ホンダ・オデッセイ ハイブリッド(FF)
ほかにはない個性がある 2016.03.25 試乗記 「ホンダ・オデッセイ」に、「アコード」譲りのパワーユニットを搭載したハイブリッドモデルが登場。「モーターが主体、エンジンはあくまで補助」という「スポーツ・ハイブリッドi-MMD」がかなえる、個性的なドライブフィールに触れた。力強くスムーズな走行フィールが身上
世の中には数多くのハイブリッド車があるけれど、それらの中身は千差万別だ。「トヨタ・プリウス」のようにエンジンとモーターを始終きめ細やかに使い分けるものもあれば、エンジンを主体に発電機を兼ねるモーターがほんの少しアシストするだけのものもある。逆にモーター走行中心のシステムもあり、当然、走りもそれぞれまったく異なる。
オデッセイに追加されたハイブリッドモデルは、先行するアコードに搭載されたスポーツ・ハイブリッドi-MMDを改良して搭載している。具体的には、システムをハイパワー化しつつサイズをコンパクトにした。ライバルよりやや背の低いボディーの中で、めいっぱいの室内を目指すオデッセイとしては、駆動系に使えるスペースは限られる。そのための改良だ。
このシステムの特徴はモーター走行を基本とするところで、エンジンはもっぱら発電にいそしむ。エンジンの力を直接駆動に使うのは、高速走行のごく一部だけなのだ。そんなシステムだから、走りだしはもちろんモーター駆動。最大トルクの32.1kgmをひと転がり目から発揮できるから、力強く、そして振動もない。
静粛性も抜群だ。グイッと加速を強めていくと、発電のためにエンジンが始動する。加速に必要な電力が足りなくなるからだ。しかし、その振動や音は遠くに感じられる。またトランスミッションは搭載されていないので、シフトアップ時の加速の途切れやギアチェンジの振動などはなにもない。スルスルスル……と加速していくこのフィーリングは、まったくもってEVそのもの。ちなみにモーターの最高出力は184ps(135kW)あるので、加速力にも不満はない。
街中ではいろいろな運転の仕方で走ってみたが、エンジンのパワーをクラッチ経由で車軸/タイヤに直接伝える状態を示すメーターの表示はなかった。つまり、エンジンは発電だけで、モーター駆動のみで街中を走り切ってしまったのだ。
続いて高速道路に。するとようやくエンジンパワーで走行するモードに入る。エンジンの最高出力は145ps(107kW)/17.8kgmと、モーターよりも非力である。それもあってか、モーター駆動に戻るシーンも多い。もちろん、エンジンとモーターには特性の違いによるシチュエーションの得手不得手がある。しかし、オデッセイ ハイブリッドは明確に「モーター駆動を主として走る」という姿勢を見せてくれたのだ。
燃費性能はJC08モード値で24.4~26.0km/リッター。もちろんクラストップであるし、オデッセイのガソリン車(12.8~14.0km/リッター)よりも優れている。とはいえ車両価格は50~60万円も高い。そのため燃料費だけで車両費用を回収するのは難しいだろう。しかし「ほとんどEV」という走行フィーリングは、ほかにはない個性だ。力強く静かで快適。伸びやかな加速感は気持ちいい。この個性を味わいたいという方ならば、きっと満足できる買い物になることだろう。
(文=鈴木ケンイチ/写真=向後一宏)
【スペック】
全長×全幅×全高=4830×1820×1695mm/ホイールベース=2900mm/車重=1810kg/駆動方式=FF/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ(145ps/6200rpm、17.8kgm/4000rpm)/モーター=交流同期電動機(184ps、32.1kgm)/燃費=26.0km/リッター/価格=356万6800円
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鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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