レクサスRX200t“Fスポーツ”(4WD/6AT)
親しみやすいスポーツモデル 2016.02.01 試乗記 内外装の刷新だけでなく、走りの質感向上を大きなセリングポイントに掲げる、新型「レクサスRX」。その実力を、2リッターターボエンジンを搭載するスポーティーグレードで試した。いま注目のSUV
今回の取材中、駐車していたわれわれの新型「レクサスRX200t“Fスポーツ”」をジッと見つめる、通りすがりのおじさんがいた。おじさんは一体何にひかれたのか、実のところ聞いていないのでわかりません。
少なくともこれだけは言える。
2015年10月22日に発売となった新型レクサスRXは販売好調らしい。発売後約1カ月の受注状況は約9000台。月販目標500台、車両価格495万~742万5000円の高級クロスオーバーに、目標の18カ月分の注文が舞い込んでいる!
RXはレクサスブランドの世界販売の3割を占めるトッププレイヤーである。「LS」や「IS」よりも重要な、4番バッターにしてエースといってもよい。そのRXのガソリン車、200t“Fスポーツ”をあらためて今回テストした。3.5リッターV6+電気モーターのハイブリッド「RX450h」にも“Fスポーツ”の設定はあるけれど、あちらが後輪をモーターで動かすのに対して、200tの4WDは「ハリアー」同様、前後トルクを100:0~50:50の範囲で電子制御により最適に配分する。4WDとしてはこちらの方が本格派だ。
富士スピードウェイで鍛えられし“Fスポーツ”はレクサスのAMG仕様でありMスポーツである。専用スピンドルグリルは横棒模様からL字で編んだ餅網タイプになり、前後にメッキのモールが加えられ、ドアミラーがブラックに塗装される。専用のタイヤ&ホイールはノーマルの18インチに対して2階級特進の20インチがおごられる。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
“絶妙なデカさ”が魅力
インテリアも抜かりない。専用のスポーツシートやらステアリングホイールやらシフトノブやらペダルやらでムードを盛り上げる。タコメーターを中央に配した計器盤も独自のデザインだ。バーチャルだからできるワザともいえる。
で、新型RX200t“Fスポーツ”は、なにが魅力なのか?
ひとつにはサイズである。まずもってRXはデッカイ。全長こそ4890mmと「トヨタ・クラウン」並みながら、全高が1710mmある。タワー式駐車場にはまず入らない。全幅は1895mmもある。存在感がある。デッカイってことはそれだけで虚栄心を満たす。
にもかかわらず巨大すぎない。持て余さない。適度に大きい、ということが重要なのだ。
“Fスポーツ”は専用チューンの足まわりを持つ。「NAVI・AI-AVS」という名称の可変ダンピングシステムを標準装備する。パワートレインとエアコンの制御プログラムを選べるドライブモードも付いている。ECO、NORMAL、SPORT S、SPORT S+の4つのモードがあり、SPORT S+にすると足まわりがいっそう硬くなる。
エンジンは“F”の洗礼を受けていないけれど、車重2トン近いボディーを2リッター直噴とツインスクロール型ターボの組み合わせはフツウに活発に走らせる。最高出力238ps/4800-5600rpm、最大トルク35.7kgm/1650-4000rpm。1998ccにしてこの数値だからリッパだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
快適に走りが楽しめる
低速では若干硬すぎるように思えた乗り心地は、速度が上がると気にならなくなる。悪名高い西湘バイパスの目地段差も無難にこなし、路面のいい箱根のターンパイクに至ってけっこうなペースで飛ばすと、けっこうイイ、に評価が変わる。
電子制御の4WDシステムが「旋回時には、ステアリングの操舵(そうだ)量からドライバーが思い描くターゲットラインを算出し、車両挙動に応じてきめ細かく後輪にトルクを配分」してくれる。気持ちのいいコーナリングができるのは、ダイナミックトルクコントロールAWDのおかげであるらしい。
ロールは穏やかで、重心の高さを感じさせない。じんわり、控えめに沈み込む。巨体を素直に、自然に曲げさせている感がある。ステアリングホイールのロック・トゥ・ロックは2回転半ぐらいだからけっこうクイックなはずだけれど、とても乗りやすい。操舵フィールにまろやかさがある。全体の速度が速すぎないことも好ましい。遠慮なくアクセルを踏める。シートのホールドもイイ。
先代比50mm広げられたホイールベースは主に後席の膝の空間に使われているわけだけれど、前席も広々している。家電がたくさんあるウチにいる、みたいなセンターコンソール周辺のデザインは、大方の人にとってはオッケーだろう。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
熟年にもなじむ“崩しのデザイン”
エクステリアデザインにも触れないわけにはいかない。「RXでありながらRXを超えた」「力強さと大人の色気を放つエクステリア」とRXのプレスリリースでチーフエンジニア氏が語っている。ここで私が直感した「大人の色気」とはモロボシ・ダンである。
ジュワッ!
