第438回:男イケノヒラ、もて耐を走る!(レース編)
2017.09.16 エディターから一言 拡大 |
2017年8月26~27日に行われた250ccバイクの11時間耐久レース「もて耐」に、流し撮り職人の池之平昌信が出場した。準備編に続いては、約1年の準備期間を経て、ついにやってきた予選、そして本番。2日間にわたるおじさんライダーたちの激闘の様子をリポートする。
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なんとか予選クリア
レースに向けては、動画サイトで車載ビデオを見たりして、イメージトレーニングも重ねた。
テスト走行でチーム内の最低目標タイム(1周3分を切ること)もあっさりクリアしたが、調子には乗らず(そういうとこはオトナというかチキンだ)、徐々に、あくまでも無理をせず、タイムを削っていく。
この頃、もて耐の公式アドバイザーの五百部(いおべ)氏に走りを見てもらったら「肩に力が入りすぎでバイクを倒しこめていない。ハングオンの足は出てるけどカッコだけだね」とのアドバイス。ヒエーッ、さすが百戦錬磨のプロライダー、すべてお見通し! まったくその通り! それでも、焦らず、若者や女性ライダーにぶち抜かれてもあくまでもマイペースで、周回を重ねていく。
ライセンス取得ホヤホヤの7月8~9日、もて耐「予選レース」が開催された。
今年はおよそ100台がこの3時間のレースにエントリー。2組に分かれてレースが行われ、全体の上位70台が8月に行われる「もて耐11時間耐久」の出場権を得るというシステムだ。もて耐は例年、7時間耐久レースなのだが、今年は「ツインリンクもてぎオープン20周年特別レース」として11時間のレースとなった。
7月の猛暑の中、わがチーム「流し撮り職人+尾上サービス」の「ヤマハYZF-R25」と3人のライダーは順調に周回を重ねた。イケノヒラも自分の受け持ち時間を2回、そつなく走行し次のライダーにバトンを渡す。駅伝みたいなもんだね。レース終盤、チーム内の最速ライダー・佐藤の転倒もあったが、ケガもなくマシンも修復しなんとか完走。
だが、WT(水冷2気筒)クラス最下位。11時間耐久レースへの出場に暗雲が……。しかし、今回に限り「主催者特別招待枠」での出場が認められることになった。これまでのもてぎでの功績が認められた? そう思いたい。とにかく、ツインリンクもてぎ様に大感謝である。
11時間にわたる激闘がスタート
その後、マシンの修復やヘルメットの新調、軽いジョギング、モトクロストレーニングなどして、「あっ」という間に6週間が過ぎた。
8月最後の週末、いよいよ、本番11時間耐久レースである。なんでも企画当初は24時間レースも考えていたそうだが、諸般の事情で2日間にわたり11時間を走るレースとなった。
金曜日に参加受け付け、車検、装備品チェック、練習走行。土曜日の午前中にスタート順を決める予選タイムアタック。午後2時半にレースがスタートし、日没後もライトを点灯し走行を続ける。この夕暮れからの夜間走行が「鈴鹿8耐」などの耐久レースをイメージさせて、おじさんたちの感情は揺さぶられっぱなし。
スタートから4時間半走行した午後7時にいったんレースを中断。主催者であるツインリンクもてぎが厳重に管理して車両保管。日曜日の朝8時半にローリングスタートでレース再開。6時間半を走り抜き午後3時にチェッカードフラッグ。ざっと言うとこの運びなのだが、レース中は、30~40分おきにピットイン&ライダー交代を繰り返していく。
11時間の長丁場に向けわれわれのチームは別のチームから3人のライダー(全員普通のサラリーマン)を招き、合計6人のライダーで挑んだ。全員がおじさんライダーだが、イケノヒラを除き、これまでバイクのレースを続けてきた面々。心強いチームだ。この“職人肌ライダー軍団の落ち着き感”も耐久レース完走の重要ファクターであるといってよいだろう。
われわれのチームは30度を超す猛暑の中、“ウサギと亀”の亀作戦でおのおののペースで周回を重ねた。トラブルらしいトラブルは皆無。他車との接触等もなし。イケノヒラも土曜日1回、日曜日2回の走行を担当。1回につき30分ほどを無事にこなしていった。
ペースは1周、2分43秒前後。総合優勝を狙うチームのマシンより1周あたり20秒は遅いが、自己申請で借りられる、初心者用蛍光ベストを着用して走り、マイペースを保持した。このベストを着用しているライダーは「気をつけて優しく抜いてね」という意味を持つのだ。
それでも先を急ぐプロ、セミプロ級のライダーたちは容赦なく、右から左から、たまには両方から同時にぶち抜いていく。レース用バイクにはミラーが付いておらず、最初はビクビクしていたが、「遅い自分が悪い」と開き直り、少しでも速く走れるように抜いていったバイクに食らいついていく。
こう言ってはなんだが、イケノヒラはカートや四輪のレースでは「どいて、どいて!」と初心者をぶち抜く立場。しかし、このレースにおいては真逆。これからのレースでは初心者を優しく抜いてあげることを誓った自分。そんなことを考えながらもひたすら走り続ける。
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感動のゴール!
