フォルクスワーゲン ポロ 4ドア(4AT)【試乗記】
ジェネレーションギャップ 2002.06.01 試乗記 フォルクスワーゲン ポロ 4ドア(4AT) ……198.0万円 今や、日本でのフォルクスワーゲン車販売量の、約2割を占めるまでに成長した「ゴルフ」の弟分「ポロ」。体もゴルフIIに匹敵するまでに大きくなった、4代目のニューモデルに、webCG記者が山梨県で乗った。ポロとルポ
2001年10月に開催されたフランクフルトショーでデビューした、フォルクスワーゲン「ポロ」。2002年5月27日から、日本での販売が開始された。当面、1.4リッターの5ドアハッチ(VWでは4ドアと呼ぶ)のみがラインナップされる。1975年に、主力モデル「ゴルフ」の弟分として登場以来、はや4代目となる。新型は「コンパクトカーだから、装備がショボい」とか、「質が低くても……」の妥協を許さずつくったのがジマン。「高品質、頑丈で安全」が“プレミアム”なコンパクトカーである。「次世代コンパクトカーのベンチマーク」と、VWは主張する。
5月29日に参加したプレス向け試乗会で、「ルポとバッティングしないんですか?」と広報担当者に聞いてみた。VWの末弟、ルポの上級グレード「コンフォート」は159.9万円。2002年秋から導入が予定される、ポロ2ドアモデルは179.0万円。価格差は18.1万円である。エンジンは1.4リッターで同じ、丸目のフロントマスクも、名前まで兄弟似だ。「ポロに2ドアが設定されているといっても、販売全体の10%程度です。ルポはパーソナルな2ドアモデル。ポロはファミリーユースにもお選びいただける、4ドアがメインです」、フォルクスワーゲンの広報氏はそう説明する。
2001年の国内VW販売台数のうち、ポロは約20%を占め、ゴルフのハッチバックに次ぐ人気ぶり。しかも、購入者の約8割が国産車からの乗り換えというから、新規顧客をVWブランドに取り込む重要な役割も担うのだ。
mm単位の調整可能
グレードは、4ドアと2ドアの2種類。トリムレベルによる区別はない。前述の通り、2ドアは2002年秋に導入予定のため、2002年5月の試乗会で乗れたのは、4ドアの1種類のみだ。
試乗したのは、「ジャズブルー」のボディにグレー内装が組み合わされたモデル。インテリアで目を引くのは、旧型の3本から4本スポークとなったステアリングホイール。センターコンソールの、全車標準となった「ESP」のオンオフスイッチなどである。
『webCG』では社用車として、先代ポロのホットモデル「GTI」を使用している。トップグレードとノーマルグレードを比較はできないが、「質感の向上」を謳う新型のインテリアに、それほど違いがあるとは思えなかった。
新設計のシートは、ちょっと硬め。腰や背中のサポートもいい。ゴルフと比べて、見た目もすわり心地も遜色ない。驚いたのは、前後スライド調節が非常に細かくできるようになったこと。先代では1ノッチで数cm移動するため、“絶妙”のシートポジションがとれず「ここと次のノッチの、間に固定したい……」と、歯がゆい思いをすることがあった。ニューポロでは、mm単位でのスライド調節可能な「ローラーベアリング式」を採用したので、ベストシートポジションを誰でもとることができるようになった。ハイトコントロールは、レバーによる無段階調節。ドライバーが喜ぶ、痒いところに手が届く改良である。
60mm延長されたホイールベースのおかげで、広くなった室内もジマン。リアのニースペースは60mm増え、座ってみると確かに余裕がある。フロントシート下に足を入れれば、足をラクにして移動できる。確かに、ファミリーコンパクトとしても使えそうだ。
GTIよりスゴイ
富士山の麓を、「ジャズブルー」の試乗車にのって走り出した。なだらかな坂が続く山道を登ると、リポーターとカメラマンが2人乗車するポロはちょっとツラそうだ。先代に較べて90kg、ルポと較べると160kgも重いから、1.4リッターエンジン(75ps、12.8kgm)では力不足なのか。停止時からの出足がモッサリしており、加速性能に関してはやや不満がのこった。
1.4リッター直4DOHCエンジンは、基本的に先代から受け継がれたものだが、スロットル制御は物理的なワイヤ式から、電子制御のドライブバイワイヤとなった。このシステムは、ドライバーの無駄なアクセルワークを、プログラムで調節することができる。加速がいまひとつなのは、そのせいもあるかもしれない。つまり、せっかちなドライバーが、ガバっとスロットルペダルを踏み込んでも、コンピューターは「効率」や「環境」に配慮して、シリンダーにむやみにガスを送らない。2回空ぶかしを入れたら、1回にしてしまうこともある。これにより、燃費や排出二酸化炭素の削減が可能になったという。
加速はイマイチだけど、速度に乗ってしまえばペースを維持することはできる。急な登り勾配でエンジンはそれなりに唸るが、5000rpmでも「振動」「ノイズ」は許容範囲で、大声を出さないで助手席と会話できた。新型ポロの「上質感」は、乗り心地に強く反映されたと思う。webCGのポロGTIは、荒れた路面でバタバタすることがあるし、スポーティモデルとはいえ目地などでの突き上げも強い。新型はデコボコを軽やかにいなし、かつコーナリングは落ち着きあるものだった。万が一のために、ESPやABS、EBDも備わるからいっそう安心感が高まる。
試乗会場へもどるべく坂を下っていたとき、ブレーキがやたらと利くのにも驚かされた。スロットルペダルと意図的に段差がつけられたブレーキペダルは、踏み代が大きく、実際にブレーキが利くまでの空走距離も長い。ガサツなリポーターがペダルをちょっと速く踏み込んだら、踏力が強いわけでもないのにABSが働いて「グググー!」っと急制動した。腹が立つ(?)ことに、GTIよりもブレーキがよく利く。新型ポロにはパニックブレーキを感知して、最大限の制動力を発揮させる「ブレーキアシスト」が備わり、それが作動したらしい。悔しいことに、webCGのGTIでABSを作動させても、ここまでの制動力は得られないと思う。EBDが備わらないから、ヘタに急制動すると車体が不安定になりかねない。もちろん、GTIが悪いのではなくて、新型がスゴイってことなんですが。
新型ポロに乗ってみると、今となっては旧型となった「GTI」を日常使う身としては、まさに「ジェネレーションギャップ」といえる進化が感じられた。ハンドルは軽くてラクチン、乗り心地は良くて安定感もある。電子装備でまさかの時の備えも安心だ。加速はちょっと不満だったが、VWは年々モデルを進化させるメーカーだから、その点も心配ないだろう(期待してます)。個人的にはMTを導入するだけで、1.4リッターのままでも加速に不満が無くなると思うのだが。数が出ないから、難しいかな……
(文=webCGオオサワ/写真=難波ケンジ/2002年5月)

大澤 俊博
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
NEW
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
NEW
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
NEW
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。 -
第343回:おやじ、涅槃で待つ
2026.8.31カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない? -
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.8.31試乗記フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。









































