第356回:技術は変われど「らしさ」は不変
新型「アルピナB7ビターボ」のここに注目
2016.07.21
エディターから一言
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アルピナの新しいフラッグシップモデル「B7ビターボ リムジン ロング」。608psを誇るスーパーサルーンの見どころを、独アルピナ社でマーケティングを担当するジョナサン・ガンザー氏に聞いた。
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■ビターボユニットを大幅改良
――新しいB7ビターボの技術的なハイライトを教えてください。
アルピナの新しい技術的な旗艦として、ラグジュアリーとコンフォート、そしてパフォーマンスを兼ね備えたモデルと位置付けています。4.4リッターのV8ビターボ(ツインターボ)ユニットは、アルピナのラインナップで最も強力な608psの最高出力を誇り、最大トルクは81.6kgm(800Nm)と、パワーとトルクに大きな余裕があるのが特徴です。
このエンジンは、従来の4.4リッターV8ビターボユニットをベースにちょっと手を入れたなどというものではなく、新開発といってもいいくらいの内容になっています。ターボチャージャーはまったく新しいものですし、インテーク周りも新たに設計しました。クーリングシステムやオイルの潤滑系統、電子制御も見直しています。エンジンのレスポンスはさらに良くなっています。
――アルピナのひとつの醍醐味(だいごみ)ともいえる足まわりはどうでしょうか。
新型B7では、前後にエアサスペンションが使用されています。ダンパーは電子制御で、アクティブ・ロール・スタビリゼーションが備わり、さらにアルピナとしては初めてリア・アクスル・ステアリング機構を採用しました。これらすべての効果により、乗り心地は一段と快適になっています。
ただし、走行モードを切り替えれば、一転してスポーティーな性格に変化します。特にこの新型には「アルピナ・スポーツ+」というモードがあって、それを選択すると、もっとずっと小型のクルマを運転しているような感覚が得られるでしょう。全長5250mmのサルーンであるにもかかわらず、BMWでいうなら「5シリーズ」に乗っているような気分になるはずです。
■アルピナらしさを大切にする
――今回、アルピナにもいよいよリア・アクスル・ステアリングが採用されました。社内に可否の議論はなかったのでしょうか。
この技術が果たしてアルピナに合っているのかという議論は、確かに当初はありました。しかし、テストドライブを重ねた結果、この技術を使用することでダイナミックな走りを打ち出すことができる、言い換えれば、アルピナらしく使いこなすことができるという結論に達し、その時点で議論はなくなりました。
もっとも、アルピナには、新技術ならすぐに採用するという考え方はありません。もしそれが走りを人工的に感じさせるような技術であれば、採用しないでしょう。
――快適さとスポーティーさを両立させたという点を、より具体的に教えてください。
エアサスペンションというのは、基本的に快適な走りをもたらすものです。それはアルピナとしては欲しい技術なのですが、反対に非常にスポーティーな走りも欲しい。そこでエアサスとリアステアリングを組み合わせることで、良い結果を得ることができました。
ご存じのとおり、アルピナは常に大きなタイヤとホイールを望んでいます。新型B7にはオプションとして21インチタイヤが用意されていますが、それを装着してリアタイヤを操舵(そうだ)した時、一体どのような挙動になるのか。この点については、かなり力を入れて開発しました。
ちなみに、エアサスとリアステアリングはシステムを共有しているわけではなく、それぞれが独自のシステムを持っています。それらを合わせるところ、いわば2つの“接点”は、おそらくBMWとはかなり違うと思います。アルピナはアルピナならではの味わいを目指しています。
(文=webCG 竹下元太郎/写真=竹下元太郎、アルピナ)

竹下 元太郎
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