ちなみにもてぎのダウンヒルストレートでは6速全開、1万rpmで180km/hほどは出る。空気抵抗を減らすため、タンクの上に突っ伏してアクセル全開。目の前にはなぜかデジタル速度計がデーンとある。「速度の情報は別にいらないんだけどなー」「なんでこんな危ないことしてんだろーなー」と思う。
コーナーまで100mの看板が見えたら、体を起こし、そこからフルブレーキングして3速までシフトダウン。80km/hほどまで落としたら、ハングオン(ハンケツをコーナー内側に落とす)してコーナーを曲がり、1万2000rpmでシフトアップしながら、再加速。コーナーごとにこれを繰り返す。レース本番の最中に申し訳ないのだが、1周ごとにうまくなっていく自分がいた。まあ初心者なんでしょうがないだろう。
各ライダーが淡々と走行を重ね、気がつくとレース終了まであと30分ほど。「チェッカードフラッグを受ける役やる?」とも言われたが、「チェッカーの瞬間の写真を撮りたいから」といって逃げるイケノヒラ。ここはひとつチームの主役、尾上ちゃんに依頼。そんな余裕の会話ができるほど、予定どおりのレース運びができた。
終盤、転倒してマシンが修復できなくなったり、エンジンブローして白煙とともにコース上に止まってしまったり……そんなチームを横目に見ながら、無事完走! 74台中56位。トップから28周遅れの234周を走行した。もてぎフルコースは1周約4.8kmなので、約1123kmを走行したことになる。
使用したガソリンは100リッター弱。燃費は11km/リッターほどだったようだ。実は去年も使用されたこのマシン。オーバーホールもしていないエンジンで11時間オイル交換なしの走行をしてトラブルなし。
とにもかくにも、これでイケノヒラの「もてぎ20周年・4大耐久制覇(完走)プロジェクト」は無事成功した。今回のもて耐や尾上サービスだけでなく、これまでの20年間で大変お世話になった、「ガレージ茶畑」「ホンダ」「MUGEN」『週刊プレイボーイ』『週刊SPA!』、レース仲間、メカニック、ヘルパー……といった皆さんには感謝の言葉しかない(涙)。本当にありがとう! と心から申し上げたい。
レース後、尾上ちゃんや一緒に戦ったチームのライダーたちに「楽しかった? じゃあ来年もいっしょに走ろうよ!」と、誘われたイケノヒラ。とても光栄だが……。
「うーーん、次のバイクレースは、もてぎ30周年でいいかな!」と言うと、その場のおじさんライダーたちはみなポカーンとした顔になった。ありがとうございました!
(文=池之平昌信/写真=細田雅紀、阿部貴光、石川浩之、氏原正智、近藤光正、池之平昌信、ツインリンクもてぎ/編集=大沢 遼)
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池之平 昌信
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