その人数分の荷物が載せられないという、ミニバンに共通のウイークポイントは、当たり前だが、ハイブリッド化されても変わらない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年1月にフルモデルチェンジを果たし、2代目となったエスティマ。初代の、専用エンジンを開発してまで実現した理想主義的なミドシップレイアウトはあっさり捨てられ、FFの、平凡なミニバンとなった。エンジンは、2.4リッター直4(160ps、22.5kgm)と3リッターV6(220ps、31.0kgm)の2種類。いずれも4段ATが組み合わされ、駆動方式には、FFほか4WDも用意される。シート形状によって、「2+2+3」の7人乗りと、「2+3+3」の8人乗りがある。2001年6月15日に、2.4リッター直4と前後モーターを組み合わせた4WDハイブリッドモデルが追加された。
(グレード概要)
プリウスに次ぐ、トヨタの量産ハイブリッドカー。フロントに2.4リッター直4とモーター、それにCVTを搭載。リアに駆動用バッテリーと後輪駆動用モーターを配置。基本的にはFFだが、必要に応じてリアモーターに電気をおくって後輪を駆動する、いわばオンデマンド型4WD車だ。プロペラシャフトを持たないところが画期的。発進、低速時など、内燃機関の効率が悪いときにはモーターで走り、通常走行に移るとエンジンが駆動力を引き継ぐ。さらに全力加速時にはモーターが加勢し、必要とあれば後輪も駆動して4WDとなる。制動時は、前後のモーターを駆使してエネルギーを「回生」する。駆動力および各輪を細かくコントロールして挙動を乱さない(乱させない)のも、エスティマハイブリッドのジマンだ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
理論的には「家庭用エアコン」の運転さえ可能な、最大1500ワット対応のAC100ボルト電源コンセントが設けられる。センターコンソールには、燃費やエネルギー回生量などを表示する6.5型ディスプレイが標準で装備される。イグニッションキーをONにすると、メーターパネルには「夜明けの星空を表現」(プレス資料)したブルーの照明が点灯する。ちなみに、光源には日本人による世界的発明として話題になった青色LEDが用いられる。
(前席/2列目)……★★★/★★★
専用のファブリックを採用したものの、フロントとセカンドシートのデザインはガソリン車用と共通。セカンドシートは、7人乗りモデルの「キャプテン」タイプと、8人乗り用の「ベンチ」タイプが用意される。サードシートのスライド機構が廃止された分、セカンドシートのスライド量は増加した(410から485mm)。
(3列目)……★★
サードシートは、ヒップポイントを上げつつクッションの量を減らして、ハイブリッドシステム用バッテリー(ニッケル水素)の搭載スペースを捻出。かわりに、スライド機構は廃止された。ラゲッジスペースの拡大には、座面前端を軸とした跳ね上げ機構(タンブル)で対応する。
(荷室)……★
ハイブリッド用バッテリーによって盛り上がったフロアと“面一”化をするため、荷室床下にサブトランクとして使える収納ボックスを設定して床面を嵩上げした。トヨタ流細かい気遣い。もっとも、サードシート使用時のラゲッジスペースはかなり限られる。側壁にはAC100Vソケットが備わる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
遊星歯車式からベルト式へと変更したCVT部分を除くと、プリウス用に近いメカを備える前輪駆動系(2.4リッター直4+モーター+CVT)に、モーターのみで駆動する後輪駆動系を加えたのがエスティマハイブリッドの基本システム。加速はスムーズで、極めて静かなクルージングは、プリウス同様。ただし、急坂での発進加速力だけは、ガソリン車に及ばない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ハイブリッドシステムの採用によって、1730kg(ガソリン車4WD)から1850kg(8人乗り)に増加した車重に対応して、サスペンションが強化された。また、燃費向上のために高いタイヤエア圧を採用することなどにより、フットワークのしなやかさはガソリン車にわずかに劣る。ただし、後輪モーター駆動の4WDシステム「E-Four」と、世界初の「ブレーキ・バイ・ワイヤー」方式を巧みに利用した4輪統合コントロールシステム「ECB(電子制御ブレーキシステム)」は画期的。各輪を独自にコントロールしながら、それぞれからエネルギーを回収する。さらに、アンチスピンデバイスたる「VSC」との合わせ技で、燃費性能のみならず、運動性能の面でも、ガソリン車では出来ないことをやってしまう。限界域に入るまえからシームレスに車両の挙動を制御、危ない目に遭う前にクルマが手をうつ、転ばぬ先の電子制御システムがそれだ。
(写真=小河原 認)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2001年6月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)205/65R15 94H/(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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