第270回:次世代のスタンダードを作りたい
「マツダCX-3」の開発主査、冨山道雄氏に聞く
2014.12.16
エディターから一言
拡大 |
SKYACTIV技術と「魂動(こどう)」デザインを全面的に採用した、マツダの新世代商品の第5弾「マツダCX-3」がロサンゼルスオートショー2014(会期:2014年11月18日~11月30日)で公開された。この新型コンパクトクロスオーバーSUVに込められた作り手の思いとは? 開発主査の冨山道雄氏に聞いた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
既存のジャンルにとらわれない新しいクルマ
――CX-3は、ジャンルとしては「CX-5」の弟分に見え、サイズとしては「デミオ」に近いものがあります。マツダのラインナップにおいて、どういう位置付けのクルマなのでしょうか。
CX-3はスカイアクティブ技術と魂動デザインを併せ持つ新世代商品群の、第5の商品です。デミオの兄貴分とかCX-5の弟分というポジションではなく、ジャンルを超えたクルマを作りたいという思いの中で、ゼロから自由に開発を行ってきました。ですから、マツダのラインナップを拡充するまったく新しいクルマという位置付けです。
――顧客に対してどのような価値を提供しようとしていますか。
次の時代のスタンダードを作りたいと考えています。これまでクルマの歴史の中で、セダン、ハッチバック、SUV、ミニバンといろいろな形が出てきました。しかしお客さまのライフスタイルがどんどん多様化しており、既存の形がだんだんそぐわなくなってきているように感じます。さまざまなライフスタイルにフィットするクルマを作りたい。そういう思いで開発してきました。洗練された上質なデザインと、考え抜かれたパッケージング、そして純粋なドライビング体験が楽しめること。これらを提供価値のキーとして、お客さまに訴求しようとしています。
――ターゲットカスタマーはどういった人たちですか。
創造的なライフスタイルを持っている若いカップルや、お子さまが1人のヤングファミリーを想定しています。そういった方々がより刺激的な移動体験ができるクルマを作ろうと考えました。一例を挙げると、後席のヒップポイントはデミオより27mmほど高い位置に設定しています。これはお子さまがリアシートに座った時に、前席のご両親とちょうど視線が合うようにという配慮から導き出された数値です。
タワーパーキングに収まる全高を実現
――車格としてはデミオより上と考えていいのでしょうか。
はい、車格としては上です。メインのアーキテクチャーはデミオと共用していますが、ボディーサイズ(全長4275×全幅1765×全高1550mm)はデミオより大きくなっています。サイズだけではなく、エクステリアデザインの処理やインテリアの質感についても、1クラス上の上質さを追求しています。
――乗り心地や静粛性も強化しているのでしょうか。
目標としてはCセグメント、つまり「アクセラ」と同じ目標を掲げて開発を進めているところです。特に上質な乗り心地の実現には、かなり注力をしてきています。
――大きなタイヤが付いていますね。
CX-3ならではのプロポーションを実現するにあたり、タイヤの大きさは重要なポイントです。タイヤは215/50R18と215/60R16の、2種類のサイズを用意する予定ですが、実は215/50R18というのは市場ではあまり見かけないサイズなのです。しかし、あきらめることなく、タイヤメーカーの協力を得ながらこのサイズをラインナップに入れました。
――全高を1550mmに抑えていますが、これは都市部のタワーパーキングを意識した結果ですか。
はい、都市部で移動しやすくするということは、日本においては優先すべき価値であると考えています。最後に(ルーフに設置する)アンテナが引っかかってしまったのですが、小さなシャークフィンアンテナをつけて、取り付け位置も工夫して、1550mmの全高を実現することができました。
日本はディーゼルのみの設定
――エンジンは1.5リッターディーゼル(SKYACTIV-D 1.5)と2リッターガソリン(SKYACTIV-G 2.0)を市場ごとに適切なラインナップで展開するとありますが、日本市場はどうなりますか。
ディーゼルのみを展開する予定です。CX-3を新しいクルマとして位置付けるためにはどうしたらいいか。他の車との差別化をどのように考えるべきか。そういった議論を重ね、ディーゼルのみという結論に行き着きました。街乗りから長距離ドライブまで、いろいろなシーンで使っても満足していただける、パワフルで扱いやすいエンジンだと思います。もうひとつの理由は社会性です。環境性能において、いろいろ厳しくなる規制に対して十分な余裕を持って適応できるエンジンであること。また、排ガスの後処理を必要とせず、比較的安価に提供できるという技術面の優位性も理由のひとつです。
――その一方で、FFにAWD、ATにMTと、ドライブトレインは多用な選択肢を用意する予定だそうですね。
北国のお客さまからは四輪駆動が必要という、非常に強い声をいただいています。CX-3にはアクティブトルクコントロールカップリング方式の、新世代のAWDシステムを設定する予定です。また、ATでも走る楽しさは味わえますが、操る楽しさという観点から見た時、MTを希望するお客さまは多い。特にマツダファンの中には多いということはわれわれも十分に理解していますので、MTも設定します。四輪駆動のMT車というのは、他にあまり例を見ない組み合わせになるかと思います。
(インタビューとまとめ=webCG 竹下元太郎/写真=マツダ)

webCG 編集部
1962年創刊の自動車専門誌『CAR GRAPHIC』のインターネットサイトとして、1998年6月にオープンした『webCG』。ニューモデル情報はもちろん、プロフェッショナルによる試乗記やクルマにまつわる読み物など、クルマ好きに向けて日々情報を発信中です。
-
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す 2026.3.3 電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。
-
第862回:北極圏の氷上コースでマクラーレンの走りを堪能 「Pure McLaren Arctic Experience」に参加して 2026.2.25 マクラーレンがフィンランド北部で「Pure McLaren Arctic Experience」を開催。ほかでは得られない、北極圏のドライビングエクスペリエンスならではの特別な体験とは? 氷上の広大な特設コースで、スーパースポーツ「アルトゥーラ」の秘めた実力に触れた。
-
第861回:冬道性能やいかに ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を北の大地で試す 2026.2.18 2025年9月に日本ミシュランタイヤが発表した最新のオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」の冬道性能を確かめるために、北海道に飛んだ。ドライやウエット路面に続き、ウインターシーンでの印象を報告する。
-
第860回:ブリヂストンの設計基盤技術「エンライトン」を用いて進化 SUV向けタイヤ「アレンザLX200」を試す 2026.2.13 ブリヂストンのプレミアムSUV向けコンフォートタイヤ「アレンザLX100」の後継となるのが、2026年2月に発売された「アレンザLX200」。「エンライトン」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて開発された最新タイヤの特徴を報告する。
-
第859回:トーヨーのSUV向け冬タイヤを北海道で試す! アナタのベストマッチはどれ?
2026.2.10 トーヨータイヤが擁するSUV向けの冬タイヤに、北海道で試乗! スタンダードなスタッドレスタイヤから「スノーフレークマーク」付きのオールテレインタイヤまで、個性豊かな4商品の実力に触れた。アナタのクルマにマッチする商品が、きっとある?
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。





