実はウルトラセブンであるところのモロボシ・ダンには葛藤があった。葛藤からにじみ出る大人の色気があった。アンヌ隊員との関係には愛があった。当時小学生だった私はいろいろ感じたものぢゃ。
4代目RXの折り紙細工のような面と線が、私をしてウルトラ警備隊のパトロール車両「ポインター」を思い起こさせた。エアロダイナミクスが生み出したカタチではない。機能主義とは一線を画している。
RXのカタログを眺めていたらこう記してあった。「メインの造形とフロントフレアの2つの立体のピークをあえてずらす『崩し』のデザインを取り入れたことで、全身の動きを感じさせながら、深みのある色気を醸し出すスタイリングを追求」した、と。
正体を隠しながら地球に住む宇宙人モロボシ・ダンをあるひと(私)に思わせ、またあるひとには、「崩し」の美学でもって、大人の色気があると説得する。
RX200t“Fスポーツ”は一見、目新しく思えるけれど、私以降のテレビの特撮ヒーローもののテレビで育ったおっさん、ということは現役世代の大部分のおっさんにとって、実はとってもなじみやすいデザインといえるのではないか。
乗ってみれば、過激というより、むしろ穏やかなスポーティーさ加減で、乗りやすくて受け入れやすい。ということで、再びRXのカタログをじっと見るおっさん(私)であった。
(文=今尾直樹/写真=峰 昌宏)
テスト車のデータ
レクサスRX200t“Fスポーツ”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4890×1895×1710mm
ホイールベース:2790mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:238ps(175kW)/4800-5600rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/1650-4000rpm
タイヤ:(前)235/55R20 102V/(後)235/55R20 102V(ダンロップ SPORT MAXX 050)
燃費:11.4km/リッター(JC08モード)
価格:605万円/テスト車=662万3480円
オプション装備:ITS Connect(2万7000円)/アダプティブハイビームシステム(4万8600円)/おくだけ充電(2万3760円)/インテリジェントクリアランスソナー+リアクロストラフィックアラート+リアクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニター+パノラミックビューモニター(17万2800円)/後席シートヒーター+後席パワーシート<電動リクライニング&電動格納機能付き>(7万5600円)/“マークレビンソン”プレミアムサウンドサラウンドシステム(22万5720円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:2886km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:267.2km
使用燃料:36.7リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:7.3km/リッター(満タン法)/7.2km/リッター(車載燃費計計測値)

今尾 直樹
1960年岐阜県生まれ。1983年秋、就職活動中にCG誌で、「新雑誌創刊につき編集部員募集」を知り、郵送では間に合わなかったため、締め切り日に水道橋にあった二玄社まで履歴書を持参する。筆記試験の会場は忘れたけれど、監督官のひとりが下野康史さんで、もうひとりの見知らぬひとが鈴木正文さんだった。合格通知が届いたのは11月23日勤労感謝の日。あれからはや幾年。少年老い易く学成り難し。つづく。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
NEW
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
NEW
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。
































