クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】コンチネンタルGTC V8:全長×全幅×全高=4806×1943×1403mm/ホイールベース=2746mm/車重=2470kg/駆動方式=4WD/4リッター V8DOHC32バルブターボ(507ps/6000rpm、67.3kgm/1700rpm)(欧州仕様車)

ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8(4WD/8AT)【海外試乗記】

やっぱりV8 2012.03.07 試乗記 西川 淳 ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8
(4WD/8AT)

これまで12気筒モデルしかなかった「コンチネンタルGT/GTC」に、V8モデルが加わった。同モデルは、従来モデルより排気量こそ小さいものの、スポーティー色は強まっているという。スペインからの第一報。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

伝統の復活

2世代目となった「コンチネンタルGT」と「コンチネンタルGTC」に、アウディとの共同開発による4リッターV8直噴ツインターボエンジンと8段ATが新たに搭載されることとなった。既存のW12ツインターボはもちろん健在で、そのまま併売されるというから、愛好家ならずともそのすみ分けが気になるところだろう(もちろんV8の方が「お買い得だろう」というのは想像できるけれど……)。ベントレーによれば、W12がラグジュアリー路線であるのに対し、V8ではよりスポーティー色が強められていると主張する。

なるほどベントレーには近年、ロールス・ロイスと“同じ”高級車イメージがついてしまっているが、歴史的にみればドライバーズカー色の濃いブランドだ。高級車ビジネスにおいて、スポーツ性がプレミアムカーの重要な要素になっている今、正統なヘリテージを持つブランドが、持ち前のスポーティーイメージを生かさない手はない。

当然、本格的な試乗テストでは、メーカーの“主張”をあらゆる角度から検証することが目的となる。スペイン北部で開催された国際試乗会には、サーキット試乗をはじめ、一般道やワインディングロード、高速道路など、さまざまなテストステージが用意されていた。

エンジンスペックは、W12のそれを68ps、4.1kgmを下回るものの、0-100km/hは4.9秒(GTCは5.0秒)、最高速度は303km/h(同301km/h)の実力を持つ。
エンジンスペックは、W12のそれを68ps、4.1kgmを下回るものの、0-100km/hは4.9秒(GTCは5.0秒)、最高速度は303km/h(同301km/h)の実力を持つ。 拡大
 
ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8(4WD/8AT)【海外試乗記】の画像 拡大
 
ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8(4WD/8AT)【海外試乗記】の画像 拡大
ベントレー の中古車webCG中古車検索

W12よりもスポーティー

ナバッラサーキットでGT、GTCの両モデルを試した。テストカーにはいずれもV8専用デザインとなるオプションの21インチホイールが与えられていた。さらにブラックアウトされたグリルや、8の字型のエキゾーストフィニッシャーも、アグレッシブな雰囲気を主張している。

まずはクーペボディーの「GT」を試す。スターターボタンを押すと、フルフェイスのヘルメットをかぶっていてもW12とは明らかに違うエンジンサウンドが体に伝わってくる。ピットレーンを走りだした段階でまず、新エンジンの触感にひと安心した。W12と比べてエンジンスペックが劣っている(といっても以前のW12とたいして変わらないが)一方、さほど車重は変わらないため、動き出しが“のろま”なのではないか、と勝手に心配していたのだ。だが、それも杞憂(きゆう)に終わった。新たに2段増えたギアをうまく活用したクロスレシオ、ということもあるだろう。ピットレーンを飛び出すと、ぎゅっと塊感のあるダッシュをキメてくれた。

サーキットでかなり酷使された後だったためか、タイヤやブレーキパッドは必ずしも万全な状態ではなかったが、それでも感動したのは、前アシのさばきのよさだった。旧型の「コンチネンタル・スーパースポーツ」もサーキットで楽しいモデルだったが、そちらがパワーで振り回して楽しむキャラクターだったのに対して、今度のモデルは車体のバランスのよさや、リニアリティーを感じさせる操縦性にドライビングファンを見い出せるタイプだ。

鋭さ、確かさ、軽やかさ、頼もしさ、すべてに渡ってW12モデルよりも確かに“スポーティー”である。この段階でスタートダッシュとステアリングフィールについては、ベントレーの“主張”を受け入れてよいことが確認できた。

エンジンパワーも十二分である。パワー感と官能フィール(サウンドを含む)とのバランスが見事で、W12よりもむしろベントレーらしい。そう、やっぱりベントレーには8気筒が似合う。

 
ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8(4WD/8AT)【海外試乗記】の画像 拡大
 
ベントレー・コンチネンタルGT V8/GTC V8(4WD/8AT)【海外試乗記】の画像 拡大
W12モデル同様、トルセンデフを持つ4WDシステムを搭載。前後40:60の割合で全輪を駆動する。
W12モデル同様、トルセンデフを持つ4WDシステムを搭載。前後40:60の割合で全輪を駆動する。 拡大

ヘルシーなエンジン

続いて「GTC」で一般道を走る。もちろん、優雅で堅固なソフトトップをオープンにして走った。スペインも2月ではまだ風が冷たい。ネックウォーマーを利かせれば、なるほど心地いいが、逆に膝頭のあたりが寒く感じられて参った……。それはともかく、頭上に風を感じながらのドライブは、クーペのそれと遜色のないもので、多少のゆるさもかえって“肩の力を抜いた”感覚に感じられて気分がいい。

新しいパワートレインは、アウディ用のそれと同様に気筒休止システムがウリである。音とビジュアルで8→4気筒への変化をわからせるブランドもあるが、ベントレーのものはそこまで“でしゃばり”じゃない。休止の作動はほとんどわからない。確かにアクセルペダルを踏むか踏まないかというクルージング時など、やや“薄味”になったかな、と思う瞬間もあったけれど、“V4モード”に切り替わったことをはっきりと体感することは難しい。

それよりも、じわじわと速度を上げていくときなど、ややザラついた、いかにも燃料が薄く感じられるときがある。CO2排出量をW12モデルの2/3とした新パワートレインを、「ああ、たしかにヘルシーだな」と思うのは、そういう瞬間だった(もっともそうしたヘルシー感の大部分は、気筒休止システムと8段ATによるところが大きい)。

サーキットで見せたフットワークはそのままに、大陸(コンチネンタル)のカントリーロードを軽快にこなしていく。W12モデルよりも車体の大きさを意識させないのは、ボディーサイズとクルマのキャラクター、そしてエンジンスペックのバランスが取れているからだろう。そうした感触に加え、全身をふるわせるV8のエグゾーストノートをダイレクトに味わえるのがドロップヘッドならではの魅力だ。

彼らの“主張”は、確かに受け取った。そして正直に言うと、“12発マニア”の筆者でさえ、もうW12は要らない、とも思った。なるほど、12気筒のシルキーなフィールは捨て難い。けれどもベントレーらしいのは、イメージ的にもパフォーマンス的にも、やっぱりV8。そんな思いが募ったテストドライブだった。

(文=西川淳/写真=ベントレーモーターズ)

西川 淳

西川 淳

永遠のスーパーカー少年を自負する、京都在住の自動車ライター。精密機械工学部出身で、産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰(ふかん)して自動車を眺めることを理想とする。得意なジャンルは、高額車やスポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域。

試乗記の新着記事
  • 日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
  • アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
  • ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
  • ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
  • アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
試乗記の記事をもっとみる
ベントレー の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。