第9回:圏央道開通!! ただし7割(その8)
50年前の建設計画を見直してほしかった
2014.10.14
矢貫 隆の現場が俺を呼んでいる!?
海老名JCTまで走って
同じ“新しい自動車専用道路”とはいえ、圏央道は、新東名高速のような長距離移動のための道ではないから当然なのかもしれないけれど、それにしても、もうちょっと“旅の楽しさ”を演出してくれてもよかったのではあるまいか。
近ごろのサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)は、それ自体が旅の目的地になるほど魅力的な場所になっている。新東名を走ったときなど、SA見物に時間をとられてしまい、本来の目的地にたどり着くのが遅くなってしまうほどだった。
では、圏央道のそれは?
今回の取材では、走った区間のなかの2カ所のPA、「狭山」と「厚木」を見物したけれど、残念でした、なのだった。
第8回で書いたように、この道を利用する車両の多くが乗用車だったり観光バスだったりするのだから――それがわかっているから売店で販売している商品のどれもこれもが観光客向けになっているわけだから――もうちょっとSAに工夫があったらよかったのに。
それでも、さすが最新の道のPAだけのことはあり、トイレの快適さだけは、新東名のSA・PAにも劣らず清潔で快適なスペースになっていたと付け加えておこう。
厚木PAを出れば圏央道はもうすぐ終点、海老名JCTで東名道と合流である。
ラジオから流れてくる交通情報を聞いていると、迂回路であるはずの圏央道の渋滞情報が毎日のように伝えられている。圏央道、実は、渋滞するのである。そして、その渋滞箇所のひとつが、ここは間違いなく渋滞するでしょうと誰にもわかる場所、東名高速との合流地点である海老名JCTなのである。
右手に丹沢山塊の端、大山を眺めながら東名高速へと入り、取りあえず、つながっている圏央道としては、ここが終点である。
圏央道、実際に走ってみた感想は?
大の高尾山好きとしては、初っぱなから圏央道に好印象は抱いていない。けれど、その問題は横に置き、純粋に“新しい自動車専用道路”として圏央道を見ても、でてくる感想はやっぱり同じ。50年以上も前に計画された全国総合開発計画(第3回、第8回参照)に引っ張られ過ぎたのではないか、との思いである。
それがなければ、東京外環道からの距離が近すぎるこんな中途半端な場所に、放射道路をつなぐ迂回(うかい)路としての高速道路を計画しなかったと思うからだ。そして、それがなければ、高尾山とか八王子城山とか、歴史的にも重要な、しかも貴重な自然の遺産に危機をおよぼすことはなかったからだ。
しかも、できあがった道は、開通時期の違いによって立派だったり古くさかったり、PAは残念だったり。
つまり?
実に微妙。そんな道だった。
(文=矢貫 隆)

矢貫 隆
1951年生まれ。長距離トラック運転手、タクシードライバーなど、多数の職業を経て、ノンフィクションライターに。現在『CAR GRAPHIC』誌で「矢貫 隆のニッポンジドウシャ奇譚」を連載中。『自殺―生き残りの証言』(文春文庫)、『刑場に消ゆ』(文藝春秋)、『タクシー運転手が教える秘密の京都』(文藝春秋)など、著書多数。
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