第238回:愛されて50年!
「フォード・マスタング」の熱い人気に触れる
2014.04.24
エディターから一言
その歴史、実に半世紀
「フォード・マスタング」がこの世に誕生したのは、今からちょうど50年前の1964年4月17日、ニューヨーク・ワールドフェア(万国博覧会)でのことだった。考えてみれば、半世紀の歴史を誇るクルマなどそうざらにあるわけではない。今回のマスタングを除けば、アメリカ車で50周年を祝ったのは恐らく「シボレー・コルベット」だけだろう。2年後には「シボレー・カマロ」も50周年を迎えるが、果たして彼らはそれを祝えるのか……。なぜならカマロには、7年にわたり生産が止まっていた、いわゆる欠落期間があるからである。
そんなマスタングの50周年記念イベントが、“誕生日”である2014年4月17日にアメリカで開催された。場所はニューヨーク、ラスベガス、そしてシャーロットの3カ所。ニューヨークでは1964年にワールドフェアが開催されたクイーンズ地区のフラッシング・メドウズ・コロナ・パークが、ラスベガスとシャーロットは、ともにNASCARのレースが開催されるスピードウェイが舞台となった。
これに先立ち、ちょうどモーターショーが開幕したニューヨークでは、プレスデイの2014年4月16日にフォードがマスタングの50周年を祝うアニバーサリーモデルを発表。また、エンパイアステートビルの86階に新型のマスタングを展示して注目を集めた。実は50年前にも、フォードはエンパイアステートビルの同じ場所にマスタングを展示。一体どうやってそれを運んだのかが話題になったという。
フォードは今回、その答えを新たなモデルを使って公開してくれた。当時も、そして今回も、車両をいくつかのパートに分解し、一般用のエレベーターに載せて86階まで運搬。そこで再び組み立てるという方法を使ったのだ。もちろん1964年当時、エンパイアステートビルの展望台に自動車が展示されるというのは前例のない出来事であり、過去最大、かつ最も重い展示物だったという。
ケタ違いの記念イベントに脱帽
ニューヨークでの取材を終えると、次はシャーロット・モーター・スピードウェイに向かった。先述した3つの会場のうち、ここが最大の規模を誇ったからである。ちなみに「MCA(マスタング・クラブ・オブ・アメリカ)」の会長であるスティーブ・プレウィット氏によれば、16日から20日までの5日間で一日最大5000台の参加を見積もっていたという。内訳はレジストリー(登録申請)してあるクルマがおよそ3800台。これに、パブリックスペースに独自に集まる人々を加えてだいたい5000台というわけである。入場者数は一日2万~2万5000人を想定していた。
ちなみに、ニューヨークのフラッシング・メドウズ・コロナ・パークで催されたイベントに集まったマスタングは合計94台とのこと。シャーロットのイベントの、ケタ違いの規模がわかるというものだ。
イベントの内容は、歴代のマスタングを並べたり、レアなモデルを特別展示したり、あるいは当時もののテレビCMなどをビデオ上映したりといった具合。コース上では、レーシングスピードで自らのマスタングを走らせる走り屋さんたちの姿も見られたが、基本的にはオーナーたちが思い思いに週末を過ごす、おだやかな雰囲気が漂っていた。
4月18日の夕方からは「イブニングクルーズ」と称するパレード走行が行われた。オーガナイザーに聞いても「どこからどこに走るかは不明」ということで、仕方なくスタート地点で集まってくるクルマを写真に収めた。
それにしても、雨に向かいつつある天候にも関わらず、すさまじい数のマスタングがこのクルーズに参加していく。その車列の長さに、あらためてこのイベントの巨大さを実感。アメリカでのマスタングファンの多さと、人気の根強さを思い知らされた。
(文=中村孝仁/写真=中村孝仁、フォード モーター カンパニー)

中村 孝仁
-
第849回:新しい「RZ」と「ES」の新機能をいち早く 「SENSES - 五感で感じるLEXUS体験」に参加して 2025.10.15 レクサスがラグジュアリーブランドとしての現在地を示すメディア向けイベントを開催。レクサスの最新の取り組みとその成果を、新しい「RZ」と「ES」の機能を通じて体験した。
-
第848回:全国を巡回中のピンクの「ジープ・ラングラー」 茨城県つくば市でその姿を見た 2025.10.3 頭上にアヒルを載せたピンクの「ジープ・ラングラー」が全国を巡る「ピンクラングラーキャラバン 見て、走って、体感しよう!」が2025年12月24日まで開催されている。茨城県つくば市のディーラーにやってきたときの模様をリポートする。
-
第847回:走りにも妥協なし ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を試す 2025.10.3 2025年9月に登場したミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」。本格的なウインターシーズンを前に、ウエット路面や雪道での走行性能を引き上げたという全天候型タイヤの実力をクローズドコースで試した。
-
第846回:氷上性能にさらなる磨きをかけた横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8」を試す 2025.10.1 横浜ゴムが2025年9月に発売した新型スタッドレスタイヤ「アイスガード8」は、冬用タイヤの新技術コンセプト「冬テック」を用いた氷上性能の向上が注目のポイント。革新的と紹介されるその実力を、ひと足先に冬の北海道で確かめた。
-
第845回:「ノイエクラッセ」を名乗るだけある 新型「iX3」はBMWの歴史的転換点だ 2025.9.18 BMWがドイツ国際モーターショー(IAA)で新型「iX3」を披露した。ざっくりといえば新型のSUVタイプの電気自動車だが、豪華なブースをしつらえたほか、関係者の鼻息も妙に荒い。BMWにとっての「ノイエクラッセ」の重要度とはいかほどのものなのだろうか。
-
NEW
開幕まで1週間! ジャパンモビリティショー2025の歩き方
2025.10.22デイリーコラム「ジャパンモビリティショー2025」の開幕が間近に迫っている。広大な会場にたくさんの展示物が並んでいるため、「見逃しがあったら……」と、今から夜も眠れない日々をお過ごしの方もおられるに違いない。ずばりショーの見どころをお伝えしよう。 -
NEW
レクサスLM500h“エグゼクティブ”(4WD/6AT)【試乗記】
2025.10.22試乗記レクサスの高級ミニバン「LM」が2代目への代替わりから2年を待たずしてマイナーチェンジを敢行。メニューの数自体は控えめながら、その乗り味には着実な進化の跡が感じられる。4人乗り仕様“エグゼクティブ”の仕上がりを報告する。 -
NEW
第88回:「ホンダ・プレリュード」を再考する(前編) ―スペシャリティークーペのホントの価値ってなんだ?―
2025.10.22カーデザイン曼荼羅いよいよ販売が開始されたホンダのスペシャリティークーペ「プレリュード」。コンセプトモデルの頃から反転したようにも思える世間の評価の理由とは? クルマ好きはスペシャリティークーペになにを求めているのか? カーデザインの専門家と考えた。 -
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。